随所に進化が見られるSシリーズ最新作
Galaxyシリーズと言えば、2016年9月に起こったGalaxy Note 7のバッテリー発火問題が記憶に新しいところ。
航空機への持ち込みが規制されるなどの事態に発展、最終的にはリコール、販売・生産の中止にまで至り、Galaxyブランドのイメージを著しく損なうことになってしまった。
その後、トラブルの原因を調査したのちに、今後の安全対策とともに大々的に発表。
それから、Galaxy Sシリーズの新モデルを発表すると予想されていたMobile World Congress 2017(MWC 2017)を見送り、自社イベント「Unpack 2017」にて今回レビューをお届けするGalaxy S8およびGalaxy S8+を発表した。
外観でまず驚きなのが、前面の画面占有率。
Galaxy S7 edgeでは左右のベゼル(縁)が狭い仕様だったが、S8/S8+は上下についても、これでもかと言わんばかりに狭縁デザインとなっているのだ。
そのため、S8は約5.8インチ、S8+は約6.2インチという大型ディスプレイを備えながらも、端末本体としては手に収まりやすいサイズ感を実現している。
Galaxy S8/S8+主なスペック
製品名 | Galaxy S8/Galaxy S8+ |
---|---|
サイズ(高さ×幅×厚さ) | 約149×68×8.0mm/約160×73×8.1mm |
重量(実測値) | 150.0g/173.5g |
OS | Android 7.0 |
SoC | Snapdragon 835 (2.35GHz×4+1.9GHz×4) |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB |
外部ストレージ | microSDXC(最大256GB) |
ディスプレイ | 約5.8インチ(Super AMOLED)/約6.2インチ(Super AMOLED) |
ディスプレイ解像度 | 2,960×1,440 |
メインカメラ | 1,220万画素 |
フロントカメラ | 800万画素 |
バッテリー | 3,000mAh/3,500mAh |
SIMスロット数 | 1(Nanoサイズ)※国内版 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5.0 |
防水・防塵 | IPX5/IPX8・IP6X |
縦横比を一新したInfinity Display
ベゼルを可能な限り狭めたディスプレイはInfinity Displayと呼び、前述のとおり大画面と持ちやすさを両立するほか、迫力のある映像視聴に寄与している。
また、縦横比が18.5:9の従来のスマホと比較して縦長のディスプレイであることも大きな特徴。
これにより、例えばブラウザでWebサイトを閲覧する際には、他の機種より1画面内に表示される情報量が多いというメリットが生まれている。
しかし、スマホのディスプレイ縦横比は16:9が一般的で、多くのアプリケーションはこれに合わせて調整されている。
ゲームアプリも例外ではなく、Galaxy S8/S8+で起動すると、ディスプレイの横幅に合わせて画面が表示されるため、上下に空白ができてしまう。
むりやり全画面表示にすることもできるのだが、左右の両端が画面から見切れてしまい、ゲームによってはまともにプレイすることもままならない。
独特な縦長のディスプレイだが、ゲームにおいては特段のメリットがあるわけではないといえるだろう。
ちなみに、Netflixなどの動画ストリーミングサービスの一部コンテンツが18.5:9の縦横比に対応している。
映画のように横長の映像コンテンツは、他のスマホでは得られない臨場感を味わえるので、今後の展開に期待したいところだ。
サムスン流のAIアシスタント「Bixby」
iOSのSiri、Google アシスタント、Amazon Alexaなど、AIアシスタントが実用化し、スマホの機能の1つとして注目を集めている。
本機もその例に漏れず、サムスン独自のAIアシスタント「Bixby(ビックスビー)」が搭載されている。
Bixbyは大きく分けて「Bixbyホーム」と「Bixby Vision」の2つの機能があり、前者はユーザーの位置情報やカレンダーに登録した予定、活動状況といった情報を表示するもので、後者はカメラで捉えたものを認識するもの。
音声コントロールも備えるAIアシスタントだが、対応言語は韓国語、英語、スペイン語を予定。
日本語対応について、サムスンからはアナウンスがない状況だ。
順当に進化を遂げたパフォーマンス
S8/S8+は、SoCにQualcomm Snapdoragon 835 (2.35GHz×4+1.9GHz×4)を採用。
RAMは4GBを備えており、これが2017年夏のフラッグシップモデルのスタンダードな仕様と言えるだろう。
まずは、各種ベンチマークテストで、マシンスペックを確認していこう。
AnTuTu benchmark
AnTuTu benchmarkでのスコアは164,546を記録した。
Snapdoragon 820を搭載するGalaxy S7 edgeと比較すると、当然スコアは大きく伸びているが、特にUXのスコア上昇が著しい。
3DMark:Sling Shot Extreme
グラフィック性能は3DMarkのOpenGL ES 3.1対応プリセット Sling Shot Extremeを使って測定。
なお、画面の解像度はWQHD+(2,960×1,440)に設定している。
スコアは3,516と、こちらも前世代モデルより大幅に上昇する結果となった。
さらに、内部ストレージとRAMのアクセスパフォーマンスを「A1 SD Bench」にて測定したところ下記の結果が得られた。
内部ストレージの規格は、UFS 2.0もしくはUFS 2.1を使用していると思われる。
対して、RAMはLPDDR4とのことだが、いま一つの結果となった。
- 内部ストレージ:Read 484.56MB/s・Write 204.24MB/s
- RAM copy:6676.50MB/s
総じて、ゲームプレイにおいても不自由ないスペックであると言える端末で、Galaxy S7 edge同様、ゲーム用機能群「Game Tools」も搭載する。
UIが変わったものの、ゲーム画面のスクリーンショットや動画の撮影といった機能を引き続き利用することが可能だ。
ナビゲーションキー(戻る・ホーム・履歴キー)はナビゲーションバーが画面内に表示される形式になったためか廃止され、代わりにホームキーの押し込み動作をロックする機能が搭載された。
筆者が確認したところ、ゲーム起動時にナビゲーションバーが非表示になるタイトルとならないタイトルが混在。
表示されたままの場合、誤入力を防げないのは残念なポイントといえるだろう。
サムスンのテクノロジーが詰まった魅力的な端末
スペック面はもちろんのこと、新しい時代を感じるデザインはユーザービリティにも優れ、これまでにない縦横比のInfinity Displayを大胆に打ち出すなど、サムスンがテクノロジーを駆使し、新世代のスマートフォンはこうであると定義付けた印象を受ける端末だ。
物理ホームボタンが廃止されたことにより、指紋センサーが背面に搭載されることになったことにネガティブな声も多いが、顔認証や虹彩認証といった代替機能でもセキュリティを提供している。
また、Galaxyシリーズは一般的なAndroid端末とは戻る・履歴キーの配置が反対であることがネックだったのだが、画面内に表示されるソフトウェアキーとなったため、配置を入れ替えることが可能になった。
独特な縦横比へのコンテンツ側の対応、未熟なBixbyなど、欠点と捉えられる要素は今後の展開を見守りたいところだ。
ゲームデベロッパー次第なところではあるが、本機の大型で縦長(横画面ゲームでは横長)なディスプレイをフルに活用したゲームは、ぜひともプレイしてみたい。
大画面ディスプレイでゲームや映像を楽しみたい人はぜひS8+を、ポケットや手の中への収まりやすさや普段使いの快適さを求めるならS8を選択するのがベター。
いずれにしろ、縦長なボディは想像以上の持ちやすさをもたらしてくれるだろう。
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