Vainglory【ゲームレビュー】

2012年に創立されたばかりのSuper Evil Megacorpが開発したMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)『Vainglory』。2015年4月にiOS版、6月にAndroid版の配信がスタートしている。

スマホに登場したMOBAはどこまで本物か?

RTSのサブジャンルともいえるMOBAだが、日本ではあまりメジャーなゲームジャンルではないかもしれない。しかし、海外では広く認知されており、プロゲーマーが存在するほどの人気だ。MOBAでは、1手で勝敗を決してしまう爽快アクションがない代わりに、チームワークでじっくりと確実に敵を追い詰めていく繊細さが求められる。そんなMOBAをVaingloryでは、マルチプレイを含めたすべて操作を、タッチ操作のみで遊ぶことができる。

Vaingloryを形作る4つのゲームモード

遊べるゲームモードは「練習」、「カジュアル試合」、「ランク試合」、「パーティ」の4つ。
練習の中にはさらに「最初の練習」、「協力チーム vs ベーシックボット」、「ゴールドラッシュ」、「ソロ練習」と4つに細分化されたチュートリアルが用意されており、それぞれのモードでCPU相手に戦いを進めながら、本作での基本的な操作を覚えられる。

カジュアル試合、ランク試合では6人のプレイヤーが敵、味方に分かれ、3 vs 3のバトルを展開していく。バトル終了後には、プレイヤー自身のレベルであるアカウントレベルの経験値や、ゲーム内通貨「グローリー」などの報酬がもらえ。特にランク試合は、勝利を重ねることでブロンズ→シルバー→ゴールドとランク上がっていくが、逆に負ければランクダウンもあり得る。そのため、カジュアル試合とは異なった緊張感でプレイできる。

カジュアル試合、ランク試合ではマッチングされるプレイヤーはランダムなのだが、友だちとチームを編成したいときは「パーティ」を選択しよう。フレンド申請をしてフレンドにすると、パーティに友だちのアカウント名が表示されるようになるので、自分のチームに参加させられるのだ。このパーティ機能のおかげで、誰か分からない他プレイヤーとマッチする心配がなくなる。

パーティで編成したチームのまま、カジュアル試合やランク試合に挑戦できる

本作の柱となるカジュアル試合、ランク試合では、プレイヤーは3人1組のチームを編成し、チームメイトと協力してマップ内に点在する戦略拠点を制圧しつつ、敵チームの本拠地にある「ベインクリスタル」の破壊を目指して、攻防を繰り広げていく。その中で必須となるのが、敵チームを追い詰めるための“戦略”だ。

レーンブロック、ジャングルブロックに分けられたマップ上では、戦略性の高いバトルを行えるので、敵の予想や警戒を超えた作戦を考案する必要があるのだ。例えば、ジャングルにある茂みには敵チームから認識されなくなる効果があるので、これを使って密かに進軍し、敵本拠地に奇襲を仕掛ければ、敵チームは大混乱に陥るだろう。ゲーム越しとはいえ、相手は人間なので心理を突けるような作戦を心がけよう。

レーンブロックは両チームがぶつかる主戦場。ジャングルブロックには茂みやバトルを有利に進められる戦略拠点が設置されている

戦略バトルを支えるヒーローのFree Hero Rotationシステム

Vaingloryでは、攻撃方法やスキルの異なる16のキャラクター(ゲーム内ではヒーローと呼ぶ)を使用して戦う。これら多彩なヒーローを使用するには、ゲーム内通貨を使用してアンロックする必要がある。

各ヒーローは、ゲーム内通貨であるグローリーか課金アイテム「ICE」と交換することが可能。グローリーにはプレイさえしていれば徐々に溜まっていくため、時間をかければ全ヒーローをアンロックできるが、道のりは長い

しかし、Free Hero Rotaionシステムによって、アンロックしていないヒーローでも、カジュアル試合やランク試合においては使用できる。つまり、これらの試合で多彩なヒーローを実際に使ってみて、自分のプレイスタイルにあったお気に入りを見つけ出すのが勝利への第一歩といえる。

アンロック前でも使えるヒーローのラインナップは毎週火曜日に更新。最初は片っ端から使ってみて、自分に合うヒーローを見つけるのが先決

ソロ練習ではすべてのヒーローが使用可能

「練習」から「ソロ練習」を選択すると、いつでもすべてのヒーローを使うことができる。アンロック条件が難しいものや、新しく追加されたばかりのものでも試せるので、最初にアンロックしたいヒーローの目星をつけるといいだろう

カジュアルMOBAのスタンダードになれるか?

プラットフォームがPCにはなるが、MOBAのスタンダードともいえるのがLeague of Legends(以下LoL)だ。LoLでは5 vs 5のチームバトルが行える上、登場するキャラクターやアイテム数もかなりのボリュームになっている。 その反面、Vaingloryは3 vs 3と若干スケールダウンしているが、手軽さという点では圧倒的なアドバンテージがある。携帯性で優位なスマホがプラットフォームになったことで、直接顔を合わせながら友だちどうしで手軽にプレイすることが可能になった。本作のブレイク次第では、日本におけるMOBA認知度が上がることかもしれない。

PCゲームに勝るとも劣らない美麗グラフィックと迫力の演出

どちらのバージョンでもチーム戦が安定稼働

2015年4月にiOS版、6月にAndroid版の配信が開始されたが、基本的なゲームシステムや操作方法に差異はなく、どちらのプラットフォームでも安心してプレイできる。 また、対人戦が主体となるゲームであるため、クロスプラットフォームでのマルチプレイの挙動を確認してみた。結果として問題なくチームを組むことができ、通信のロスなども発生せずチーム戦をプレイすることができた。

6体のユニットが一度に行き来しても、挙動が重くなったりすることはなかった

大型アップデートと今後の展望

2015年6月30日にはバージョン 1.6となる大型アップデートが行われ、16体目となる新ヒーロー「ロナ」の追加をされた。また、これまでは「パブリック試合」というモードでしかマルチプレイができなかったのだが、今回のアップデートにより、カジュアル試合とランク試合に分かれたので、気軽にマルチプレイを楽しみたいプレイヤーはカジュアル、ガッツリと対人戦に挑戦したいプレイヤーはランクにと、自分の背丈にあったプレイが可能になった。

他にも、「タレットは前から順番に破壊する」や「ジャングルモンスターに対しての装備のアーマーが適用」などを含んだゲームルールの刷新も行われ、ゲームとしての成長も見受けられる。

味方との華麗な連携、他プレイヤーとの戦法の読み合いなど、高度な掛け合いを楽しみたい方にはぴったりのゲームとなっている。

  • 使用した端末機種:XPERIA Z / iPhone 5
  • OSのバージョン:Android 4.4.2 / iOS 8.3
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.6
  • 課金総額:0円

(c) 2013-2014 Super Evil Mega Corp.