Time Adventure【ゲームレビュー】

『Time Adventure』は、時間を操って迷子になった宇宙人をロケットまで導く、新感覚の2Dアクションパズルだ。開発したのは、『消滅都市』や『タワーライジング』などを手掛けているWright Flyer Studios。ここでは「Garage」と呼ばれる少人数×短期間開発プロジェクトで小規模なゲームアプリが開発されており、本作もその1つ。シンプルな操作方法だが、やわらかでなじみやすいグラフィックに、実はけっこうな高難易度のステージと、プレイヤーを飽きさせない作品だ。

迷子のイムタをタイムコントローラーで
導く2Dアクションパズル

惑星「スーア」の森を調査していた宇宙人「イムタ」は、調査に夢中になるあまり、自分の乗って来た宇宙船の場所がわからなってしまう。困ったイムタは、偶然出会ったプレイヤーに宇宙船まで導いてほしいと依頼。

「イムタ トッテモ ヒンジャク
 ジカン アヤツル “コントローラー” カス
 イムタ アンゼンニ ミチビク」

イムタから受け取った「タイムコントローラー」を使い、宇宙船までの道のりを切り開いていこう。

パステル調のグラフィックスに、どこかのんびりとしたBGMがノスタルジックな気持ちを呼び起こす本作。なんとなく小学校時代を思い出すようだ

時間をストップ、早送り、巻き戻し!

『Time Adventure』の目的はイムタを無事に宇宙船まで導くことだが、イムタを直接操作することはできず、タイムコントローラーによる「時間停止」「早送り」「巻き戻し」の3つでプレイヤーが介入していく形だ。

イムタは一定のスピードで真っすぐ歩いていくので、道中にある落石や流木をタイムコントローラーでうまく避けつつ、崖などの障害物を乗り越えさせていかなければならない。ほんわかした世界観にだまされがちだが、ボーっとしていたらすぐにゲームオーバーになる、歯ごたえのあるパズルゲームになっている。

スライムみたいな頭をしたのがイムタ。イムタにはタイムコントローラーの影響はなく、ひたすら真っすぐ歩いていく。ちなみに、本作には広告表示のない有料版が別途用意されているが、そちらはゲーム内の説明がすべて英語になっている

タイムコントローラーで操作できること

  • 時間停止

時間を止める。落石や流木を避けたり、それを橋にして崖や川を渡ったりすることもできる。時間を止めているときの「カッチ♪コッチ♪」という音も、なんとなく焦燥感を駆り立てるようでグッド

  • 早送り

時間を早く進める。小さいキノコの上で早送りにすると、キノコが成長して上のフロアに行けるようになる。また、作りかけの橋を伸ばすときにも利用する

  • 巻き戻し

時間を巻き戻す。元の場所へ戻っていく落石や流木に乗ることで、上のフロアに向かったり、崖を乗り越えたりすることができる

基本操作は、ここで紹介した3つのみ。各ステージで、これらの操作を組み合わせて先に進んでいく。なお、タイムコントローラーを使うと画面下にあるゲージが減っていき、ゼロになるとゲームオーバーになってしまう。序盤は余裕だが、使う頻度が増えてくる終盤では、タイムコントーローをどこで使うかが重要なポイントとなる。

ゲージの下に表示されている星マークは、クリア時の報酬にかかわっている。タイムコントローラーの使用時間が少なければ少ないほどスコアがよくなる

障害物以外にもやっかいな敵が登場

ステージでは川や崖などの自然の障害物以外に、黒いイムタ亜種のような敵が登場する。彼らに触れると即ゲームオーバーになるので、その移動先を先読みしていかないとクリアは難しい。また、ステージ上に落ちているカードキーは出口を開くアイテムだ。すべてを拾わないと先に進むことができない。

敵はタイムコントローラーの影響を受けないので、なかなかやっかいだ。回り道をしたり、キノコを成長させて障害物にしたりするなどの工夫が必要だ

先のステージへ進んでいくと、だんだんステージそのものの長さが増えて、難易度も上昇。ほんの少しのミスが命取りになることも多々ある

難しくてもヒントがもらえる親切設計

ポップでキュートなキャラクターにゆるやかな音楽が組み合わさって、何とも言えない魅力を醸し出している本作。ゲームが苦手な人にもおすすめしたくなってしまう雰囲気だが、「時間を止めたら、このタイミングまで早送りしてすぐに巻き戻し!」といった具合でかなり操作がいそがしく、難易度は高い。ノーヒントでクリアするには柔軟な思考と器用さ、そして正確なテクニックが要求される。

パッと見ではルートがまったく想像できないステージも。自力で解きたいのなら、何度も挑戦を繰り返し、見えないルートを開拓していくしか道はない

このように、コアなパズルゲーマー向けの難易度を誇る『Time Adventure』だが、クリア方法が見当もつかないという人たちのために、ヒント機能が設けられている。しかも、ヒントを聞くのに課金アイテムなどは不要で、まったくのノーリスクで答えを聞くことができる。ただ、本作のようなパズルゲームは、辛酸をなめ尽くして難解なステージをクリアしていくことも醍醐味の1つ。ヒントはいつでも見られるので、とにかくまずは自力で挑戦することをおすすめする。

ヒントを使うと、進むルートはもちろん、ストップや早送り、巻き戻しを行う場所までが一目瞭然だ。このとおりに進めばOKなのだが、ステージによってはヒントを見ても失敗することもあるぐらい難しい……

動きまくるイムタにイライラしない、寛容な気持ちが大切!

操作方法がシンプルなので、言語が英語表記になっている有料版でも問題なくプレイできる。システム的には、ちょうどいいタイミングでストップや早送りを押すだけなのだが、ウロチョロと動きまくるイムタが焦燥感をかきたてて、それが本作の難易度を上げる一因にもなっている。

うまくいかずにイライラすることもあるが、それもパズルゲームの面白さ。詰め将棋的なテクニックが必要なので、自宅や長距離の移動中などにじっくりとプレイしてほしい作品だ。

  • 使用した端末機種:iPhone 4S
  • OSのバージョン:iOS 8.3
  • プレイ時間:4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

(C)  Wright Flyer Studios, Inc.