元祖競馬シミュレーションがスマホゲームとして復活!
『ダービースタリオン マスターズ』(以下、ダビマス)は、競走馬育成シミュレーションゲームの草分けである『ダビスタ』シリーズの最新作。
プレイヤーは馬主兼牧場主兼調教師となって、強い競走馬を育成していくというシリーズ本来の楽しみはそのままに、スマホになったことでオンライン要素が強化されるなど、大きなパワーアップを遂げている。
『ダービースタリオン』シリーズとは?
競走馬シミュレーションの草分けとして、1991年に第1作がアスキーから発売された『ダビスタ』シリーズ。
第1作は、薗部博之氏がほぼ1人で開発しており、当初は関東のレースにしか出走できなかったが、ナンバリングを重ねるごとにパワーアップ。第3作『ダービースタリオンIII』では、累計出荷本数120万本を達成!
ゲームだけにとどまらず競馬雑誌でも特集が組まれ、プレイヤーが育てた馬を持ち寄り、走らせる大会が積極的に開催されるなど、『ダビスタ』ブームを巻き起こした。
現在の競馬関係者には、『ダビスタ』をきっかけに競馬に興味を持った人が多くいるほか、『ダビスタ』のコアゲーマーから本物の競馬評論家に転身する人が現れるなど、その影響は実際の競馬界にも及んでいる。
ブリーダーズカップが復活!育成がより熱くなった
今年に入ってから、スマホゲームの世界でも競馬シミュレーションの新作が次々と発表されている。
スマホに対応するためにゲーム性が変わるタイトルがある中、本作は従来の『ダビスタ』の楽しさを追及した内容となっている。
さらに、レース中に特別な効果を発揮する才能などの新要素が加わったほか、ブリーダーズカップが復活! オンラインを通じて、友だちやほかのプレイヤーと育てた馬を競わせ合うことが可能になった。
基本は、1人でコツコツと馬を育成し、自信のある馬を育てたらブリーダーズカップに登録して、ほかのプレイヤーと対戦するというのが基本的な流れとなっている。
初期繫殖牝馬から見事な配合を導け!
『ダビスタ』シリーズの最大の特徴は、緻密に作りこまれた競走馬の繁殖と配合のシステム。
種牡馬と繁殖牝馬の能力や才能を遺伝させて、より強い馬を作り出していくのが配合の基本となる。
さらに、同じ馬を祖に持つ馬を掛け合わせるインブリードや、「よくできた配合」や「面白い配合」といった特定の条件を満たすと発動する配合理論などの要素もある。
今回のプレイの目標は、ゲーム開始時に牧場にいる初期繁殖牝馬からスタートし、配合理論のひとつである「見事な配合」を達成して、強力な馬を誕生させること。
主なルールは下記のとおりだ。
- 「見事な配合」で誕生した馬で重賞を勝利する
- 走らせる馬は初期繁殖牝馬の子孫であること
- 期限は30年目終了まで
見事な配合を達成するための、計画に沿った繁殖牝馬の生産と、そのために必要な種牡馬を入手できるかどうかが目標達成のカギとなりそうだ。
競馬で勝った日は金の馬蹄石を買おう!
実は、本作のリリースを待ち望んでいた筆者。今回の挑戦に当たって、競馬知識をみっちりと蓄え、軍資金もたっぷり用意してきた。
ゲーム内の競馬場で馬券を買って牧場の資金を稼ぐのが、過去の『ダビスタ』では王道の金策手段。
今作ではゲーム内で馬券を買う機能はないため、現実の世界の競馬で金の馬蹄石を購入するための資金をたっぷりと稼いできたというわけだ。
この知識と競馬愛によって、強い馬を誕生させられるのだろうか!?
知っておきたい配合用語
- インブリード:祖先に同じ馬を持つ組み合わせのこと。その祖先の持つ能力を引き出せる半面、血が濃くなりすぎると体質が弱まるなどの弊害が出ることもある
- アウトブリード:インブリードがまったく入っていない配合のこと。インブリードの産駒と比べて、体質が強くなるほか、時おり怪物級の馬が生まれることも
- クロス:インブリードのこと。例えば、父の3代前と母の4代前に同じ馬がいる場合は、「3×4のクロス」と表記される。
- 系統:父~祖父~曾祖父と、父方で受け継がれるラインのこと。祖となる馬の名を取った親系統と、親系統から枝分かれする子系統に分かれている
「見事な配合」を目指すために
まず、今回の目標となる「見事な配合」の達成条件は下図のとおりだ。
「見事な配合」は、種牡馬の5代祖先馬のうち、母父にあたる馬4頭(以降、5代祖先馬)と、繁殖牝馬の4代祖先馬4頭(以降、4代祖先馬)の親系統の構成が、同じであることが条件となる。
なお、これらのうち3つまでが同じ構成となっている場合は、本作で新たに登場した「よくできた配合」になる。
見事な配合は、産駒のクロスの効果を高める効果があるため、配合内でインブリードを発生させることも重要だ。
アウトブリードの場合、せっかく見事な配合が成立しても、まったく効果がない結果になってしまうので、同一の祖先でつながることにも留意する必要があるだろう。
流行の血統を狙え!
見事な配合を狙って繁殖を進めていく場合、先に締めとなる種牡馬(最後に種付けを行う父馬)を決め、そこを起点として考えていくのが基本となる。
締めとする馬の必須条件は、5代祖先馬の親系統に入っている馬の血統構成が再現できる血統で構成されている必要がある。
レア過ぎる親血統は、適合する繁殖牝馬を用意する難易度が格段に上がるため、下記の血統が入っている馬は基本的に避けたほうがいいだろう。
避けたい血統
- Eclipse
- Phalaris
- Swynford
- Himyar
逆に、現在流行している親血統で構成されている種牡馬は、繁殖牝馬の用意が簡単なので「見事な配合」の仕上げに向いている。
特に、Royal ChargerやNearcticは現在主流となっている血統のため、これらの血統が含まれる馬は繁殖牝馬も用意しやすい。
ただし、Native Dancerは比較的新しく系統確立した馬のため、5代祖先に入っている種牡馬は逆にレア。
こちらを繁殖牝馬の血統に入れてしまうと、見事な配合を達成できる種牡馬の選択肢が激減してしまう。
流行の親系統
- Royal Charger
- Native Dancer
- Nearctic
- Nasrullah
また、クロスを掛ける場合は、以下の馬が血統表にあるとクロスを発生させやすい。繁殖牝馬を用意する際は、意識してこれらの血統を含む種牡馬を使って配合を進めていこう。
馬名 | 親系統 | 因子 |
---|---|---|
サンデーサイレンス | Royal Charger | 底力、速力 |
Roberto | Royal Charger | 早熟、長距離 |
Hail to Reason | Royal Charger | 底力 |
Northern Dancer | Nearctic | 底力 |
ノーザンテースト | Nearctic | 堅実、速力 |
Nijinsky | Nearctic | 底力、速力 |
Danzig | Nearctic | 早熟、速力 |
Mr.Prospector | Native Dancer | 底力、速力 |
サラブレットの血統とは
ほぼすべてのサラブレッドは、大もとををたどっていくと、「ダーレーアラビアン」「バイアリーターク」「ゴドルフィンアラビアン」の3頭に行き着く(三大始祖)。
そこから子孫が枝分かれをしていく中で、優秀な子を多く成した馬は系統を確立し、親系統になる。
さらに、親系統の中で子孫を多く残した馬が子系統を確立するという仕組みになっており、子系統がさらに子孫を多く残していくと、それが親系統に昇格して独立する仕組みになっている。
そのため、古い血統になればなるほど、子孫が次々と独立してしまいレアになってしまうのだ。
初期繁殖牝馬ウィリアムチョコから配合スタート!
以上を踏まえて、実際に「見事な配合」となる仔馬の誕生を目指して挑戦スタート。
初期繁殖牝馬は、ウィリアムチョコ、スターライトホール、アラモープリモの3種類からランダムで選ばれるが、今回、筆者の牧場に配されていた初期繁殖牝馬は、ウィリアムチョコ。
主となる血統がNearctic、Nasrullahと流行しているものなので、ここを起点として見事な配合につなげていくのに適しており、大当たりといえるかもしれない。
そして、最初のチュートリアル後のプレミアム抽選ではキングカメハメハの種付け権を見事にゲット。幸先がいいスタートを切ることができた。
種抽選の結果にもよるが、2代目でキングカメハメハの「見事な配合」を達成できる。
上記の図では、キングカメハメハは5代祖先馬がNasrullah、St.Simon、Nearcticで構成されている。
対して、ウィリアムチョコの4代祖先馬はNearctic、St.Simon、Nasrullah、Himyarであり、Himyarが余計となり、「よくできた配合」止まり。
そのため、ウィリアムチョコにSt.Simonと、NasrullahかNearcticのどちらかを持つ種牡馬を重ねれば、その子どもの代で見事な配合を達成できる。
「意外と簡単にゴールできそう」とほくそ笑む筆者だったが、『ダビスタ』あるある的な罠が迫っているとは、このときは思いもしていなかった。
セントサイモンを求めて
チュートリアルの過程で産まれたのは、ウィリアムチョコとキタサンブラックの牝馬。
最速でキングカメハメハとの見事な配合を達成するためには、St.Simon × Nearctic またはNasrullahの親血統を持つ下記の種牡馬を掛け合わせなければならない。
- タップダンスシチー(St.Simon × Nearctic)
- デビッドジュニア(St.Simon × Nasrullah)
- バランスオブゲーム(Nearctic × St.Simon)
特に、母父にNorthern Dancerを持つタップダンスシチーは、クロスも発生するのでぜひとも狙いたい種牡馬。
しかし、このSt.Simon系の種牡馬がまさに曲者。
ここでピックアップした種牡馬は星2~3のため、金の馬蹄石を使うプレミアム種抽選ではなく、フレンドポイントを使うダビフレ種抽選でしか入手できない。
フレンドポイントは、フレンドが、自分がブリーダーズカップに登録した馬と併せ馬調教をしたときに入手できるのだが、ゲーム開始直後は入手方法がログインボーナスなどに限られている。
序盤は、ほかの種牡馬との見事な配合に留意しながらも、牧場を拡張するために馬を生産していくことに。
牝馬が生まれない
そして、さらなる問題に直面。
牝馬が産まれないのだ。
本作では、牡馬も種牡馬として子孫をつないでいくことが可能だが、そのためには重賞を勝ち上がる必要がある。
序盤に産まれた馬の実力では、オープンまで上がるのがやっとという状態で、重賞なんて夢のまた夢という状態だ。
あと一歩まで迫るものの……
筆者が苦戦しているさなか、編集部ではほかのスタッフも同様に、ウィリアムチョコからキングカメハメハと配合できる牝馬の生産を目指していた。
そして、ついにタップダンスシチーを入手して受胎したという直後、ウィリアムチョコが逝去してしまうという悲劇が発生!
目標変更で「見事な配合」へ
ウィリアムチョコが高齢となり、受胎率が低下したこともあって、ウィリアムチョコからキングカメハメハのルートを断念することに。
ここで残されていたのは、チュートリアルで誕生したオマツリガールとチチカステナンゴの間にできた牝馬のみという状態。
この牝馬から、手持ちの種牡馬で見事な配合の達成を目指すことに。
そして、いったん吹っ切れたことでつきものが落ちたのか、逆に牝馬ばかり産まれるという状況に!
この幸運に恵まれたこともあり、無事にそこから2代目で見事な配合を達成するための牝馬を誕生させることに成功した!!
エットウツバメ号にストーミングホームを種付けすれば、まず1頭目となる見事な配合が達成!
また今回、見事な配合によるクロスの効果を見てみたいということもあり、ハーバーライト号には、アウトブリードになるメイショウサムソンを配合。こちらでも見事な配合が完成する。
また、ストーミングホームが星3の種牡馬であるのに対して、メイショウサムソンは星4。星による能力の差についても確認していきたい。
見事な配合で誕生した馬の成績はいかに?
そして、見事な配合から誕生した馬たちがこちらの2頭だ。
なお本作では、馬の能力を入厩前に知ることができる「馬体解析」の機能が新たに追加されている。
これにより、馬の能力が事前にある程度までわかるほか、おすすめの厩舎まで教えてもらえるようになっている。
「厳しい戦いになると思いますがGIを取るチャンスはあります」という言葉を信じて、2頭の調教をそれぞれ進めてみた。
ちなみに筆者の実感として、本気で強い馬を作るのであれば、調教は手動で行ったほうがいい。
おまかせ調教にすると、馬の能力に合わせた調教ができないほか、出走するレースも自動的に決められてしまうからだ。
調教師は、馬の距離や芝ダートの適性を考えずにレース登録してしまうため、たとえ能力があっても、適性のないレースに出されて、意味もなく大敗してしまうことリスクがある。
ただし、複数の馬を同時に調教していくと、肝心の調教を実行し忘れる危険もあるので、手動調教の場合は1頭に絞ってずっと追いかけていったほうがいいだろう。
今回の2頭は両方とも体質が強かったが、体質に不安がある場合は、一杯で追うときにウッドチップとポリトラックを使ったほうが安全だと感じた。
そして、デビューを迎えた2頭。サムソンズドーターが新馬勝ちを収めてとんとんと勝ち上がる一方で、クローズドサークルは苦戦を強いられることに。
サムソンズドーターが華々しく活躍する中、クローズドサークルは未勝利を脱出するのに8戦も要してしまった。
そして、迎えた30年目。サムソンズドーターがついにGIII「中山牝馬ステークス」を制覇!
代を重ねて繁殖牝馬の能力を上げることが重要!
最終的に、「見事な配合」で産まれた2頭の生涯成績は下記のようになった。
馬名 | クラス | 戦績 |
---|---|---|
クローズドサークル | 1600万下 | 20戦4勝 |
サムソンズドーター | オープン | 23戦5勝(重賞1勝) |
結局、GIを勝利することはできなかったが、それなりに健闘する馬を育成することはできた。
また、クロスのないサムソンズドーターが活躍したのに対して、ストーミングホーム産駒のクローズドサークルが苦戦したことからも、配合理論やクロスよりも、全体的な父の能力のほうが重要なようだ。
そのため、無理やり配合理論を達成するために、あまり能力の高くない種牡馬を経由するよりも、素直にランクの高い優秀な種牡馬を使ったほうが、序盤は活躍しやすいだろう。
また今回の検証では、クローズドサークルのクロスはHaloのみとなったが、もっとクロスが入るようになれば結果は変わったのかもしれない。
ストーミングホームはMr.Prospectorの強いクロスを持つ馬でもあるので、繁殖牝馬の中にもMr.Prospectorの血が入っていれば、大きな爆発力アップにつながる可能性がある。
このように、もっといろいろな馬を掛け合わせ、調教メニューを改善して……と考え始めると、迷路に踏み込んだような『ダビスタ』の世界にクラクラとしてくる。
ぜひとも本作をプレイして、そのうっとりとしてしまうような奥の深い競馬の世界の一端に触れてほしい。
セリの格安馬で楽に達成できてしまった……
なお、今回の挑戦で4世代、ゲーム内時間で25年もかけてようやく達成した「見事な配合」だが、2月1週に開催されるセリを利用すれば、格安で簡単に達成できる。
セリにて100万で販売されているできるウマガアウカラは、キングカメハメハの「見事な配合」の達成条件を満たしているのだ。
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