その叱咤激励だが、年を取るとそのようなことをいわれる機会はあまりない。
私個人に関していえば、自分よりも年上を探すことが難しい年齢になってしまい、なおさらのことだ。自分が完全かつ、健全な人間性を持ち合わせているとはいわないが、それなりの学習と日々の積み重ねである程度の常識を持ち合わせるようなった。
よく社会人になってすぐは、「先輩から怒られてばかり」「バカにされてばかり……」などの話を聞くが、その怒られている部分、バカにされている部分、それらは半面、それを治せばさらに人として伸びるという見地からのものだと思う。まだまだ、社会人として人間として成長の余地があるということだと思えば、さらに研鑽を重ねる気持ちになるのではないだろうか。
満を持して体験スタンバイ、受付番号は1番をゲット!
2017年6月13日、JR田町駅に近いバンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)にて、国内最大級のVRアクティビティを誇る「VR ZONE SHINJUKU(新宿)」開業に向けてのメディア向け発表会があり、参加してきた。
当日は2種類(後述)のVRアクティビティの体験ができるとあって、待機時間と混雑が予想されたため、受付開始30分前からBNEの2階ロビーで順番を待つことに。そのため受付番号は1番をゲットすることができた。
会場はBNE本社ビル内4階のシアタースタイルのホール、体験会場はその隣に位置する大スペースを開放してのものだった。
すでに各種報道で、展開するアクティビティに関しては明らかになっているため、すべての紹介は行わないが、当日、私が体験したものを中心に紹介していきたい。
VR ZONE SHINJUKUは2017年 7月14日オープン
VR ZONE SHINJUKUプロジェクトの展開場所は、2014年年末に閉館された名門映画館「新宿ミラノ座」(正式名称は新宿 TOKYU MILANO)の跡地。
ちなみに、工事プロジェクトはの母体である東急グループを挙げてのもので、東急レクリエーションズ、東急建設、そして今回の発表会の運営や仕切りも東急エージェンシー(広告代理店)となっており、BNEと東急グループの協力関係に基づくものと推測している。
国内最大級の規模とコンテンツ
施設規模は約1,100坪という国内でも最大級のVR体験施設になるもので、導入される予定のアクティビティは、お台場にて展開された、
- 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎
- VRシネマティック アトラクション アーガイルシフト
- ガンダムVR ダイバ強襲
- 高所恐怖SHOW
- ホラー実験室 脱出病棟Ω(オメガ)
- 急滑降体験機 スキーロデオ
の6タイトル。
そして、今回新たに導入される予定のアクティビティは、
- ドラゴンボールVR 秘伝かめはめ波
- 極限度胸試し ハネチャリ
- マリオカート アーケードグランプリVR
- エヴァンゲリオンVR The 魂の座
- 恐竜サバイバル体験 絶望ジャングル
- 釣りVR GIJIESTA
の6タイトルだ。
本当のマリオカートの世界は恐くて美しい
今回開催された先行体験会では、『マリオカート アーケードグランプリVR』と『極限度胸試し ハネチャリ』が体験できた。
BNEが過去にアーケードゲームで展開してきた『マリオカート アーケードグランプリ』シリーズでの技術、そのゲームコンテンツのエッセンス、そして最新のVR体験がうまくミックスされたもの仕上がっている。
ゲームの世界観はマリオの極彩色(ごくさいしき)に彩られたそれとまったく同じで、あまりにもリアルに再現されたその世界はある種の芸術性と色の重奏具合がある種の恐怖さえ演出する。ゲームはなじみのある「マリオカート」の世界観そのものだ。
アクティビティ中のアイテムがどれほどあるのかは確認できなかったが、バルーンやピコピコハンマーを実際に手で掴むことができ、それらを活用することができる点も非常に素晴らしい演出。実際に新宿で稼働したときに、再チャレンジしてみたいと思うアクティビティだった。
枯れたコンテンツの水平展開ハネチャリ!?
体験できたもう1つのコンテンツが『極限度胸試し ハネチャリ』。こちらは、昔からのアーケードゲームファンにはなんとも懐かしい体験を髣髴(ほうふつ)させるものだ。
およそ今から20年前にアーケードでヒットした空飛ぶ自転車「プロップサイクル」を、現代のグラフィックとVRアクティビティで再現したら、こうなった……という枯れたコンテンツの水平展開ならぬ、枯れたコンテンツのVR展開の好例といえるもので、今後はこのような事例は増えるのではないだろうか。
その点でも、BNEやセガが持っている大量の過去のナレッジやコンテンツはVR時代には大きなバネになるのではないかと思う。
ちなみに、このハネチャリの体験は4人1組でのものだったが、私だけゴールできませんでした。アクテビィティ中に発生する「気流」をうまく使うことができなかったのが原因だ。
今後みなさんも体験する機会があるときは「単にペダルを漕ぐだけ」ではなく、「気流」にうまく乗ることを念頭において臨んでみてほしい。
BNEならでは実績とライブラリーと活用した展開
先に挙げたセガと同様に、今回の新宿での展開にて重要な役割を果たすアクティビティが『近未来制圧戦アリーナ攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds』だ。
8月稼働予定のこのコンテンツは、フィールドを活用したVRアクティビティで、20m×12mの専用アリーナで多人数全身モーションキャプチャーシステムを構築し、最大で4vs4のチームバトルが可能。
おそらく、このVRアクティビティもBNEならではのコンテンツ実績、開発力、営業力と会社の歴史が結集したもので、他社の追随を許さないものに仕上げっていると思われる。
※セガは「VRアトラクション」、BNEは「VRアクティビティ」という名称を使っているところにも各社のこだわりを感じる。
今後のVRアクテビィティの課題=伸びしろとは
今回のBNEの発表とほぼ同じタイミングで、秋葉原にあるセガアーケード施設・クラブセガ秋葉原新館6階に建てた「SEGA VR AREA AKIHABARA」が開業した。
コンテンツは『MORTAL BLiTZ FOR WALKING ATTRACTION』で、残念ながらセガ独自の開発コンテンツではなく、韓国のSkonecによるFPS VRウォーキングアトラクションだ。
両社のコンテンツに共通して感じる課題は、双方ともコンテンツのガイダンス(事前のレクチャー説明)をどのように簡略化するかという点だ。
VRコンテンツが、現在のアーケードのコインオペレーションのように、無人化、無説明が当たり前のようになるにはまだ時間がかかると思われる。このオペレーションをどのように行うかは、大きなテーマパークの順番待ちの間のガイダンス紹介などが参考になると思います。
あとはヘッドセット(HMD)、バックパックなどの簡素化、軽量化などが課題として挙げられる。これらの課題とともにBNE、セガのような大手パブリッシャー、中小、そしてインディーズ系開発者らが一丸となって新たなVRコンテンツを創生してほしいと思う。それぞれに不具合、不都合、不便などがある限り、それが逆にいえば伸びしろ。
VRは社会人に例えるなら、まだ新卒、試用期間のようなもの。諸先輩にあたるゲームファン、開発者などの叱咤激励と愛の助言によって、さらに成長して立派な社会人になっていくことを期待して楽しみにしている。