勇者になる方法【ゲームレビュー】

クリエンタ
2016年02月12日

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『勇者になる方法』は、攻撃と防御の2つのボタンが主になるシンプルな操作性と、可愛らしいグラフィックからは想像できない難易度が魅力的なアクションRPGだ。一見すると「簡単操作でサクサク進む系」のゲームと思うかもしれないが、シンプルであるからこその緊張感ある駆け引きを楽しんでみてほしい。

とっさの判断と反射が生死を分けるアクションRPG

ゲームの複雑さが面白さとイコールでないのはいまさらいうまでもないだろう。昔、テレビゲームもなにもない後輩の下宿でひと晩中あっち向いてホイをやり続けたことがあるが、読みと戦略が確立されれば、シンプルなゲームほど深くはまり込める懐の広さがあるものだ。本作では、その読みの部分が攻撃と防御という点に集約されている。ゲームというものは双方のプレイヤーの本気度も面白さに関わる部分だが、開発者は負けず嫌いなのかかなり本気で、なめていると痛い目を見ることになる。

全般的に可愛らしいグラフィックなのに敵の攻撃はけっこうガチ。油断しているとあっさり死ぬ

攻撃と防御を使い分けてコンボをつなぐ

プレイヤーは勇者見習いになって勇者を目指すのが話の筋だが、そこのところはまったく主眼ではなく、街の住人から依頼を受けつつ、ステージをクリアしていく形のアクションゲーム。移動は強制スクロールで敵と出会ったら攻撃か防御を選ぶだけ。実にシンプルなシステムなのだが、慣れないと序盤でもあっさり死ぬというなかなかハードな作りになっている。基本的には敵が攻撃する前に攻撃を重ねてコンボをつなぎ、敵の攻撃時に防御してダメージを抑えるということの繰り返しになる。

また、敵の攻撃と同時に防御するとSuper Defenceという特殊防御が発動し、攻撃を無効化してさらに付加された特殊効果が発動する。文字にするとこれだけなのだが、この攻防の駆け引きがなかなか熱い。コンボを繋げることでダメージ量がかなり変わってくるので、序盤はともかく中盤以降はコンボを意識した戦闘が必要になる。

Super Defenceにならなくても、早めに防御ボタンを押していれば防御態勢に入り、ダメージの減少とコンボの継続が行われる

Super Defence状態になると、盾に付加された特殊効果が発動する。特殊効果は魔女によって付与された魔法で変わり、何が来るかはランダム。画像は2秒間敵にスタンが発動しているところ

反復したステージ攻略でアイテムを集める

プレイヤーキャラクターは勇者を志す駆け出しの剣士で、最初は非常に弱い。そのため武器や防具を強化していかねばならないが、強化の方法は大きく分けて2つ。鍛冶屋での強化か魔女に頼んでの魔法の付与である。鍛冶屋での強化には魔力のエッセンスというアイテムとゴールドが必要。また、魔女に魔法を付与してもらうには、ジェムと呼ばれる課金通貨を用いる。魔力エッセンスは、ステージをクリアすれば比較的簡単に手に入れることができる。ジェムも魔力のエッセンスほどではないにしてもステージで手に入れられるし、課金して購入することもできる。

魔力のエッセンスを使って武器や防具を強化できるほか、特定のレシピを使うことで新しい武器や防具の製作も行うことができる

時間経過によるものか、すでにクリアしたステージにアイテムアイコンが登場することがある。この場合、そのアイテムはステージクリア時に必ずもらえる保証になる。これを見つつ、アイテムを集めると効率がいい。先に進むことも大事だが、クリアしたステージを反復的に周ることで強化アイテムを手に入れていく。ステージで手に入れられるアイテムはゴールド、魔力エッセンス、ジェムのほかにルーンの合成に使う魂石などを入手できる。他のゲームでも成長アイテムを手に入れるために決まったステージを反復することがあるが、本作ではこの部分が確定していない。マップに入ったタイミングでそれらが決まるのだ。

クリア済みのステージに、アイコンが出ていることがおわかりだろう。必要なアイテムに合わせてこれらのステージを再攻略すれば、確実にアイテムが手に入る

ランダムなステージ構成

各ステージはボスとwave数が決まっているだけで途中に登場する敵の構成はランダムになっている。ステージ途中に落ちている宝箱がミミックだったり、はたまた回復アイテムと爆弾を投げつけてくる敵が登場したりとなかなか気が抜けない。また、waveを構成する敵もザコとあなどると、なかなか手痛い攻撃をしてくるものもいる。攻撃ボタンをタッチし続けることで攻撃が連続するが、この状態で勝てるのは序盤だけである。毎回ていねいに戦わないとボスにたどり着くころにはHPが半分以下になっていることもしばしば。戦闘時に緊張を強いられるので1ステージ終わるごとになかなかの疲労感を覚える。

ステージが強制スクロールしている間に落ちている宝箱を蹴ると、アイテムを手に入れることができる。ところが、この一部がミミックだったりするので油断は禁物。ミミックと確定すれば普通に戦闘で倒すことができ、アイテムも入手できる

ステージ途中で登場する投てき系の敵。回復アイテムと緑の爆弾、赤の爆弾をこちらに投げつけてくる。緑の爆弾でのみダメージを与えることができ、蹴り返しに失敗するとダメージを受ける。赤の爆弾は逆に、蹴り返すとダメージを受ける。なおアイテムを蹴り返してしまうと入手できない

冒険を助けるペット

主人公が連れているペットは、戦闘時にアイコンをタップすることで黄色のゲージを消費し、主人公を助ける何がしかのアクションを取ってくれる。ゲージの消費量がそれなりに多く、かつクールタイムもあるので頻繁に使うことができないが、ゲージは時間経過で回復していくのでなるべく早い段階から使用するのが望ましい。

また、入手すれば複数のペットを連れて歩くこともできる。さらに、ペットは専用アイテムでレベルアップし、クラスも変わっていくようだ。なおペットが使えるのはあくまで戦闘時で移動時に使用することはできない点に注意。

ゲーム開始時から主人公についてくるドンドン。能力はHPと状態以上の回復。回復量はLV.1で7％と少々心もとないが、いざというときになかなか心強い働きをしてくれる

ギルドに入れば複数プレイヤーとの冒険も

レベルがある程度高くなるとギルドに参加できるようになる。ギルドに参加すれば複数プレイヤーとステージ攻略に赴けるらしい。らしいというのは、ギルドに参加申請を出したのだが返事が一向に返ってこないからだ。このあたりが非常にわかりづらく、申請を拒否された場合の状況が通達されるのかどうかは不明だ。

ギルドは参加申請する以外に自分で作ることもできるのだが、50,000ゴールド必要となかなか高価。最初はほかのギルドに参加してアイテムやゴールドをためよう

わかりにくい部分はほかにもあり、敵の攻撃タイミングがわかりづらくSuper Defenceを狙いづらいこと、ヘルプがないのでゲームシステムが理解しづらいことなどが挙げられる。プレイしていればそのうちわかるだろうということなのかもしれないが、このあたりが案外ストレスになった。また、アイテムはそれなりの頻度で手に入れられるが、その反面ゴールド不足に悩まされる結果となった。武器や防具の改修に使うゴールドが加速度的に高くなっていくので、ここのバランスもいいとはいえない。ゲームに慣れないと序盤であってもあっさり死ぬのは前述のとおり。攻撃より防御を優先させることが大事だと改めていっておこう。グラフィックもゲームの雰囲気も可愛らしく万人受けしそうな雰囲気だが、その見た目に反して難易度はかなり高め。このギャップにハマる方も多いのではないだろうか。