スタートカンパニー【ゲームレビュー】

IT企業の社長となって、世界一のグローバル企業を目指す経営シミュレーション『スタートカンパニー』。自分の会社を経営する以外にも、ほかのプレイヤーが経営している企業の株を取引して、投資でもうけることもできるのが特徴だ。少しずつ会社を成長させていき、世界を股にかけたビッグカンパニーを育てよう。

個性的な社員たちをこき使って
ブラックじゃない一流企業を目指せ!

ニートの世界に片足を突っ込みそうになっていた主人公が、なぜかiPadを買うために一念発起。自ら起業して大企業の社長を目指すというのが本作のプロローグだ。一見、親近感がわきそうな感じなのだが、実は彼女がいるというリア充設定なのが玉にキズ?

二頭身のドット絵で表現されたキャラクターが、ハートフルな雰囲気を演出。しかし、会社経営や設備投資、株取引、土地開発など、さまざまな要素を含んだ割とガチな会社経営を体験できる

大学卒業間近なのに就職活動もせず、なぜか起業の道を目指す主人公。そんなプータロー予備軍に憎まれ口を叩きながらも、ついついiPadを買い与えてしまう母親が微笑ましい。「今はまだ若いからいいが、この先、歳をとっていくとな……」とつい説教したくなるが、これぐらい元気なほうが最近はいいのだろうか? いや、やはり公務員が安定……

社員を雇ってプロジェクトをスタート

何はともあれ、会社に必要なのはお金だ。本作では、わずかな資金で社員を雇ったら早速プロジェクトがスタートする。一定時間が経つとプロジェクトが終了し、報酬となるお金や名声をゲット。それを元手に会社を大きくして社員を増やし、さらに大量の仕事をこなしてお金を稼ぐ……、というのが基本的なゲームの進め方だ。

会社のフロアを表現した基本画面。画面上にある会社名の下が株価で、その横の黄色いバーは経験値。勲章は名声、緑のお札は資産、キューブは課金額を表している。最初は受付と1つのフロアしかないが、稼いだお金でドンドン上の階を買い占めていくことが可能だ。なお名声は、社員の雇用や解雇に影響を与える

社員たちのステータス画面。ここで重要になるのが、カコミ内にある4つの職業能力値と特徴。能力値は左から、開発、企画、メディア、デザインとなっている。これを各フロアで要求される能力に照らし合わせて配置すれば、さらに効率よく仕事をこなせるようになる。エッジの効いた紹介文も面白い

こちらはフロア画面。フロアごとに取り組むプロジェクトの内容が異なっており、さらに必要とされる社員の能力も変化する。ちなみに、職業能力値はプロジェクトのスピード、特徴は報酬倍率にかかわってくる

最初はとりあえず手当たり次第に社員を雇い、適当に配置するだけでも仕事は回る。しかし現実と同様に、適材適所で社員を配置したほうが、数倍は効率がよくなる。最初は人数合わせで誰でもいいから雇い入れ、後から優秀な人が現れたら能力の低い社員を解雇すればOK。解雇のデメリットは名声が10減るだけ。ゲームの中では訴訟を起こされるとか、労基にチクられるといったリスクはないので、安心してクビにできる。

ブラック会社では効率ダウン!? 社員に優しい社内環境を

仕事をこなしているとたまってくるのがストレス。本作はあくまでゲームなので、基本的に社員は(社長もだが)24時間体制で仕事をしてくれる。しかし、ストレスがたまりすぎると仕事をしなくなってしまい、効率は急激に低下する。それを解消してくれるのが「休暇」だ。仕事を忘れてバカンスに行けば、ストレスもスッキリ解消し、再び仕事に打ち込んでくれる。現実の世界でも、休暇がないとドンドン仕事がおろそかになっていくのである。世のブラック企業経営者は、このゲームを規範にするべきではないだろうか!

休暇ボタンを押せばタダでストレス解消できるが、1人ずつしか解決できないのでちょっと手間。お金をかければ、「全員休暇」で全社員のストレスを一瞬で解消できる

また、各フロアをアップグレードすれば、仕事の環境が改善され、ストレスがたまりにくくなる。各フロアは2段階までアップグレードでき、ストレスの上昇が最大75%も改善される。こちらも仕事の効率化に重要な要素だ。なお受付をアップグレードすると、能力値が高い(レア度が高い)キャラクターが求人に訪れるようになる。

能力値が極めて高い社員は、課金か名声を消費して「社員募集」を掛ければやってくる。名声は250を消費して星4のキャラクターまで。課金だと1回につき480円(シングル)と少々お高いが、星5までのキャラクターが登場する。また、チケットを使った特別募集でも最大レアの社員を獲得できる可能性がある。チケットはたまに現れる特別プロジェクトの報酬として獲得できるので、見逃さないようにしたい。

特別プロジェクトは、ロビーで「!」を出している訪問者から受注できる。お金の面の報酬もいいので、積極的に受けたいところ

プロジェクトをこなしていくと、報酬以外に社員の経験値も上昇。一定値でレベルが上がり、能力値も合わせてアップする。キャラクターのレア度が高いほど最大レベルが高くなり、また一定レベルで役職へと昇進可能になる。

キャラクターのレベル上限

  • 星1→レベル10
  • 星2→レベル20
  • 星3→レベル30
  • 星4→レベル40
  • 星5→レベル50

キャラクターの昇進可能レベル

  • レベル10→主任
  • レベル20→係長
  • レベル30→課長
  • レベル40→部長
  • レベル50→副社長

ちなみに、おべっかやゴマすりといったスキルはないので、レア度(能力)が高くないと絶対に上の役職に就くことができない。リアルなのか、そうじゃないのか微妙なところだが……。さらに、ある役職のキャラクターが一定数いないと受注できないプロジェクトも存在する。レア度が高いキャラクターを誤って解雇することがないよう注意したい。

株を買って一攫千金!? 出社状況を見極めよう

本作の特徴である株取引。そこには架空の会社ではなく、実際にゲーム内でプレイヤーが経営している会社の株が登場する。もちろん、自分の会社の株も登場し、配当もある。

株取引画面。全体リストと、会社ごとの細かなチャートがチェックできる。「株購入」ボタンを押せば、すぐに株を購入できるほか、「ハート」ボタンでお気に入りに登録して株価の推移を見守ることも可能だ

株価が上下する要因は明らかではないが、会社の規模(フロア数)や資産、それと「出勤状況」も関係するようだ。なお、ここで言う出勤状況とは、ゲームにログインして仕事をしている時間のこと。実際、筆者が数時間ゲームに張り付いていた時は6,000円まで上がった自社株が、ひと眠りして起きてみると半分の3,000円まで下がっていた。しかも、14日間続けて社長のログインがない会社の株は、取引中止となって株価が0円となってしまうので注意したい。

株でもうける方法として、できたばかりの会社の株を青田買いで購入し、少し寝かせる方法があるが、そのプレイヤーがどれだけ遊んでくれるのかが未知数なのが難点。ある程度の資産が築けるまでは手を出さず、余裕が出てから、まずは上がり調子のお堅いところを買ってみるといいだろう。

ちなみに「自社株を買えば、楽に儲けられる!」と思うのだが、自社株は残念ながら購入できないようだ。楽な金儲けの方法はないということである。

地道に会社を経営して、目指せスティーブ・ジョブズ!

本作では特に行き詰りそうな難所もなく、地道にプロジェクトをこなしていけば、誰でも会社を軌道にのせることができる。そのため、時間は少々かかるものの、少しずつ成長する箱庭ゲームが好きな人にも向いている。また、ギャンブル好きは株に全力投入するのもおすすめだ。例え失敗しても、ゲームなら痛くはない(かかった時間は痛いかもしれないが)。

居眠りしそうな社員にコーヒーをあげて起こしたり、忍び込んできた泥棒をタップで撃退したりといった要素も、ちょっとしたお遊びとして楽しむことができる。筆者のお気に入りは、キャラクターの紹介文。現実にいそうな人物をちょっとシニカルに表現しており、これを読むためだけに全員を雇用したくなってしまった。

特にお気に入りの3人を紹介。ロバートは毎日飲みに誘われそうでウザそうだし、エマが隣の席だと最悪な1日になりそうだ。そしてスティーブンは、絶対にいっしょに仕事をしたくない! これで特徴が誠実となっているのは何かの冗談ではないだろうか?

なお、今回のプレイでは到達できなかったが、会社が大きくなれば街の開発や不動産投資も可能になる。トップ経営者の仲間居入りを果たせば、偉大な経営者スティーブ・ジョブズの気分を、少しでも味わうことができるかもしれない。

  • 使用した端末機種:iPhone 4S
  • OSのバージョン:iOS 8.3
  • プレイ時間:5時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0
  • 課金総額:0円

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