格安SIM(MVNO)とは?
ソフトバンク、NTTドコモ、KDDI(au)といった国内大手3キャリア(MNO)が、自社で通信網を所持しているのに対し、MNOより回線網を借り受けて通信サービスを提供しているのがMVNO、いわゆる格安SIMや格安スマホと呼ばれているサービスだ。
2016年にはさまざまな通信事業者が参入し、通信品質の向上やサービスの多様化が著しい1年となった。
最初に、格安SIMのメリットとデメリットをまとめておこう。
格安SIMのメリット
- 毎月の使用料が安い
- 最低利用期間がなく違約金がない、または期間が短い
格安SIMのデメリット
- キャリアメールが使えない
- 手持ちの端末が使えない場合がある
- 事業者によっては通信速度が遅い
- キャリアと比較してサポートが手薄
- LINEの年齢確認ができない(LINEモバイルを除く)
特に、サポートが手薄な点に関しては、格安SIM未経験でよくわからないという人にとって最も不安なことだろう。
中にはサービス内容や対応端末などの疑問を解消するために、実店舗を構えている事業者もあるのだが、そのサポート体制はまだじゅうぶんとはいい難いのが現状だ。
ここからは、実際に格安SIMを使う際に気を付けたいポイントや、契約の流れ、初心者によくある疑問を解説していこう。
格安SIMユーザーへの道のり
今回、筆者が個人的にLINEモバイルと契約した経験を元に、契約から利用開始までの流れを紹介していく。
ちなみに、LINEモバイルは、LINEやTwitter、Facebookなどのメッセンジャー、SNSアプリに関してはデータ消費なしで利用できるプランがあり、これらをよく活用するユーザーにおすすめの格安SIMとなっている。
MNP予約番号を発行(電話番号を変えずに格安SIMへ移行する場合)
今現在使っている電話番号を引き続き格安SIMでも使いたい場合、MNPを利用する必要がある。新規で格安SIMを契約する場合、読み飛ばしても問題ない。
MNPを利用した格安SIMへの移行の流れは大まかに、
- 現在契約している通信事業者に申し込みMNP予約番号を取得
- 格安SIM契約時にMNP予約番号を入力して申し込む
の2ステップに分けられる。
3大キャリアのMNP予約番号の取得方法は、それぞれ下記のページを参照しよう。
また、MNPを使って他社に乗り換える場合、転出手数料が発生する。
ドコモの場合は2,000円、ソフトバンクとauは3,000円となっているが、契約期間が短いと割高になる場合もあるので、自分が利用しているキャリアのサイトにて確認しておこう。
なお、発行したMNP予約番号の有効期限は15日間。期限切れとなった場合、再発行する必要がある。
転出先の格安SIMに申し込む
MNP予約番号を取得したら、次はいよいよ格安SIMの契約を行う。
乗り換える前の端末を継続して利用する場合、転出先の格安SIMが回線網を借り受けるMNOによっては使えないことがあるので注意が必要だ。
格安SIMはドコモ系とau系が存在
格安SIMが回線網を借り受けるMNOは、ドコモとauが主流となっており、使用する端末の購入先によってどちらを選択するか決まってくる。
主なドコモ系格安SIMは、
- LINEモバイル
- BIGLOBE SIM
- FREETEL
- NifMo
- DMMモバイル
- DTI SIM
- IIJmio
- mineo
など。対して、au系は
- UQ mobile
- IIJmio
- mineo
が挙げられる。
IIJmioとmineoは、ドコモ・au両方のプランを用意しており、使用する端末によって選択できる。
ただし、乗り換え前のキャリアと転出先格安SIMのMNOが一致していても、端末のSIMロックを解除しないと使えないことがある。
格安SIM各社が、公式サイトにて動作確認端末を掲載しているので、不安な場合は自分の使いたい端末が対応しているか確認しておこう。
端末とセットで契約する選択肢も
手持ちの端末が使えるかどうか不安、古いから買い替えたいという場合、格安SIMと端末をセットで契約するという選択もじゅうぶんありだろう。
各社が格安SIMと端末をセットで契約できるプランを用意しており、動作確認も事業者側で行っているため、細かいことは気にせずに利用を開始できる。
また、家電量販店などでSIMフリー端末を別途購入して利用することもできる。各メーカーがさまざまなSIMフリー端末を発売しているので、気に入ったものがあればそちらを購入して格安SIMで使うという方法がおすすめだ。
契約申し込みはWebで
格安SIMの申し込みは、基本的にWebサイトにて行うことがほとんど。
各社の申し込みページで必要事項の記入、身分証写真のアップロードなどの手続きを進めていく。
氏名や住所、支払いに使うクレジットカード情報などを入力していくのだが、注意したいのはSIMカードのサイズ。
SIMカードには、標準、micro、nanoの3種類のサイズがあり、端末によって対応しているサイズが異なるのだ。
メーカーのサイトなどで、自分が使いたい端末のSIMカードのサイズをよく確認して契約しよう。
SIMサイズを間違えた場合
SIMカードのサイズを間違えて申し込んでしまった場合、格安SIM事業者にサイズ変更を申し込む必要がある。
その際、3,000円ほどの手数料が発生してしまう。
コストを抑えたいなら、SIMカッターを購入して自分でSIMカードのサイズを変更する方法もあるが、正常に動作しない場合もあるため、自己責任で行ってもらいたい。
申し込みが完了し契約成立となったら、SIMカードが発送される。あとは、端末にSIMカードを挿入しAPN設定をすれば、晴れて格安SIMユーザーだ。
APN設定は、Android端末の設定から「モバイルネットワーク」→「APN」と進むことで追加でき、格安SIM事業者に案内される設定を入力していく。
また、LINEモバイルの場合、新規契約では利用開始日はSIMカード発送の2日後となっている。MNPの場合は、カスタマーセンターに電話し、手続きすることで利用を開始できる。
SIMフリーiPhoneのAPN設定は?
Android端末で格安SIMを使う流れを説明してきたが、iPhoneで使いたいというユーザーも多いことだろう。
格安SIMでは、SIMフリー版iPhoneや使用する格安SIMの回線に対応したキャリア版iPhone(例:ドコモ系SIMではドコモ版iPhone)、SIMロックを解除したiPhoneが使用できる。
※格安SIMの種類によっては回線の対応に関わらずSIMロック解除が必要な場合がある。
SIMフリー版iPhoneの購入手段としては、
- Apple Storeの店舗
- Apple Online Store
- Amazonや中古販売店
があり、Apple Storeなら新品の正規品が購入可能だ。
また、iPhoneではAPNの設定方法がAndroidとは異なり、
- 使用するiPhoneでAPN構成プロファイルをダウンロード(Wi-Fi接続が必要)
- APN構成プロファイルをインストール
という手順を踏む必要がある。
APN構成プロファイルは使用する格安SIMによって異なり、各社のサポートページで公開されている。
LINEモバイルはLINEが使い放題!
現在、筆者がメインのスマホで利用している格安SIMがLINEモバイルだ。
LINEフリープランとコミュニケーションフリープランの2タイプのプランが用意されており、それぞれ対象のサービスの通信量がデータ使用量にカウントされないことが特徴。
LINEフリープランは、LINEアプリの通話・トークが使い放題、コミュニケーションフリープランはLINEに加え、Twitter、Facebook、Instagramの3つのSNSが使い放題となっている。
2か月近く利用しているが、通信速度は非常に安定しており、平日の昼間も快適に使えている。
カウントフリーとなる対象サービスは拡充が検討されており、LINE MUSICのカウントフリー化は明言されている。
また、LINEの年齢認証ができる点も見逃せない。他の格安SIMでは年齢認証ができないため、IDによる友だち検索ができないというデメリットがあるが、LINEモバイルならそういった悩みは無用だ。
LINEフリープランは、データ容量1GBのみ。料金は下記の通り。
- データ通信のみ:500円
- データ+SMS:620円
- データ+SMS+音声通話:1,200円
コミュニケーションフリープランは、
- 3GB:1,110円
- 5GB:1,640円
- 7GB:2,300円
- 10G:2,640円
のデータ+SMSプランと、上記金額に+580円で音声通話付きプランが用意されている。
LINEモバイルは、LINEの通話も使い放題なため、音声通話にLINEを利用しているユーザーには非常に使いやすい格安SIMと言えるだろう。
他には、ドコモ回線とau回線を選択でき、無料で1GBまでデータ量を追加できるmineo、月々の高速通信のデータ量制限がない使い放題プランのあるDTI SIMなどが魅力的なプランを提供している。
どの格安SIMも、独自のサービスや端末、通信品質を拡充しており、使う人によってベストな選択は変わってくるだろうが、LINEユーザーが非常に多い日本においてLINEモバイルがおすすめであることは間違いない。
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