たけしの挑戦状【ゲームレビュー】

ゲーマーのあいだで伝説として語り継がれる伝説のクソゲー『たけしの挑戦状』が、スマホゲームとなって帰ってきた!ノーヒントでは、まずクリア不可能な広大なマップと多彩な選択肢が織りなす、アクションアドベンチャーゲームを原作未プレイの筆者がプレイしてみた。

“常識があぶない。”伝説のクソゲーがスマホに降臨!

『たけしの挑戦状』は、1986年にタイトーよりファミリーコンピュータ用ゲームソフトとして発売された、スマホリメイク版だ。

パッケージや販促ポスターに記された「常識があぶない。」のコピーのとおり、「クリアのために1時間放置しなければならない」など、ノーヒントで繰り出される不条理な謎解きで多くのプレイヤーを挫折させた伝説のゲーム。

プレイしたことがなくても、ゲーム好きなら一度は耳にしたことがあるだろう。

ファミリーコンピュータ黎明期をほうふつとさせる荒めのドット絵が、懐かしさを感じさせてくれる。スマホ版となって、画面が横に広々と見やすく進化している

ゲームの主人公となるのは、いたって普通のサラリーマン。

社長に呼びつけられ、成績不振を指摘されながらも、少ないボーナスをもらうところからスタートする。

手渡れたのは、20万円。額縁に飾られた「愛人」とは、どんな意味なのだろうか……。本作は、非常に「おかね」が重要となってくる

基本的な操作は、十字キーで移動、しゃがみ。Aボタンで攻撃、Bボタンでジャンプと、アクションゲームをやったことがあれば、すぐにしっくりくるものとなっている。

文句ばかりいう社長を一発なぐる!といったことも可能。後ろからパンチをいれると、机にめり込んでいくといった原作の仕様も、そのまま再現されている

マリオのような、スタートとゴールがあるステージクリア型ではなく、広大な街を自由に駆け巡って、クリアを目指していくのが本作の特徴だ。

街には、さまざまな人が歩き回っている。緑髪の「ヤクザ」と「警察官」には要注意で、なぜかサラリーマンを全力で追いかけて、パンチしてくる

目標はお宝をゲットすること!?

本作の最終的な目標は、どこかの島に隠されたというお宝を手に入れること。

街を探索しながら、お宝の情報を見つけ出し、クリアへの糸口をつかもう!

右上のマイクボタンを押すと、街の人に話しかけることもできる。今回の挑戦では、意味をなさない返答ばかりだったが、警察官がヒントをくれることがあるらしい

旅行会社を発見するも、そのチケット代は超高額! 宝探しするに出発するには、どこかで大金を用意することがマストとなる

主人公には「たいりょく」があり、これが0になるとゲームオーバーになる。

たいりょくはセレクト画面から詳しい数値もみれるが、画面に常時表示されたハートの数でおおまかに確認することもできる

ゲームオーバーになると、サラリーマンの葬式が開かれるゲームオーバー演出が入る。この強烈な画面だけ知っているという方も多いはずだ

網羅不能と思えるほど多彩な選択肢

街には、勤めている会社のほかにも、映画館や銀行、バーやスナックなど、80年代当時の街並みが、ファミコンソフトとは思えないほど豊富に建ち並んでいる。

ドアの開いている建物には、上キーを長押しすることで入れる。中には、開いているはずなのに入れない建物もあるので要注意

見落としがちなのが、街の端から別マップに移動できる場所があること。クリアには必須となるであろう「新成田空港」は、銀行の奥から行ける。プレイしてみるとマップの広さに驚くはずだ

駄菓子屋でお菓子が買ったり飲み屋で一杯ひっかけたりなど、その建物でできそうなことは大抵できる。

画面の奥側に見える人に話しかけたり椅子に座ったりしたい場合も、上キーを長押しすることでできる。基本的には、メリットないようで、どれも予想以上に高額なので、慎重に選ぼう!

パチンコ屋では、実際に台で遊戯することもできる。ここでの景品が攻略につながる!?

しかし、どこでも選択肢が複数あるのが基本で、どの施設でどんな選択をしたかが、ゲームクリアに大きく影響することも。

ボーナスを受け取った社長室に戻ると、「じひょうをだす」「きゅうしょくする」「ゆうきゅうきゅうかねがい」など、さまざまな選択ができる

お金稼ぎは苦難の道!

道行く人をパンチでやっつける以外、このゲームでお金を稼ぐ方法は見つけられなかった。

1人やっつけてもらえるのは、たったの300円。

海外へ行くチケットは、いちばん安くても40万はするので、なにか工夫しなければスタートラインに立つことすら難しい。

手っ取り早いのが、辞表を出して退職金をもらうこと。この選択をすることで、旅の軍資金の大きな足しになる50万円を得られる

そのほか日本では、銀行で貯金を下ろすことぐらいしか、稼ぎ方は見つからなかった(5万円)。

なお、ある国にはカジノがあり、そこで所持金を増やすことも可能らしい。

まずは、宝の地図を入手して、日本から飛び立つことを目標にしてみよう。まだまだ序盤だが、ここまで来るだけでも達成感と、まだ見ぬ他国に期待感を感じられた

本作からの新ステージ「あめりか」へ行ってみると、「ぽーかーたわー」なる建物が! ポーカーを楽しめると思い、無限回廊ように続く高いタワーを登っていくと、そこには……

本作を120%楽しむために知っておきたい裏技

伝説として語り継がれているこのゲームは、ネット上を探せば容易にたくさんの攻略情報を得ることができる。

しかし、ネタバレを避けながら攻略を目指したい……という方に1点だけ、とっておきの裏ワザをお教えしよう。ヤクザや警察官に、うんざりしたときに使えるテクニックだ。

たいりょくが0になってひっくり返って足をバタつかせている間に、A,Bボタンを3回だけ同時押ししてみよう。

うまく入力できると、やられたはずのサラリーマンが、その場で復活する(回数制限なし)。3回未満でも4回以上でもダメなので、慎重に入力してみよう

もちろん、この小技を使わなくても、「めにゅう」からセーブを重ねて少しずつ進めることも可能。オートセーブはしてくれないので、こまめにセーブするようにしよう

クソゲーと投げ捨ててはもったいない!自由度あふれるアクションアドベンチャー

クソゲー=つまらないというイメージで敬遠していた筆者だったが、今回初めて『たけしの挑戦状』に触れてみて、そのイメージは大きく変わった。

正直、プレイしていてもクリアに近づいている気がまったくしないという点では、まったくもってクソゲーなのだが、街の探索や選択肢を試行錯誤しているだけでも楽しめた。

ノーヒントでは、まずたどり着けない筋道があるのも、この作品がクソゲーと評価される点だろう。試行錯誤するのが魅力でもあるのだが、少しでも攻略情報を見てからプレイしたほうが、逆に楽しめるかもしれない

本作の見どころのひとつである「はんぐぐらいだー」に挑戦するべく、ネタバレ内容を確認しつつ進むも、カラオケでつまづいて最後までプレイすることは叶わなかった。

カラオケでは、うまくマイクボタンを押して褒められることがカギになるらしいが、何度挑戦しても下手くそ呼ばわりされるだけだった

オールドファンだけでなく未プレイの方にも触れてみてほしい、レトロゲーム屈指の理不尽さと、ファミコン時代とは思えない自由さを味わえる作品だ。

今回はプレイできなかったが、より歯ごたえを感じられる「はーどもーど」や初心者に優しい「むてきもーど」も用意されている(追加課金の必要あり)。「こんてにゅうや」を覗いてみよう。なお間違っても殴らないように!

  • 使用した端末機種:iPhone 6S
  • iOSのバージョン:9.3.2
  • プレイ時間:約3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0

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