プロデューサーは「ディレクターのために存在するもの」
設立から10年を迎えたプラチナゲームズ。これまでに『ベヨネッタ』などの人気作を生み出し、最近では『ニーア オートマタ』がゲームファンから好評を得ている。
そのコアメンバーである稲葉氏は、本イベントがだんだん大きな規模になってきていること感動するとあいさつ。さらに、前回と前々回でプロデューサーを育成していきたいという話をしたことを説明した。
ただし今回のテーマは「ディレクター」。
稲葉氏の考えでは、プロデューサーという存在をひとことでいうと「ディレクターのために存在するもの」であるという。
インディーシーンと、プラチナゲームズのようなディベロッパーの間では、けっこうな違いがある。プラチナゲームズの場合は「トリプルA」と呼ばれるような規模の大きなタイトルを扱わせてもらうことも多いが、市場の中で「席の奪い合い」が発生するのだそうだ。
インディーシーンの魅力は、ディレクターの椅子を自分自身で生み出せること。
どちらがいいという話ではないが、稲葉氏は「だからこそインディーシーンにひかれるし、見ていきたい」と感じるのだという。
プラチナゲームズの場合、神谷英樹氏のイメージが強いもののディレクターは固定されていない。
いろんなタイプのディレクターがいるが、プラチナゲームズの場合は以下のように分類できるという。
- 神谷英樹氏:きちがい型
- 橋本祐介氏(ベヨネッタ2):ナイーブな天才型
- 田浦貴久氏(ニーア オートマタ:リードプログラマー):悪人型
田浦氏の場合は、「黒くて面白い」とのことで、稲葉氏も「どんな形でゲームにあらわれるか、楽しみ」と感じているそうだ。
なぜこのような分類が必要になるのか? 新しいゲームを立ち上げるとき、どんな人間が作るのかということから、完成形がイメージできるとのこと。
これは、稲葉氏にとって大切な分析であるという。
それぞれのカラーに合わせた企画を立案してもらって、パブリッシャーに持っていく、あるいは自分たちで育てるという仕事を、ディレクターと二人三脚で進めていくことこそが、プロデューサーの役割であるとのこと。
そのため、どういうコンテンツを作っていくべきか、こういうタイプだからこそ、こういう風に伸ばしていきたいというかんがえが、インディーシーンにおけるプロデューサーにとっても非常に重要になる。
プラチナゲームズもプロジェクトが増えてきて、稲葉氏自身が細かいところまでは見れなくなってきているそうだが、やはりそのようなコンセプトを明確にするために雑多な話をしているときがいちばん楽しく、作品へのこだわりや答えを出して磨いていくにつながっていくという。
「これは、プロジェクトにとって大切な時間である」と、稲葉氏は語る。
人間を知り、クリエイティブを知るという手法で、ディレクターをサポートしていくれるプロデューサーがインディーシーンにどれくらいいるのか、稲葉氏は気になるし、心配しているとのこと。
稲葉氏自身も、そういったインディーシーン積極的に参加し、さまざま形で手助けしていきたいと考えているそうで、それぞれがアイデアを持っている人たちの中で、つながりを広げていくような役割を担っていきたいとのことだ。
インディーシーンの盛り上がりの中での、稲葉氏の活躍に注目だ!
A 5th Of BitSummit 開催概要
- 名称:A 5th Of BitSummit(フィフス オブ ビットサミット)
- 日程:2017年5月20日(土)・21日(日)
- 時間:10:00~17:00
- 会場:京都市勧業館「みやこめっせ」1階 第2展示場
- 主催:BitSummit 実行委員会
一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)(Q-Games Ltd./PYGMY STUDIO CO., LTD./VITEI BACKROOM Inc./O-TWO inc./17-Bit/Digital Development Management, Inc./Indie MEGABOOTH)
株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス
株式会社インピタス
京都コンピュータ学院
京都府 - 制作:株式会社オリコム