Mate 9ってどんなスマホ?
スペックを掘り下げないといっても、もともと、この「大画面スマホの評価企画」には、「次の西川善司の端末はどれにするか」というコンセプトが根底に流れています。
というわけで、まったく触れないわけにもいきません。
まぁ、とはいってもスペック面でのこだわりのポイントは
- プロセッサの性能がそこそこある
- 同時起動アプリが多いのでメモリ(RAM)が多めにほしい
- そもそも大画面じゃないと困る
の3つくらいなんですけどね。
プロセッサ(SoC)については、16nm FinFET製造プロセスです。今年から10nmのものが出てきますが、現行では最先端といえます。
CPUは8コアCPUで、ARMの「Cortex-A73」と同「A53」の4+4の構成です。
Mate 9のものは16nm FinFETですが、前述したようにA73とA53は今年から10nm FinFETプロセスのデザインのものも出てきます。
GPUはARMの「Mali-G71」です。Maliといえば従来は「Mali-T880」が最上位でしたが、G71は最新の製造プロセスに合わせてシェーダコア数を増強した新世代バージョンです。
OpenGL ES 3.2対応、DirectX 11は最上位の「Feature Level 2」対応ですから、前回取り上げたQualcommの「Adreno 540」に競合するスペックです。
RAMはLPDDR4が4GB。この4GBは2017年モデル端末のある種の基準になるかと思います。すでに今でも、ハイエンド機では6GBのものも出てきましたね。
ついに、スマホで8GB RAM搭載時代も目前ということになりそうです。
まぁ、結論としてMate 9にスペック的な不満はありません。
しかし……です。
Mate 9の画面サイズは5.9インチなんですね。6インチに満たないのです。
やってくれちゃいましたね……。どうせ6インチに対してプラスマイナス0.1インチにするならば「プラス」して6.1インチにすればよかったものを(笑)。
西川善司的には「大画面スマホは6インチがスタートライン」という定義なので、5.9インチのMate 9はスタートラインにも立っていないことになります。
ボク的には、購入対象からは外れることになってしまい、残念。
ちなみに、ボクの今の愛機であるFREETELの「極」は6インチです。6インチ機を使い続けて約1年になりましたが、いつも「もう少し大きければなぁ」と思っています。
この6インチの極でも、ソフトウェア日本語キーボードからの入力はミスタッチがよく起こしがちで、5.9インチのMate 9では「いわずもがな」でした。
せっかく狭額縁デザインになっているので、6.1~6.2インチにして「画面サイズは競合より大きいのに、本体サイズは競合と同等!」とアピールした方がよかったのでは? と思います。
画面解像度もフルHD(1,920×1,080ピクセル)どまりです。ここも惜しいポイントですね。
後述する内蔵カメラの品質が高いので、ここもWQHD(2,560×1,440ピクセル)くらいはほしかったところです。ちなみに、「極」はWQHDです。
画面サイズと解像度は残念でしたが、画面の発色自体はとてもいい感じでした。映像視聴を楽しむにも満足度が高いと思います。内蔵スピーカーはそこそこといった音質ですが。
通話テストもしてみましたが、こちらの端末の情報を与えていないにも関わらず、通話相手から「あれ? なんかいつもより音質がいい」といわれました。
Mate 9は、4つもマイクを搭載していて、話者音声と外界ノイズを判別・処理して、ノイズを除去しつつ通話音声だけを明瞭に伝送するノイズキャンセリングマイクシステムを搭載しているのです。
これが話し相手にも伝わったようで、ボクもすっかり感心してしまいました。
Mate 9は、最近はスマホの評価基準でなぜか疎かになりつつある「電話機としての機能」について、とても完成度が高いようです。
カメラ機能の評判がいいMate9~いろいろ試してみた
さて、画面サイズ的にボクの基準を満たせなかったMate 9。
普段使いのスマホとして使う気が起こらなかったのですが、まわりの知人たちが「カメラ機能が凄いから、そこを使ってみたら?」といってくれたので、試してみました。
結論からいうと、すごかったです。
ボクの愛機の極とは、比較にならないほどカメラ機能がよくできています。
Mate 9のカメラは、アウトカメラ(画面と反対側に実装されているカメラ)とインカメラ(画面側に実装されているカメラ)とで、機能を明確に切り分けているのが面白いです。
アウトカメラは1,200万画素のRGBカメラと、2,000万画素のモノクロカメラからなるデュアルカメラ構成になっているのです。
まず、フォーカス合わせが高速かつ正確でした。それがたとえ「暗い場所で」でも、です。
これは、Mate 9に搭載された「4 in 1ハイブリッドオートフォーカス」機能によるモノのようです。
Mate 9では、携帯電話内蔵カメラで定番ともいえる、
- 像面位相差方式:撮像素子の中に埋め込まれたフォーカス合わせ用の受光センサーが検出した光量値の大小の位相差からフォーカスを合わせる方式
- コントラスト方式:コントラスト値がいちばん高くなる状態が合焦状態とみなす方式
の他に、レーザー測距、深度センサーを組み合わせオートフォーカスを実現しています。
今回、とあるDJイベントに参加したのですが、その暗い会場内もスピーディなフォーカス合わせで、美しく撮影できました。
明るい場所できれいに撮れるのは、今の携帯電話内蔵カメラでは当たり前です。差が見られるのはやはり、暗がりでの撮影時です。
一般的な携帯電話のカメラでは、暗い情景の撮影を行うと、ランダムノイズに多少の明暗と色味がついただけの画像になってしまいます。
しかし、Mate9の場合、暗い情景にもコントラスト感があり、さらにディテール感も良好です。
これは、RGBカメラとモノクロカメラの両方で撮影した写真を適宜合成して最終画像を生成しているからでしょう。
これは推測になりますが、モノクロカメラでかなりダイナミックレンジの高い、輝度情報(陰影情報)写真を生成し、そこにRGBカメラで撮影したフルカラー映像を乗算合成するような仕組みになっていると思われます。
その際、ノイズも低減させる処理も走っているはずです。
それと、背景と被写体とで明暗差が激しい場合も、両方の階調を最適化して、「ちゃんと見られる品質」の写真にしてくれるのも立派です。
前述したDJイベントのレーザー照明とLEDディスプレイが光りまくる会場内でも、ちゃんと「見たまま」か、あるいはそれ以上の情報量の写真が撮影できていました。
この高品位画像処理は動画でも行われているようで、動画撮影時も、静止画写真撮影時に肉迫下コントラスト感と階調性が実現できていました。
この点には、すっかり感心してしまいました。
インカメラの方は、ユニークな機能が搭載されていて、かなり遊べました。
Mate 9は「女性に人気がある」という噂を聞いていましたが、どうやらこのインカメラの機能に関係が深いようです。
「セルフィーカメラ」と名付けられたこのインカメラは、最初に自分の
- 正面顔
- 横斜め顔
- 下向き顔
の3方向から撮影して登録すると、これらの画像から2.5次元的な陰影や形状の情報を把握し、以降の自撮り写真に対して「好みの美形状態」を適用することができるのです。
プリクラなどのシール写真機のようなシンプルな2D画像処理的な顔面部位変形とは違い、前述したような事前取得した3D的な情報を元にした「2.5D的な処理」が適用されるので、意外に完成度の高い結果が得られます。
美肌効果を適用してもちゃんと、肌の陰影はそれなりに出ますし、うまくごまかして美形に仕上げてくれます。
輪郭補正や目の大小調整はやり過ぎると、それこそ「宇宙人」か「福笑い」の顔になってしまいますが、それはそれでまた面白いモノです。
この美形撮影カメラの機能をいじっているうちに、ボクはマンガ『ドラえもん』の名作エピソード「うそつきかがみ」を思い出しました。知らない人は、自分で調べてみてください(笑)。
この他、Mate 9で面白いと思った機能には「アクティビティトラッカー」の機能がありました。いわゆる活動量計ですね。
ボクは運動不足解消のために、ほぼ毎日ウォーキングをしていまして、こうした活動量計ウェアラブルデバイスとしては「FitBit One」を利用してもう2年以上になります。
携帯電話の標準機能として、ここまでのものが搭載されてしまっているんですね。歩行距離だけでなく、移動経路を地図付きで出してくれたりして、なかなか凝っていました。
おわりに
……と、まぁ、そんな感じのMate 9でした。
Mate 9は、ボクが求める大画面スマホではなかったのですが、HUAWEIには、実はまだ期待しているんです。
HUAWEIは、7インチの端末をここ最近、毎年ラインナップしてくれているからです。
現行製品では「手持ちの耳当て通話ができる7インチタブレット(ファブレット)」として「MediaPad T2 7.0 Pro」をラインナップしています。
ボクの勝手な期待ではあるのですが、MediaPad T2 7.0 Proの後継として「T3」が、今年出てくる気がしているんですよね。
HUAWEIはすでに、「3」番台の新製品を、8インチ台にモデルチェンジしていますからね。
その前に、自分の私物SIMをmicroサイズからnanoサイズにしないといけないかもです。
今回のMate 9も、SIMサイズがnanoオンリーになっていましたし、このnanoSIM化は2017年はさらにいっそう進むでしょうから。
今から考えておきます!
(C)SNK 1998