マジック・デュエルズ・オリジン【ゲームレビュー】

全世界に2,000万人以上のプレイ人口を持つTCG(トレーディングカードゲーム)の最高峰『マジック・ザ・ギャザリング』(以下MTG)が、ついにスマホでプレイ可能に。その名も『マジック・デュエルズ・オリジン』だ。

スマホでできるMTGの独自性と魅力

『マジック・デュエルズ・オリジン』は、MTGを題材としたゲームでは初となる、スマホをプラットフォームとしたタイトル。また、本作には同年7月17日から発売される基本セット「マジック・オリジン」のカードが収録されているので、まだ世に出ていないカードにいち早く触れることが可能となっている。

TCGの祖、マジック・ザ・ギャザリングとは?

MTGとは、アメリカのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から1993年に発売された世界初のTCGのこと。基本的なバトルは1対1で行われ、各プレイヤーは60枚以上で構築されたデッキを用意する。それぞれのプレイヤーには20点のライフが設けられているので、デッキ内のカードを使い、対戦相手のライフを削り切るか、デッキのカードをすべて使い切らせることができれば勝利だ。

プレイヤーは手札にある様々な呪文を用いて、勝利条件の達成を目指す

これまでのMTGから見るマジック・デュエルズ・オリジンの魅力とは

本作におけるいちばんの長所は、MTG初心者の入り口としてはこれ以上にないと言う点だ。

PCオンラインゲームMagic Onlineでもネット上でMTGをプレイできるが、こちらはスマホほどの携帯性と、日本語へのローカライズがなされていない。

その反面、本作は場所を選ばずにMTGに没頭できる上、テキストはすべて日本語対応している。

また、日本語による音声解説機能も搭載しており、序盤のチュートリアルでは、クリーチャーの効果や、エンチャントと言った、MTGをプレイする上で覚えなくてはならない専門用語の意味や使い方もていねいにおしえてくれる。また、世界感を壊しかねない和訳もなく、ストイックにMTGを楽しめる。

MTGのヘビーユーザーはもちろん、興味はあるが、敷居を高く感じてしまっている新規ユーザーにもお勧めしたいタイトルだ。

ストーリー中の物語文だが、おかしな日本語は使われていないので、不快感なくストーリーを読み進められる

MTGを楽しみ尽くせる2つのゲームモード

マジック・デュエルズ・オリジンは大きく分けて「ストーリー・モード」と「対戦モード」で構成されている。

ストーリー・モードでは、MTGの物語上、重要な立ち位置にいるキャラクター「プレインズウォーカー」たちのストーリーに触れつつ、決められたデッキを使ってCPU相手にカードバトルを繰り広げていく。

初心者がMTGをプレイする上で最初の障害となるのがデッキ構築なのだが、すでに構築されたデッキを使用できるストーリー・モードのおかげで、その問題が解消できている。最初は運用方法も分からないデッキを使わなければならないものの、序盤の「ギデオン・ジュラ」のストーリーでは、バトル中にも解説が入るため、ゲーム展開や各カードの効果を知る場として利用できる。


ギデオンのストーリーの最中には「スキル・クエスト」と呼ばれるチュートリアルが発生し、どのカードがどのタイミングで使用できるなど、基本的な情報を教えてくれる

対戦モードでは、自分で構築したデッキを使用して、世界中のプレイヤーとランクを賭けた真剣バトルに興じることができる。ランクは勝利するとどんどん上がっていくが、逆に敗北すると下がってしまう。対戦モードでは基本的に同ランクのプレイヤーと当たるので、ランクが高くなるほど、相手も強力なデッキを使用し、テクニカルなプレイをしてくる。

対戦モードでは、他プレイヤーとランクを掛けて戦う「対人戦」のほかに、CPUと1対1のバトルができる「1人対戦」、2体2の特殊ルールで遊べる「双頭巨人戦」がある

カードを収集するやり込み要素

ストーリー・モードではすでに構築されたデッキを使えるが、対戦モードでは自らカードを集めて、デッキを1から作成する必要がある。ここでどんなデッキを組めるかによって、対戦で勝利できるか否かが決まるのだ。MTGではそれほどデッキ構築が重要となる。

新カードを獲得するためには、ゲーム内通貨「コイン」を集めて、ブースターパックを購入していく。中には6枚のカードが入っているので、ここでカードを当てて、デッキを強化していくのが、本作での基本だ。

パックを購入するには最低でも150コイン必要になる。何が出るかは開けてみてからのお楽しみ

パック購入に必要となるコインは、対戦を繰り返すほか、「特定のデッキ構成で〇回勝利せよ」や「特定のカードで〇点のダメージを与えよ」などのクエスト達成の報酬としてもらえる。

また、課金することでもコインを増やせるのだが、購入できるパックや当たるカードに変化はないので、無課金者でもじゅうぶん全カードをそろえるチャンスがあるのも、モチベーションが上がる秘けつだと思う。

ストーリー・モードや対戦モードを繰り返すほかに、クエストをクリアしていくことで、まとまったコインが手に入る

通信量が非常に多いためスマホが発熱したり、アプリが落ちやすいといった不具合はあるものの、スマホ向けタイトルとは思えない高クオリティを保っている本作。現在はiOS版のみの配信となっているが、Xbox OneとWindows(Steam)版も近日配信予定となっており、ますますユーザー数を増やす見込みだ。

日本でも大会が開かれたりとジワジワと人気が広がっているMTG。スマホでプレイできるこの機会に、マジック・デュエルズ・オリジンを始めてみてはいかがだろうか?

  • 使用した端末機種:iPhone 6
  • OSのバージョン:iOS 8.3
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

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