JeSUが開くe-Sportsの新たな扉の先には何がある?
ステージには、JeSUで会長を務める岡村秀樹氏、副会長の浜村弘一氏が登壇。
「日本のe-Sportsの新たな扉」というテーマで、JeSUが発行するプロライセンスの概要や今後の活動について語られた。
まずはじめに、先日発表されたプロライセンスについて改めて説明がされる。発行されるライセンスは下記3種類。
- ジャパン・eスポーツ・プロライセンス
- ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス
- チームライセンス
このあたりの説明は、設立発表会で語られたとおりの内容だ。
トークの中で、岡村氏、浜村氏は、JeSUの設立やプロライセンスの発行は、従来のコミュニティを制限するものではないことをしきりに強調していた。
あくまで、e-Sportsシーンの主役である選手の活躍の場を広げることが目的であるという。
そのために、コミュニティとの連携、コミュニケーションを図っていくことを今後やっていきたいことの1つとして挙げている。
認定タイトルは増えていく見通し
プロライセンス認定タイトルは、2月10日現在では以下の6タイトルが名を連ねている。
タイトル | 社名 | プラットフォーム |
---|---|---|
ウイニングイレブン 2018 | コナミデジタルエンタテインメント | PlayStation4/PlayStation3 |
コール オブ デューティ ワールドウォーII | ソニー・インタラクティブエンタテインメント | PlayStation4 |
ストリートファイターV アーケードエディション | カプコン | PlayStation4/PC |
鉄拳7 | バンダイナムコエンターテインメント | PlayStation4/Xbox One/STEAM |
パズル&ドラゴンズ | ガンホー・オンライン・エンターテイメント | iOS/Android |
モンスターストライク | ミクシィ | iOS/Android |
認定タイトルは、今後どんどん増やしていくそうで、さまざまなジャンルのゲームメーカーから問い合わせが寄せられているとのこと。
また、浜村氏は連合の設立とプロライセンス発行の効果として、e-Sports向けのタイトルをこれから開発するメーカーが出てくることにも期待している。
どのようなゲームがe-Sports競技として認められるか、その基準については「競技性がないものはe-Sportsではない。」とのコメントがなされた。
ただし、ゲーム内で勝敗がつくものでなくとも、例えばステージをクリアするタイムを競うことで競技性を持たせることができるといい、あらゆるゲームがe-Sportsの競技になり得る可能性が示唆された。
この言葉を鵜呑みにすると、たとえどんなゲームでもルール次第で競技にできる。実際にどのような基準で認定タイトルに認められるのか、実態が気になるところである。
オリンピックへ向けたe-Sports業界の動向
岡村氏はJeSU公式サイトの代表挨拶にて「eスポーツがアジア競技大会のみならずオリンピックの正式種目に採用されることを視野に入れ、選手団の派遣や国産ゲームタイトルの供給などが実現できるよう積極的な施策を行ってまいります。」と述べている。
アジア競技大会においては、今年2018年インドネシア・ジャカルタ大会では公開種目、2020年中国・杭州大会ではメダル種目として決定しており、まずはジャカルタ大会への選手団派遣を目指している。
オリンピックの正式種目として採用されるためには、e-Sportsは歴史が浅いことがネックだが、岡村氏は、アジア競技大会などで競技実績を重ねることが、IOC(国際オリンピック委員会)が競技として選択する材料になると見ている。
JeSUとしては、なるべく早くJOC(日本オリンピック委員会)への加盟を申請を進めていくという。
古くからメディアに身を置く浜村氏は、選手が主役になるフェーズが到来すると予測。
これまで、ゲーム雑誌などに掲載されるインタビュー記事は、ゲーム開発のクリエイターが主役であることが多かった。しかし、今後は選手にフォーカスして各種メディアが取り上げるようになれば、それを見た人が選手に憧れる動きが見られるようになるのかもしれない。
すでに浜村氏が代表取締役社長を務めるGzブレインがe-Sportsに特化したメディア「ファミ通 AppVS」をオープン、e-Sports専門会社のウェルプレイドも同様に「WELLPLAYED JOURNAL」を立ち上げるなど、メディア側も動き出している。
法規制への対策、大会の整備が望まれる
浜村氏は、アプリ市場分析サービス「App Ape」を提供するフラーが2月7日に開催した「App Ape Awards 2017」のトークセッションにも登壇。
「拡大する世界のe-Sports市場と日本市場における展望」というテーマで、e-Sports市場の現状が語られた。
氏によると、世界でのe-Sports市場規模は、2022年には23億ドルにも達する見込みで、海外では高額な賞金付き大会が多数開催されている実績がある。
それに対し、日本国内では最近になっていくつかの大会が出てきているが、その規模は海外と比較すると遅れをとっているのが現状。
また、国内の賞金大会を語るうえでついてまわるのが、景品表示法(景表法)に代表される法規制だ。
日本で賞金付きゲーム大会を開催するには、刑法(賭博および富くじに関する罪)、風営法、景表法の3つの法律が関わってくることは、すでにさまざまなメディアで報じられてる。
連合は、このあたりの法律に抵触していないか検証して公認大会を開催していくと思われる。
いずれにしろ、選手が安心して競技に取り組める環境が、e-Sportsの発展に必要不可欠ではないだろうか。
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