大江戸人情物語 ~時をかけるおでん屋~【ゲームレビュー】

『大江戸人情物語 ~時をかけるおでん屋~』は、おでんの屋台に通うお客さんたちの何気ない言葉で群像劇が紡がれていくゲーム。最後まで無料で味わい尽くせる本作の魅力を紹介していこう。

徐々に親しみを感じていける放置ゲーム

全世界で100万ダウンロードを達成した『おでん屋 人情物語 ~今宵 キセキの起きる店~』。その初のシリーズ化作品となる『大江戸人情物語 ~時をかけるおでん屋~』がリリースされた。

ある日の夜、おでん屋の「オヤジ」が屋台とともに突然タイムスリップしてしまうところから、本作の物語が幕を開ける。

突如として「丸ぁるい光」に包まれるオヤジ。プレイヤーもいっしょに、不思議な世界へと引き込まれていく

たどり着いたのは江戸時代。たとえ時代が変わっても、オヤジは変わらず毎晩店を出し続ける。そんな屋台には、いろんな思いを抱えた人々がやってくる。

お客さんの愚痴を聞いて元の時代に!?

屋台に集まるお客さんは、もちろん江戸時代の人々だ。

「若侍」や「花魁(おいらん)」といった、江戸時代ならではの人々が登場。服装からも当時の雰囲気が感じられる

店にやってくるお客さんたちは、さまざまな思いを「愚痴」としてオヤジ(プレイヤー)に投げかけてくる。

画面上に次々と現れる「フキダシ」をタップして、愚痴を聞いて消していこう。そうすると、愚痴をこぼせて気分がよくなるからか、おでんの売り上げが上がっていく

フキダシの色は、その愚痴のカテゴリーを示している。どの愚痴も聞き逃せないのだが、特に虹色のフキダシには要注意。また、それぞれのフキダシは12時間放置すると消しても売り上げが伸びなくなるので、それまでには聞いておきたい

それまでに聞いたことのない愚痴は、フキダシが消えた後に内容の詳細がポップアップで表示される。お客さんの内面を少しずつ知ることができる感覚が楽しい

愚痴の内容によっては、こっそりと「オヤジの日記」へと書き加えられていくものもある。

日記に記録された愚痴には、オヤジのひとことが付け加えられる。中には、前作とのつながりを匂わせるようなコメントも

酔いが回っているせいか、お客さんが同じ愚痴を繰り返しこぼすことも多々ある。

繰り返し聞いた回数までしっかりと記録される。数えられる側はたまったものではないが、自分のやり込み度が数値として表れるうれしい機能だ

少しずつお客さんの話を聞いて、キャラクターごとに十数種類ずつ用意された愚痴をコレクションしていこう。

愚痴の集め具合は、お客さんの個別ページから確認可能。少しずつ隠された本音へと近づいていく感覚もたまらない

見事に愚痴をコンプリートすると、物語は急展開を迎える。なんと、お客さん1人1人にエンディングが用意されているのだ。

愚痴をこぼしきったお客さんは、急に店から飛び出していく。気になるその後の展開は、自分自身のプレイで確かめてほしい

お客さんを満足させて常連客にしよう

たくさんの愚痴を聞いていくと、お客さんの「常連度」が上がっていき、屋台に長居するようになる。

常連度はハートで示され、最大4つまで上げられる

長く居座ると愚痴が多くなり、愚痴の内容も深みを帯びたものへと変わっていく。

少しずつお酒(井戸水?)も進み、変化していくお客さんの表情に注目だ

愚痴の数が増えれば、それだけ支払ってくれる代金も増えていく。

最初は数十銭だったお会計が、常連客となれば数万銭にまで跳ね上がる

魅力的なおでんダネでお客さんを引きつけろ

お客さんが来店すればするほど、仕込んだおでんも食べられて減っていく。

おでんはだいたい3時間すると空っぽになる。おでんの力は強力なようで、すべてなくなってしまうとお客さんは一切愚痴をこぼさなくなる

おでんダネが尽きる前に「仕入れ」て、補充しておく必要があるようだ。

一度に並べられるおでんダネは3種類。選び抜いた具材で勝負だ

仕入れたおでんダネを好むお客さんが、より多く来店するようになる

所持金総額が増えていくと、仕入れられるおでんダネの種類も次第に増えていく。

仕入れ値は、おでんダネによってまちまち。江戸時代では、かけそば1杯より高かったという「たまご」は少々高めな値段設定となっている

おでんダネのバリエーションも豊富だ。今回のプレイでは18種類が確認できた。食べたことのない、見ただけでおいしそうなおでんダネが続々と追加されていく

前作と合わせてやり込みたい、ほんわか癒しゲーム

ゲーム説明文にある「不思議でちょっと泣けちゃう物語」は、まだ入り口といったところまでという今回のプレイとなったが、個性豊かなお客さんたちのこぼす愚痴が、少しずつオヤジとの距離を縮めていく感覚が極めて面白い。

お客さんの愚痴からは、やたらと「鬼」についての情報が得られた。今後の物語にどのように絡んでいくのかが気になる

BGMも含め、非常にゆったりとした「これぞおでん屋台!」と感じられる世界観が作り上げられており、ちょっとした合間にプレイすれば癒されること間違いなしだ。

ゲームクリアには、かなりのやり込みが必要な大ボリューム作品となっているが、ほろりと泣ける物語をぜひ完結まで見届けてみてほしい。

また、本作はシリーズ作品ということもあり、背景に前作を思わせる発言も多く見受けられた。

本作を遊ぶ前、あるいは平行して前作も合わせてプレイすると、より物語に入り込みやすく、時代を超えたつながりを感じられることだろう。

  • 使用した端末機種:iPhone 6
  • OSのバージョン:iOS 9.3.2
  • プレイ時間:約5時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.2
  • 課金総額:0円

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