「転がる」&「落とす」で解き明かしていく
異色の重力パズルゲーム
「天に唾する」ということわざがある。自業自得と同じような意味だが、このことわざを聞くたびに、人間はつくづく重力や物理法則から逃げられない定めなのだと思う。それゆえ、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン(いわゆるピタゴラスイッチのように、からくりが連鎖して動く装置)的に、あるいはバタフライ効果(わずかな変化で予測もできないような大きな変化につながること)的に、自分の行動が物理的に自分に返ってきても腹を立てないことにしている。
これは一種の諦観であり、20歳くらいにはその真理に思い至ったので、すっかり身に着いたと思っていたのだが、この『Freeze! 2 – ブラザーズ』をプレイしてみたらとても腹が立った。まだまだ修行が足りないようである。
重力と浮力を使いこなせ
主人公というか……、自分が操作するキャラクターは歯車のついた目玉(以降、目玉)のようなものであり、一応ストーリーを読んでみる。なんだかどこぞのヒーローで、囚われの身になった兄を探して旅をしている最中なのだとか。
この前提を知ったからといってゲームの進行には何ら関係ない。プレイヤーはスワイプで画面を回転させ、この目玉をゴールである脱出口に導く。ただそれだけである。
早ければ2秒ほどで終わるステージもあるが、そんなに単純なステージばかりではゲームにならない。目玉は画面の下側に向かって働く重力によって引かれており、画面を回転させて支えがなくなると移動を開始する(壁面に沿って転がっていくことも)。
本作には重力加速度の概念もあり、移動距離に比例して目玉は加速していく。また、加速した状態で障害物に当たるとバウンドすることも。さらに水があるステージでは、目玉は水に浮く。いずれも日常にありふれた物理法則に則った光景であるが、これがまあ、思ったように動かない。脱出口はいやらしい場所に設定されていることが多く、中には特別なギミックを用いて通路を開く必要のあるステージも登場する。
そして、先のステージからは兄(ちょっと大きな目玉)と合流して行動をともにするようになるので、動かすものが2倍になってより面倒なことになる。
重力と浮力を制御するFREEZEボタンを駆使せよ
基本的に、ステージ内のオブジェクトはすべて重力によって支配されている。しかし、「FREEZE」ボタンを使えばこれを無視することができる。これが本作の面白味の1つだ。FREEZEボタンは押すと目玉はその場で停止することができ、重力はもとより浮力も無視できるようになる。
つまり、目玉自身も背景に固定された障害物の1つとなるわけだ。これを利用することで、トラップを回避して一気に出口に移動したり、水を別の場所へ移動させたりといったことができる。大変便利な機能だが、使用回数に制限がありことに注意。さらに、そもそもFREEZEボタンが用意されていないステージも存在する。
前作と何が変わったのか?
本作は「2」と銘打たれているので、むろん「1」があったわけだが、前作と何が違うかといえば、まず「2」には兄がいるということ。それぞれの動かせるギミックが異なったり、目玉(弟)が通れてもちょっと大きい兄は通れない通路があったりする。もちろん、このふるい分けも攻略の重要なファクターだ。ただ、弟と兄とは大きさが違うだけで物理特性は変わらない。
このほか、水の存在も新たな追加要素となっている。また、今作では5ステージごとに1ステージの割合で、世界全体が勝手に回転するステージが登場する。こういったステージをクリアするには、FREEZEボタンを駆使するしかない。
ステージ数は25×4!
本作に用意されている4つのワールドは、それぞれ25のステージに分かれており、合計100ステージを楽しむことができる。すべてのステージクリアにかかった総時間数が記録されているので、タイムアタックの要素もある。ちなみに10回連続で攻略に失敗するとそのステージを飛ばすことができるが、この場合は該当ステージのクリアタイムが自動で11分11秒に設定される。また、前作にあったヒントビデオがなくなっていることに注意。攻略法は自分で探すしかないのだ。
仕事が立て込んでいるのに5時間もハマってしまった!
シンプルな操作で奥深いゲーム性というのは、パズルゲームの修飾語として陳腐化している感もあるが、本作にはお世辞抜きでこの言葉がぴたりと当てはまる。ステージクリアに必要な時間も、長くて1分がせいぜいだろう。時間がかかってしまう場合はむだな行動が多いわけだから、それを効率化していくという楽しみもある。
ちなみに画面のどこでもスワイプが可能だが、マップをよく見るためにマップ外をスワイプすると、誤ってFREEZEボタンをタッチしてしまうことがあった。慣れればどうということもないのだが、それまではかなりイラッとさせられた。反面、不可逆的なハマり要素がなく、ステージの設計がよくできていることに驚かされた。
「もうちょっと」と思わせるパズルゲームは難易度設定の面でもよくできているものだが、本作はその意味で非常にいい出来栄えだ。なにせ、ちょっと仕事が立て込んでいるので、「あまり長く遊ばない」と心に決めていたのに、5時間掛けて1ワールドを解いてしまっていたほど。細かな作業が嫌いな方もいるだろうから万人向けとはいわないが、パズルゲーム好きなら確実にハマると断言できる作品だ。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 8.4.1
- プレイ時間:約5時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.02
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