噂のゲームコントローラー「GAMEVICE」をセットアップ
GAMEVICEの「Game Controller for iPad Pro」にはいくつかのモデルバリエーションがあります。
iPhone6系からiPhone Xにまで対応したiPhone用、iPad mini対応モデル、9.7インチiPad対応モデル、10.5インチiPad Pro対応モデル、12.9インチiPad Pro対応モデルという感じで、ラインナップは豊富です。
今回、ボクが貸し出しを受けたのは、自分の買った12.9インチのiPad Proに対応したモデルの「GMV-GV161」です。
このGAMEVICEコントローラーは、左コントローラーと右コントローラーを端末本体の左右を挟み込むように装着して使います。
左右のコントローラーは、ゴムのよう強い伸縮性材質のバンドで結ばれており、iPad Proに挟み込むと、このゴムバンドのテンションでガッチリとはまります。
なので、比較的、強くレバー入れやボタン押しを行ってもずれたりはしません。
なかなかよく考えられて設計されている印象です。
左コントローラーにはアナログスティックと十字キーパッド、そしてショルダーボタンとトリガボタンが実装されています。
最近のゲーム専用機では定番となっている、アナログスティックの押し込み操作には非対応でした。
右コントローラーにも「押し込み操作非対応」のアナログスティックが1つ、[A][B][X][Y]の4つのボタンがあります。
ショルダーボタンとトリガボタンがあるのは左側コントローラーと同様です。
左コントローラー側にはもう1つ[MENU]ボタンというのがあります。
これはゲームによって実行される機能は異なりますが、押すと、ゲームを中断(ポーズ)したり、あるいは設定メニューを開いたりすることができます。
ちょうど、ゲーム専用機のコントローラーの[START]とか[SELECT]みたいなイメージですかね。
1つ気を付けたいのは、iPad Proを何らかのケースに入れていると、GAMEVICEコントローラーを取り付けることはできない点です。
逆に言うと、GAMEVICEコントローラーを取り付けたiPad Proは、ボディ面が剥き出しになるので本体に傷が付く危険性は高まります。傷付くことに過敏な人は、GAMEVICEコントローラーの取付には抵抗があるかもしれません。
後継モデルではこのあたりが柔軟に対応できるように改善されればうれしいですね。
あるいは、左右コントローラーを橋渡ししているゴムバンド部がボディ全体を覆うような、保護ケースの役割を兼任してくれてもよさそうです。
さて、右側のコントローラー部にはLightningのオス端子が付いていて、iPad Pro側の同メス端子に接続した上で、iPad Proに被せます。
セットアップはほぼ不要。そのまま接続後から使えるようになります。ペアリングは不要です。
そう、つまり、GAMEVICEコントローラーはLightning端子による有線接続なんですね
GAMEVICEがいうには「完全有線接続のため遅延はない」とのことです。
Lightning端子がGAMEVICEに占有されてしまうと、iPad Proへの電源供給はできなくなってしまうのか……と思いきや、GAMEVICEコントローラーにもLightningのメス端子が付いていて、ここにACアダプタを接続することでちゃんと充電が行えました。
ただし、 ここにHDMIアダプタを接続してのiPad Pro側の映像のHDMI出力などは行えませんでした。
なので、iPad Pro側のゲームをテレビ出力しながら、GAMEVICEコントローラーでプレイすることはできないと言うことです。この点はちょっと残念ですね。
接続すると、GAMEVICEとの接続が求められ、また、GAMEVICEコントローラーのコンパニオンアプリ「GAMEVICE LIVE」のインストールを促されます。
このアプリ自体は、GAMEVICEコントローラーに対応したゲームタイトル事典のようなもので、このアプリ自体に特殊な機能はないようです。
とはいえ、このアプリに掲載されているゲーム群は、特に設定をせずとも、起動した直後からGAMEVICEコントローラーを普通に使うことができるので、どれを遊んでみようかな……と、ゲームカタログ的に眺めるのには楽しいと思います。
懐かしのシューティング『レイストーム』をプレイ
実際に、ゲームを購入してプレイしてみました。
最初に挑戦したのは、TAITOがリリースしているシューティングゲームの名作『レイストーム』です。
この作品をゲームセンターで夢中になったという人と、初代プレイステーションでやりこんだという人がいるかと思いますが、リリースはアーケード版(ゲームセンター版)の方が先です。
ゲーセン小僧のボクであっても、この作品は初代プレイステーションでの思い出が強いです。
このゲームでは、半透明グラフィックスを多用していたために、初代プレイステーション版はアーケード版と比べて当該シーンで処理落ちが激しかったのです。
しかし、初代プレイステーションはマイチェン後の後期型モデル(SCPH-5500以降)からはGPUが性能強化され、半透明パフォーマンスも向上。本作の処理落ちがけっこう解消されました。
この作品には初代プレイステーションを買い替えた思い出があるため、アーケード版よりも強く記憶に残っているのです。
実際にプレイしてみると、腕前は格段に落ちているものの、懐かしいプレイ感覚が蘇ります。
照準マーカーを複数の敵機に合わせてロックオンし、その後、レーザーを発射すると、同時に曲線が敵機へと伸びていき、同時多発的に爆炎が発生して、敵が破壊されていきます。
まるで、仕掛け花火や噴水ショーのような、カラフルなエフェクトが舞い踊る様を見ていると、ゲームの腕前に関係なく、気持ちよくなれます。
本作をGAMEVICEコントローラーでプレイすると、自機の操縦を十字キーで行うことができ、通常ショット、ロックオンレーザー、ボム(無敵になって画面内の敵を全方位攻撃する)を個別のボタンで出せます。
本作では、ショットとレーザーを1ボタンで発射できて、さらに被弾しそうになると自動でボムを発射してくれるオートモードが搭載されていますが、いずにせよ、自機移動操作を十字キーで行えるのは快適です。
アナログスティック操作に対応していないのは謎ですが、画面タッチのバーチャルゲームパッドでのプレイ操作よりはプレイしやすいので、まぁ、これ以上は文句は言わないでおきましょう。
そうそう、このゲームはBGMが格好いいことでも当時、話題になりましたが、本作ではBGMをアーケード版の原曲とアレンジ版の楽曲の両方が収録されています。
久しぶりにプレイして懐かしくなってしまい、自室のCD棚からサントラをひっぱり出してきて、この原稿もそれを聞きながら書いています(笑)。
ちなみに、レイストームには前作や後継作が存在し、それらすべてのBGMが秀逸でした。
今回のプレイがきっかけで「レイ」シリーズのBGM関連の情報を集めていたら、2017年10月12日に本作レイストームを含む歴代「レイ」シリーズのBGMを収録した「レイズ・ミュージック・クロノジー」が発売されていたという情報に遭遇。
「おっ」と思ったのですが、もう今は売り切れだとのこと。残念。もう少し早く、この「懐かしい」気持ちになっていたら手に入れられたのに……(笑)。
『ストリートファイターIV チャンピオンエディション』はプレイしやすくなるのか?
この連載で、iOS版『ストリートファイターIV チャンピオンエディション』(以下、ストIV/CE)のプレイレポートは一度やってはいるのですが、前回取り上げたときは画面内に出現させたバーチャルゲームコントローラーでのプレイでしたか。
今回は、このGAMEVICEコントローラーでプレイしてみることにしました。
この作品も、特に設定することもなく、ゲームを起動すると普通にGAMEVICEが使えるようになっていました。
左側コントローラーが移動/コマンド入力に割り当てられていて、アナログスティック、十字キーどちらも使うことができます。好みにもよりますが、自分は十字キーの方が扱いやすい印象でした。
オリジナルのストIVでは弱・中・強のパンチとキックを使い分けるゲームメカニクスでしたが、ストIV/CEでは簡略化されて、パンチとキックが1ボタンずつ、そしてオリジナルでは同時押しで発動した当て身攻撃の「セービングアタック」が別ボタンに割り当てられ、キャラクターごとの必殺技をお手軽に出せるボタンとして[SP]ボタンが新設され、4ボタンでプレイするように調整されています。
GAMEVICEコントローラーの右側コントローラーにはボタンが4つ[A][B][X][Y]とありますが、これらが[A]=キック、[X]=パンチ、[Y]=スペシャル(SP)、[B]=セービングアタックの割り当てになっています。GAMEVICEのショルダーボタンやトリガボタンは使いません。
プレイした感じの快適さは、画面タッチのバーチャルパッドでプレイしていたころとは雲泥の差です。
左右移動は、バーチャルパッドでもなんとかなりましたが、上下段ガードの使い分け、ジャンプ攻撃といった、素早いレバー操作は、手応えのある物理パッド(リアルパッド)だと格段にやりやすいです。
バーチャルパッドの問題点は「今、自分がレバーをどの方向に入れているかを知覚しづらい」ことです。
物理パッドだと、指先の手応えで十字キーやアナログスティックがどういう方向に押されているかを知覚できますから、次にすべき指の操作を連続的に行えるのです。
バーチャルパッドだと、そのバーチャルパッドが描かれている画面領域に対して定期的に視線を向けて、今自分の指の操作がどうなっているのかを確認しないと、次の指の位置が定まりません。これではゲームに対する集中力を維持するのも大変です。
結論として、GAMEVICEコントローラーは格闘ゲームにも、よいと感じます。
NEOGEO格闘ゲーム『餓狼 MARK OF THE WOLVES』をプレイ
GAMEVICEアプリを眺めていたら、懐かしいゲームを発見してしまいました。ジャンルは格闘ゲームでストIV/CEと被りますが、もう一作プレイしてみることにしました。
そのタイトルはSNKからリリースされている『餓狼 MARK OF THE WOLVES』(餓狼MOW)です。
ボクはけっこうSNKの格闘ゲームが好きで、リアルタイムでけっこうゲームセンターでプレイしていました。
しかし、いくつかの作品は、近所のゲームセンターに入荷しなかったこともあり、経験が抜け落ちている作品もあります。この餓狼MOWは、そんな作品の1つです。
SNKの人気格闘ゲームの『THE KING OF FIGHTERS』シリーズに、この餓狼MOWのキャラクターも参戦していたりするのですが、いまいちピンと来ていませんでした。
iOS向けにこの作品がリリースされているとは思いませんでしたから、つい温故知新的にプレイしてみたくなった次第です。
もともと、このゲームはNEOGEOという家庭用ゲーム機向けにリリースされていた(アーケード版も存在。ほぼ同スペックのシステム基板上で動作していた)のですが、NEOGEOは4ボタンのゲーム機だったので、GAMEVICEコントローラーの[A][B][X][Y]がそのまま割り当てられていました。
なので、こちらもショルダーボタンやトリガーボタンは使わないのですが、もともと使わないゲームでしたから、ゲームメカニクス上の妥協点はないことになります。
実際にプレイしてみると、かなり好印象です。
本物はアーケードスティックでプレイするゲームでしたから、GAMEVICEコントローラーのアナログスティックや十字キーでの操作感にはやや違和感はありますが、じゅうぶんにプレイできます。
このゲームでは4つのボタンが、大小のパンチと大小のキックに割り当てられているのですが、小パンチと小キックの同時押し、大パンチと大キックの同時押しのいわゆる「縦に2ボタン同時押し」操作系が存在します。
タッチ操作ベースのバーチャルパッドでは、この操作は難しいため、同時押しボタン操作に相当する追加のバーチャルボタンが画面に描かれる仕様になっていました。
しかし、GAMEVICEコントローラーの場合は、親指で簡単に縦2ボタン同時押し操作ができるので楽ちんです。
それと、個人的な感想ですが、ため技は十字キーの方が出しやすく、レバー回転系のコマンド技はアナログスティックの方が出しやすいと感じます。
また、上下ガードの切換やダッシュなどのレバー連続入力も十字キーの方が入れやすいですかね。
なので、プレイしているうちにいつの間にか、ボクは、アナログスティックと十字キーを出したい技に応じて使い分けるような操作系をするようになっていました。こういう遊び方もアリかもしれません。
アケコン版GAMEVICEコントローラーの登場を願う!
GAMEVICEコントローラーは、思っていた以上に(失礼!)、よくできたまともなコントローラーでした。見くびっていました。すみません(笑)。
これまで「どうせタブレットやスマホではまともに遊べないし……。」という「あきらめ」を解消してくれるので、「いろんなiOS向けのゲーム作品をプレイしてみたい」という気にさせてくれます。
ただ、要望もあります。
サイズ的にiPhone用は無理だとしても、iPad用には左側コントローラーの十字キー部分をアーケードスティックにしたバージョンも出してほしいと思いました。
というのも、今回の仕事で、GAMVEVICEアプリの対応ゲームリストを見ると、1990年代から2000年代初頭までのアーケードゲームの復刻タイトルが多いことに気が付き、これらはやはりアーケードコントローラーのレバーでプレイしたいと強く思うようになったのが理由です。
今回、『レイストーム』をピックアップしましたが、タイトーからは他の「レイ」シリーズの『レイフォース』『レイクライシス』も出ていますし、セガからは「ソニック」シリーズや『ゴールデンアックス』が出ています。
SNKもけっこうラインナップが充実していて『THE KING OF FIGHTERS ’98』や『真サムライスピリッツ』、当時ボクも大好きだったアクションシューティングの「メタルスラッグ」シリーズは「1」「2」「3」「X」が出ているようです。
特に、4ボタン構成のGAMEVICEコントローラーは、NEOGEOタイトルと相性がいいような気がします。
アケコン版GAMEVICEコントローラー登場の初夢を見ることを祈りつつ、今年最後のこの連載を締めくくりたいと思います。
それでは皆さんよいお年を!
(C)2017 GAMEVICE
(C) TAITO CORPORATION 1996, 2017 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2011, 2017 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)SNK PLAYMORE CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.