ぷよぷよ!!タッチ【ゲームレビュー】

おなじみ『ぷよぷよ』シリーズの最新作『ぷよぷよ!!タッチ』は、画面タッチで「ぷよ」の色を変えていく「ぬりけしパズル」。パネルに埋め込まれた「矢印」をうまく使うと「まとめけし」が可能になるなど、これまでにない仕掛けが用意されている。さらに救出戦やボス戦など、新しい要素が盛りだくさん!

今度の『ぷよぷよ』は、じっくり考えて連鎖をつなぐ世界初のぬり消しパズル!

「落ちものパズル」というジャンルは、1988年にセガがアーケードで発売した『テトリス』がきっかけとなって一大ブームを起こしたが、そのブームのさなかである1991年に発売されたのが『ぷよぷよ』だ。以降、さまざまなシリーズ作品が続々とリリースされている。

四半世紀の歴史の中でさまざまに変遷していった『ぷよぷよ』シリーズだが、ユーザーニーズの変化からか、すでにリリースされている『ぷよぷよ!!クエスト』あたりから時間制限の要素が減ってきている。インカムと時間がシビアに影響するアーケードというプラットフォームだと時間制限もやむなしだろうが、『ぷよぷよ』ならではのゲームシステムに時間制限が必ずしも必要でないという判断は正しかったと思う。

さて、そんな中で完全熟考型のこれまでにない『ぷよぷよ』がリリースされた。それが本作『ぷよぷよ!!タッチ』である。

「おじゃまぷよ」もなく、オーソドックスな長方形のステージからスタートする本作だが、だんだんとステージの形が変則的なものに変わっていく。このあたり、最近のパズルゲームを遊んでいる方であれば違和感はないだろう

「ぷよ」を4つ以上をつなげるのは従来どおり

『ぷよぷよ』の基本ルールとして、同色の「ぷよ」を4つ以上つなげることで消すというものがあるが、この部分は『ぷよぷよ』を『ぷよぷよ』たらしめているエッセンスのようなものなので、本作でも変わらない。

ではどこが新しくなったのか? それは、隣のぷよの色を塗り替えることで、連鎖の始まりにするというところ。画面のいずれかのぷよにタッチして、上下左右のぷよに向けてスワイプ操作することで塗り替えを行い、4つ以上のつながりを作り出す。さらに5個以上をつなげると、塗り替え操作の始まりの場所に「スワイプした向きの矢印」が入れ替えで出現する。つまり、ぷよを左から右に塗り替えると右向きの矢印ができるわけだ。

この矢印ぷよは、次の連鎖の素材になる。これを連鎖に組み込むと、その矢印の方向1列をまとめて消し去ることができるのだ。この仕組みが本作の最大の特徴なのである。

本作は、これまでの『ぷよぷよ』シリーズがそうであったような長方形1面のフィールドではなく、ぷよが並ぶパネルが分割されていたり、枠の外に敵のボスがいたりと、かなりフレキシブルな作りになっている。普通にぷよを消しただけでは枠外に影響を与えられないが、この矢印を活用することで枠外のフィールドやボスを攻撃できるのだ。

敵のボスには体力があり、これを0にすればステージクリア。ボスの体力は、5つのぷよをつなげて出現させる矢印で1つ、6個以上をつなげて出現させる2重矢印で2つ減らすことができる

消したぷよは「なかま」に影響する

出現した矢印は、それを含む連鎖で消すことができる。それ以外にも、ほかの矢印からの攻撃によっても発動する。これを利用して連鎖を仕込んでいくのがセオリーとなるが、きれいに発動すると実に気持ちがいい。『ぷよぷよ』における、多重連鎖の爽快感に結びつくものといっていいだろう。

ただし、ぷよのいるフィールドが分割されたため、矢印を使わない連鎖は少々やりづらくなっている。また、『ぷよぷよ』では消したぷよの数と連鎖の回数が敵を攻撃する際の根拠となるが、本作ではサポートキャラである「なかま」の能力発動のためのゲージに作用する仕組みになっている。

本作では、ぷよを消し続けることでゲージがたまり、なかまの「チョイのせ!」という技が発動できるようになる。これは、ぷよの1つを矢印に変えることができるというもの。キャラクターごとに、向きであったり威力が異なったりするなどの差があるが、ステージによってはこの「チョイのせ!」をうまく使わないと難易度が格段に上がってしまうことがある。なかま選びも戦略的に重要な要素なのである。

キャラクターはアイテムを集めることで、さらにパワーアップさせることができる。パワーアップの効果は基本的に、矢印に変えられるぷよの色数が増えるというもの

手数が定められた詰将棋のような感覚

本作がオリジナルの『ぷよぷよ』と異なる点はほかにもある。ステージクリアまで行動できる手数が定められているのだ。これによって、効率的に矢印を作る、あるいは連鎖を発生させていかないと、すぐに手詰まりになってしまう。手数の制限はアイテムによって増やすことも可能なのだが、あと数手で解ける、いわゆる「惜しい」状況にはほとんど遭遇しなかった。

落ちてくるぷよはランダムのようだが、一応の法則性があり、ステージ制作者の意図を読み切ることができれば、制限より圧倒的に少ない手数で解けることがほとんど。反対に、これに気がつかないとむだに手数を消費してしまう。また、熟考を要することは制作側も織り込み済みのようで、ぷよを塗り替えること自体には時間制限が設けられていない。ステージの途中にゲームから出てしまっても、戻ってくれば再度途中から遊ぶことができる。

とはいえ、矢印などのギミックを発動させてステージクリアの目標を達成するには、クリアからの手を逆算する必要がある。この道筋を見つけることが大事なので、長いステージを途中まで遊ぶという状況はあまり起きないだろう。詰まってしまった場合は、途中で改善の一手を考えるより、リスタートでステージの最初に戻って初期配置を俯瞰しながら戦略を立て直すことのほうが効率的なのである。

ギミックの極端な例。下段中央の横矢印を発動させることができれば、ほんの一手で下段のお邪魔ぷよをすべて消すことができる

残念ながら、おじゃまぷよは塗り替えることができない。隣接するぷよを消すか、矢印を当てて消していこう

アクションが苦手でも大丈夫! 思考型の『ぷよぷよ』

初期の『ぷよぷよ』には「フィーリング連鎖」と呼ばれる「何となく積んでみたら連鎖した」というプレイスタイルがあったのだが、本作ではそういう連鎖はほぼ起こらない。逆に、ひたすら理詰めで仕込みを作っていくことがメインになっている。直感型の『ぷよぷよ』に対し、思考型の『ぷよぷよ!!タッチ』というわけだ。

しかしながら、どちらも多段連鎖が発動した際の爽快感はバツグンである。マップ内のギミックを発動させるためのギミックをさらに仕込んでいくという、本来の意味のパズル的要素が増している。そのための、思考型パズルゲーム好きには当然オススメできるし、時間制限がないのも非常にありがたい。『ぷよぷよ』シリーズのファンはもちろん、落ちものパズルのアクション感は苦手だけれども……という方にも、ぜひ遊んでもらいたいタイトルだ。

ぷよは下に引かれて落ちるので、上から矢印を仕込んでいくのが基本テクニックだ

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.1
  • プレイ時間:約5時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

(C)SEGA