12オーディンズ【ゲームレビュー】

『バハムート クライシス』や『ゆるかみ!』で知られるenishの新作RPG『12オーディンズ』。世界を救った英雄オーディンと、12人の賢者たちの伝説をめぐる戦いを描くタイトルだ。「レオナ」役の内田真礼さん、「マルル」役の洲崎綾さん、「ヒルダ」役の五十嵐裕美さんなど、豪華声優陣も注目ポイントの1つとなっている。

オーソドックスなシステムで長く遊べる王道ファンタジーRPG!

2016年でファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエスト』の発売30周年だ。この作品のヒットがなければ、日本のコンピューターRPGもずいぶん違っていたものになっただろう。当時を思い返せば、『ドラクエ』のヒットを受けてさまざまなリスペクトタイトルが氾濫し、その中でもさまざまな差別化が図られていた。ゲームの楽しさというエッセンスを抽出したときに、戦闘による経験値の獲得と成長がプレイの充実度を最も高めるのだから、それだけでゲームができないものかという議論もあった。

ただ、これは当時うまくいかなかった。なぜなら、プレイ時間の長さこそが大作の大作たるゆえんであって、戦闘だけでゲームを構築することが難しかったからである。

そこから30年。当時と比べればゲームハードやライフスタイルも変わり、コミュニケーションとギャザリング(収集)がメインとなるタイトルも珍しくない。この『12オーディンズ』は、そんな30年の歴史を踏まえつつ、最新の潮流を反映して作られているタイトルだ。それゆえに、懐かしさと遊びやすさのバランスがいい!

戦闘は定番のコマンドバトル。スキル使用時にランダムに発生する「チャージ玉」をパーティーメンバーに渡すと、不思議なエネルギーによってスキルの効果がパワーアップする。これを交互に使っていけば、かなり効率よく敵を倒していくことができる

「ボーパルバニー」といわれると、オールドファンの方であればちょっと反応してしまうかもしれない……。ちなみに本作では、クリティカルで首が飛ばされることはないので、安心してほしい

RPGにおける不文律の集合体

本作では、ストーリーとマルチプレイと収集が、プレイヤーキャラクターを核として相補的に結びついている。ストーリーを進めることで独自のファンタジー世界の理解を促し、同時にキャラクターの成長制限が解除されていく。フィールド探索の要素はなく、解決されるべきイベントはすべて戦闘のみと、シンプルでわかりやすい。ストーリーに紐づいた戦闘において、イベントとして加入してくるNPCと他プレイヤーキャラを助っ人とする点も、これまでRPGをプレイしてきた方には説明不要だろう。

マルチプレイでは、他のプレイヤーも参加する形で最大4人までのパーティーを組める。通常戦闘に助っ人としてキャラクターを借りてきても、そのプレイヤーに経験値やアイテムなどが付与されることはないが、マルチプレイならそれらを得ることができる。また、マルチプレイでストーリーを進行させることはできない。

収集要素については主にガチャで装備を集めるものであり、装備強化にはゲーム内通貨であるルピを使用する。もちろん装備は進化させることができ、進化のためのアイテムは戦闘の報酬として手に入れる。

キャラクターの成長に関して、それを促進させるアイテムはなく、戦闘で得られる経験でのみレベルが上がっていく。またレベルアップによりポイントを獲得し、これによりスキルを習得できるという仕組みだ

多量の経験値を獲得できる「メタプルゥ」。経験値をアイテムで補完できないため、経験値獲得の効率のいいモンスターが登場するという、RPGらしいお約束が盛り込まれている。もちろん「メタプルゥ」は逃げ足が早い……

戦闘の発生しない会話イベントでも、報酬を手に入れることができる点は独特だ

マルチプレイで恩恵が最大化される「古びた地図」

マルチプレイでは、進化素材が報酬として設定されている「日替わりダンジョン」や、ランダムでパーティーが編成される「闇の王国への扉」、ストーリーモードの各エリアのHARDを遊ぶことができるほか、「古びた地図」というクリア報酬が固定されたマップにも挑戦できる。なお、「闇の王国への扉」以外のマップは、ソロプレイでも遊ぶことが可能だ。

ただし地図に関しては、プレイヤー間で相互に必要なアイテムがもらえるものを融通し合っていることが多いようだ。「古びた地図」をプレイする場合、その点を考慮に入れるとアイテム収集の効率がいい。「求めるならば、まず与えよ」というところだろう。なお、地図と言いながら探索などの要素はなく、戦闘のみで解決される方式となっている。

マルチプレイでは不特定多数のプレイヤーに誘いを出してもいいし、フレンドを誘ってもいい。また、その際のやり取りはチャットを使うと便利だ

掲示板ではよく「メタ相互希望」という書き込みが見られる。地図の中でも、メタプルゥが必ず出る「メタプルゥの地図」は特に価値が高いようだ

時間をかけることでキャラクターへの愛着と冒険の記憶が増す

装備品にはそれぞれレアリティーが割り振られており、高レアリティーなものほど強い気がするが、レベル1ではその差はほとんどない。なぜなら、装備品のレアリティーはレベルの限界値が高いということに、ほかならないからだ。レベルアップさせていくことで、その装備品の特性が数値に現れてくる。また、装備品はアイテムを使って進化させることができる。これにより、じっくりと時間をかけて成長させられるというわけだ。

ジョブに関しても、一定レベルまで成長させると上位職に転職できるようになる。長期間にわたって遊ぶことを想定した作りの中で、装備品のバージョンアップは愛着という点で非常に重要なファクターとなるだろう。また、長く遊ぶためには対人要素も必要だと開発チームが判断したことも想像に難くない。そんな中で、マルチプレイを推奨しつつもソロプレイでも遊べる要素を残しているという部分の、懐の広さの好感度は高い。

ゲームシステムを優先してプレイヤーの遊びを制限することなく、各自のスタイルに合わせられる柔軟さはゲームの間口を広げ、プレイしていても飽きにくい。前述のようなシステムなので、序盤から強い装備でバリバリ進めるということはないが、じっくり遊べば必ずそれにこたえてくれるシステムなので、長く、愛着を持って遊んでほしい。

駆け出しからスタートして、キャラクターのジョブは戦士、魔術師、僧侶に分岐。さらにその先へと、ジョブの選択肢は樹形図的に広がっていく。なお、各ジョブとも個別にレベルが設定されているので、ジョブを変更するとレベル1から成長させる必要がある

アイテムを装備できるのは、武器、盾、頭、体上、腕、腰、体下、足の8カ所。このほか、アクセサリーとして顔、指輪、腕輪、特殊の4種を身に着けられる

  • 使用した端末機種:紅米2(Red mi 2)
  • OSのバージョン:Android 4.4.4
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

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