Rusty Lake: Roots【ゲームレビュー】

『Rusty Lake: Roots』は、仕掛けを解きながらストーリーを進めていく脱出ゲーム。サスペンス、ホラー、ミステリーなどが入り混じった独特な世界観のタイトルだ。

唯一無二のカオス謎解き脱出ゲーム

『Rusty Lake: Roots』は、Steamを中心に人気のPCゲームをスマホ向けに移植した脱出ゲーム。

『Rusty Lake』や『CUBE ESCAPE』などの名前でシリーズ化されており、すでに10作品ほどがスマホ向けに配信されている。

ジャンル分けするのがとても難しいが、サスペンス、ホラー、ミステリーなどが入り混じった、得も言われぬ世界観や物語が魅力の作品だ。

タイトルに「Roots」とついているとおり、本作ではシリーズの始まりといえるエピソードが描かれている。

シリーズのほかのタイトルと世界観は共通だが、お話自体は独立したもの。本作からのプレイでも問題なく楽しめるはずだ。

「Rusty Lake」という湖が舞台。これはシリーズで共通している。叔父の遺産である種を植えた「ジェームズ」とその一家に、数奇な運命が待ち受ける

プレイヤーは画面内の各所をタップやスワイプで探索し、謎を解いていく。脱出するといった設定ではないが、いわゆる脱出ゲームのような遊び方だ。

キーとなるアイテムや真実にたどり着くと、次の物語(ステージ)が開放される。全部で33あるようだ

もともと海外向けのタイトルなので、まずは日本語化しておこう。設定画面(歯車アイコン)の「言語設定」から変更可能だ

ブラックユーモア満載のカオスな謎解き

謎解き要素に、人体を利用したものがあるのが本作のカオスなところ。

登場人物にアイテムを渡すことで次のヒントが入手できることもあれば、死体などをギミックのように扱うこともある。

ちょっとドン引きしてしまうような驚きのギミックを紹介しておこう。

相手の鼻血でプロポーズの言葉を書く、シュールな場面。相手はこれでOKしてしまう……

赤子を生ませ、へその緒を切り落とす。筆者もさすがにドン引きしてしまった

オーソドックスな謎解きも多数あり

かなり突飛なギミックから紹介してしまったが、箱の仕掛けを徐々に解き明かしていくような、オーソドックスなものも多い。

王道の謎解きもしっかり楽しめるようになっている。

不老不死の薬を作るギミック。天秤でそれぞれの重さを確認しながら、最終的に数値を出していく

時計を直すギミック。パーツを的確な形に切り分ける必要がある

断片的な情報が想像力をかき立てる

物語については大まかな設定や流れはあるものの、ゲーム中で多くは語られない。

入手できるのは、探索で確認できる手紙や日記などの断片的なものばかりだ。

ここから、人間関係などをあれやこれやと想像していくのが本作の面白いところとなっている。

各所で人が死んでいくのだが、会話やイベントスチルなどは一切ない。動機などの説明がほとんどないのである

謎解き部分にも、登場人物の心理を表したものが多数出現。間接的に描くところが本作のうまさだ

これはこれでアリと思えてしまう作品

世界観や謎解きがとにかく独特。いくつかのシチュエーションで「制作者の頭は大丈夫か?」と思えるほどだ。

カオスな世界観なのだが、味のあるグラフィックと、時折見える登場人物の心理描写などによって、どんどんその中に引き込まれてしまう。

最終的にはこういうものだと説得され、とても魅力的に感じてくるから不思議である。

カオスさの象徴ともいえるコレクション要素「10の餌食」。物語を進めて人体の部位を集めていく

謎解き要素は、ほどよく楽しめる難易度。メモを片手に答えを考え、謎が解けたときの爽快感はなかなかのものだ。

外見のカオスさばかり目立つが、脱出ゲームとしてもじゅうぶん魅力的。

随所に独特の魅力を感じられる作品なので、今作から『Rusty Lake』シリーズの世界に踏み入れてみてはいかがだろうか。

  • 使用した端末機種:iPhone 6s
  • OSのバージョン:iOS 9.3.1
  • プレイ時間:約3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.1.5

(C) RustyLake.com