ネットマーブル新社長遠藤氏に聞いた同社の戦略とラインナップ

3月1日にネットマーブルジャパン共同代表取締役社長へ就任した遠藤祐二氏。強力なラインナップを用意している同社の新社長にゲームメディア初のインタビューを行い、社長の考えや戦略などを聞いた。

リネレボが日本市場で成功した理由

2018年3月1日付でネットマーブルジャパン共同代表取締役社長に就任した遠藤祐二氏。同氏は、これまで新規事業や事業戦略に関する重要なポストを歴任。10年以上在籍したウォルト・ディズニー・ジャパンでは、事業戦略に関わる重職を担当

--今回、App Ape Award 2017にて、『リネージュ2 レボリューション』(以下、リネレボ)がAppliv Games賞を受賞されましたが、感想をお聞かせください。

遠藤:本当にありがとうございます! モバイルMMORPGが日本に根づいたという点を評価いただいたのは、それを目指して日本展開をしてきたので、非常にうれしいです。

弊社としてもAppliv Gamesというゲームメディアを日々、チェックさせていただいているので、その面でも光栄です。

--リネレボ以前もスマホMMORPGはありましたが、本作が日本に受け入れられた理由をどのように分析されてますか?

遠藤:市場の動向的な要素もあると思いますが、同時に多人数でプレイできるモバイルMMORPGというゲームはそんなに多くなかったのかなと思います。

そんな中、コンテンツ的にもタイミングが合い、マーケティング的には垂直立ち上げが成功して、大勢のプレイヤーが一気に集まって、一種のブームのようになったのが成功のきっかけだと思います。

--リネレボの日本導入にあたって、気を配った点は?

遠藤:いろいろありますが、特に日本のプレイヤーのプレイパターンを重視しました。

リネレボには装備ダンジョンを始め、パーティープレイが必要なシーンがあります。韓国や台湾ですと学校や仕事中でも支障がない範囲でプレイをされるんですが、日本だと通勤時間やお昼休みにパーティープレイが集中するのが一般的です。こういった時間帯は同時接続数も上がるので、それを考慮しました。

また、要塞戦など、多人数でプレイする前提のモードでは、社会人の方にも楽しんでいただけるように、土曜の夜に設定するなどの工夫も行ってます。

--マーケティング視点でうまくいった施策やポイントをおしえていただけますか?

遠藤:リネレボで行ったマーケティング施策は多岐にわたっており、どれか1つがというものはありません。オフライン施策、オンライン施策、TVCMなど全体の施策が重要だったと思います。

モバイルMMORPGというジャンルですので、プレイヤーがたくさんいないと成立しないことを重要視して、ローンチのひと月前から各種施策を集中して実施したことがポイントだと考えています。

遠藤社長のパーソナリティー

--遠藤さんは、ネットマーブルにジョインされる前から新規事業や事業戦略に関する重要なポストを歴任されてますが、リーダーシップの原点はなんでしょうか?

遠藤:前向きに好奇心を持つことが重要だと考えています。よくいわれる「3つの目」というのも重要視しています。具体的には、

  1. 物事の流れを見る「魚の目」
  2. 物事を俯瞰(全体)で見る「鳥の目」
  3. 物事の詳細を見る「虫の目」

です。これを絶えず、いろんなことに当てはめて実践するようにしています。これによって、物事の先々の展望などが見えてきます。

この考え方は、昔からやっているサッカーを通じて身につけました。サッカーはチームワークが重要なスポーツで、自分1人では成り立たない面があります。チームメイトの動きをつかむ必要がありますし、その中で自分のプレイ(役目)が変わってきます。これをビジネスの面に当てはめて、実践しています。

--遠藤さんが考える優秀な人材の条件はなんですか?

遠藤:どんな挑戦でも前向きに臨んでいって、これまでにない方策で壁を乗り越えていくような精神を持った方々ですね。現状いるメンバーも前向きな人ばかりです。

--これまでと異なり、3月1日から遠藤さんを加えて2名体制での共同代表取締役社長となりましたが、その経緯は?

昨今、日本のゲーム市場の競争が激化し、プレイヤーの方々のリテラシーも上がり、ハイレベルなサービスを求められています。私はこれまで、コンテンツビジネスやマーケティングの経験があり、これを活かすことで日本のビジネスを加速させるのではないかと思っています。

もう一方の代表である白(ペク)は、韓国で事業全体を統括する役回りで、ネットマーブル精神に理解の深い者です。弊社は現在、グローバルカンパニーとして世界各国に拠点を設けていますが、その中でも日本は最優先の市場の1つです。この戦略・方針のもと、2名体制にすることで、日本ユーザーの期待にスピード感をもって応えるために必要な体制だと思います。

--日本国内でのネットマーブルブランドの成長促進が任務の1つになっておりますが、具体的にどのような仕掛けを考えてらっしゃいますか?

遠藤:ブランドの名前だけを拡散させるのがいいことだとは思っていません。「いいゲーム、いいサービス」を提供することを重要視しています。そうすることで、ネットマーブルブランドの促進が図れると考えています。

プレイヤーの方々に評価されるゲーム、支持されるサービスを主眼において展開していく所存です。

モバイルファーストで今年も多数のラインナップ

--2018年の日本でのタイトルラインナップについておしえてください。韓国で行われた4th NTPでは、気になるタイトルが多数発表されました。

遠藤:現時点ではっきりいえるのは、

の4つです。これらは、日本で2018年の配信を予定しています。

--遠藤さんは1プレイヤーとしてゲームはされますか?

趣味や遊びとして、ゲームはしますよ。好きなゲームジャンルは、スポーツ系のゲームとカジュアルゲームは好きです。マーケティング的に気になっていたので、実はリネレボはネットマーブルにジョインする前から1プレイヤーとして遊んでました。

--今年のゲーム業界のトレンドとして、e-Sportsがキーワードとしてありますが、遠藤さんはどう見られてますか?

e-Sportsは話題性もあり、盛り上がってきているなとは思います。ただ、海外と比較してしまうと、一般の方の認知度を含め、これからといった印象です。とはいえ、ゲーム各社が力を入れてやっていくという話をよく耳にするので、これからの盛り上がりに期待しています。

--最後に、日本のネットマーブルファンの方へひとことお願いします。

当社では、プレイヤーの方々に楽しんでもらえる、新しい形のゲームを展開していきます。既存の『セブンナイツ』『リネージュ2 レボリューション』『ナイツクロニクル』に加え、2018年には『テリア・サーガ』『KING OF FIGHTERS:ALL STAR』『七つの大罪RPG(仮題)』『TERA M』を展開していく予定です。

さらには、Nintendo Switch版の『セブンナイツSwitch(仮題)』も準備中です。

ただ、モバイルファーストの主軸は変わらずやっていきますので、よろしくお願いします。