夢のヤギ生活を実現!?
おバカスマホゲームの決定版
スウェーデンのゲーム開発会社Coffee Stain Studiosが、社員のプログラム経験と想像力のトレーニングのために制作したのが本作『Goat Simulator』。プレイヤーがヤギとなって箱庭世界の中で自由に行動するだけというおバカゲーを、MMORPG(大規模オンラインRPG)っぽく味付けしたタイトルとなっている。
普通ではありえない奇抜なヤギが登場するカオスな世界
メーカーが公式に「本物のヤギを買うためにお金を使った方がマシ」とうたっているだけあって、その内容はかなりカオスなものとなっている。『Goat Simulator』であり、かつ「MMO Simulator」である本作は、見た目にはMMOゲームの雰囲気を醸し出してはいるものの、システム的には疑似オンライン。完全に1人で遊べるオフラインのゲームだ。
最初は、6種類のタイプから自分の分身となるヤギを選択してスタート。それぞれ、火の玉を吐いたり、透明になれたり、魚が釣れたりといった特別な能力がある。これらのタイプは、プレイ中に切り替えることも可能だ。
何をやってもかまわない! 風の吹くまま自由に行動しよう
メインストーリーや、先へ進むための必須条件があるわけではないので、手当たり次第に物を壊してもいいし、NPCに襲い掛かってもかまわない。画面右上の円形マップを見ながらひたすらフィールドを駆け回るのもいいだろう。
マップには洞窟や町など、複数のフィールドが存在する。また、プレイヤーのヤギには経験値があってレベルが上がっていくが、何をしても経験値はどんどん稼げるので気にする必要はない。とにかく好きなようにプレイしよう。
NPCからクエストを受けたり、金ヤギのトロフィーを集めたり
何をしてもいい世界の中で、何か目的を持ちたいというのなら、草原や町のあちこちにいるNPCからクエストの依頼を受けよう。その内容は「何かを持ってきてほしい」とか「ヤギを退治してほしい」というもので、決して難しくはない。
さらに、クエストはいくつも同時に受けられるので、とりあえずいったん受諾しておいて、あちこちを探索しているうちに目的が達成したらNPCに報告に行くという大ざっぱな感覚でOK。クエストをクリアすれば、新しいヤギのタイプが選べるようになったり、アイテムが手に入ったりする。また、フィールドのあちこちに金色をしたヤギのトロフィーなども隠されているので、その収集に精を出すのもいいかもしれない。
普通では考えられないアバウトすぎる動きやバグを楽しむ!
本作の特徴に、大量に残されているバグがある。もちろん、ゲームのプレイに支障をきたすものではないので、バグを見つけるというのも楽しみ方の1つなのだ。あえて取り除かなかったのか、取りきれなかったのか、はたまた技術がユルいのかは判断できないが、完成されているとはとても思えないようなシーンもあって、この部分も本作の持ち味となっている。
このゲームでは、何をしても「死んでゲームオーバー」という概念がないので、やれそうなことはすべて試して世界を楽しむというのが正解だ。ただ、プレイしているうちに知らずに時間が経っている、という不思議な感覚を持つ作品だと言えるだろう。
タップやスワイプで方向を変えたり移動したりする時に、急激に視界が変化することがあり、画面酔いする人は注意が必要。また、このゲームは容量が大きいので、最初にダウンロードする際にはWi-Fiでの通信が望ましい。ちなみに、筆者がプレイしていた限りにおいては、AndroidでもiOSでもゲームが止まってしまうというような不具合は発生しなかった。
新入社員の研修で作った作品を世に出すというアバウトすぎる発想が、そのまま内容に反映されているこのカオスワールドに、お金を払うかどうか? それはプレイヤーの胸のうち1つ。だが、きっちりと決められたシステムや世界の中で、目的に向かってプレイするゲームに飽き飽きしているなら、本ゲームを遊んでみる価値はあるかもしれない。すべての理不尽さを踏まえて「ただキャラを動かす」という感覚は、妙に楽しかった。
- 使用した端末機種:GALAXY Note Edge / iPhone 5s
- OSのバージョン:Android 5.0.1 / iOS 8.4.1
- プレイ時間:約3時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.4
(C) Coffee Stain Studios