安定したUIと映画とのコラボレーション
90年代初頭ごろの対戦格闘ゲームブームは、それまで自機の移動にしか使用しなかったレバー操作にコマンドという付加価値をつけたことが新しかったが、それよりなにより、コマンドが直感的であったことが、新システムをすんなり理解させることに一役買ったと思っている。どんなに革新的なシステムを搭載したゲームでも、UIのできがよくなければゲームを継続して遊ぶことが難しいからだ。さて、本作『Real Boxing 2 CREED』だが、これがただのボクシングゲームと侮るなかれ、なかなかに対戦格闘チックな操作で腑に落ちる操作が気持ちいい。
映画『CREED』とのコラボレーション
映画コラボのボクシングゲームだと聞いていたものの、『CREED』ってなんだ? と間の抜けたことを考えていた。調べて見たら、70年代から80年代にかけて一世を風靡した『ロッキー』シリーズの最新作らしい。言われてみれば、ロッキー・バルボアのライバルにして親友はアポロ・クリードだった。『ロッキー4』でソ連の選手ドラコとの試合で命を落としてるしアポロだが、『CREED』では息子が主人公で、ロッキーはトレーナーとして登場するらしい。『ロッキー3』では敗北し孤独になったロッキーのトレーナーをアポロが買って出た。ときを超えて、その息子のトレーナーをロッキーが務めるというのは燃えるシチュエーションじゃないか。
育成部分はオーソドックススタイル
映画とのコラボとはいえ、プレイヤーキャラクターは自由に作成できる。肌の色や体格をはじめ、顔パーツも豊富に用意されている。セコンドにはロッキーが付き、チュートリアルでゲームの基本的な部分のレクチャーをしてくれる。このチュートリアルがけっこう長めで、それだけ覚えることが多いということだが、ていねいに教えてくれるので悩むことはないだろう。
育成は試合やトレーニングで経験値を稼ぎそれを各パラメータに振るというタイプ。試合はフリー経験値で、好きなパラメータに割り振ることができる。トレーニングもそれぞれミニゲームになっており、選んだものに対応するパラメータが上がる。
また、各ステージの条件を満たすことで、タトゥーやグローブなどデコレーションアイテムも手に入る。
試合中の操作はシンプルでわかりやすい
試合では移動操作はなく、アグレッシブに打ち合うことになる。左右のタッチがそれぞれの腕の動きに対応しており、タップでジャブ、内側にスワイプすればフック、上にスワイプすればアッパー、下にスワイプすればボディーになる。またジャブ以外の攻撃は、スワイプした先をタッチし続けるとタメ攻撃で威力が上がる。もちろん、大きなスキができてしまうが、威力はばつぐんだ。
このほかガード、スウェーボタンがあり、攻撃をガードあるいは避けることができる。ガードしつつ、相手の攻撃を受けてスキを見て打ち込むことが基本的な流れだが、ガードは相手のハードパンチで崩されることがあるし、ボディーブローに対応できないことがある。この場合はスウェーで避ければダメージを受けない。ただし、スウェーはスタミナを消費してしまう。
映画を追体験できる? 『CREED』モード
自分で作ったキャラクターを育成していくモード以外にも、CREEDモードも用意されている。日本ではまだ映画が公開されていないので、ストーリーに沿っているのかは不明だが、ここでも経験値とゴールドを取得できる。
ただし、クリードは育成できず、能力値は固定。メインモードの育成補助の側面が強いが、報酬はその分豪華になっている。またクリードがハードパンチャーなので、試合展開も派手になりやすくなかなか爽快なモードである。
どちらのモードでもそうなのだが、相手のガードが下がる、パンチの空振りでスキができる、という瞬間がよく見えることがある。ここに綺麗にパンチが入るとむちゃくちゃ気持ちいい。あるいはボディーに入れてスタミナを削り、ガードが開いたところでアッパーを決めるのも気分爽快だ。ロジカルに試合を組み立てる、あるいは攻撃を誘ってカウンターを当てるという部分が実に楽しい。この部分に直感的な操作系が合わさってスポーツゲームとしてだけではなく、アクションゲームとしての楽しさも両立できている点が非常に高評価である。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 9.1
- プレイ時間:約4時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.1
- 課金総額:0円
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