スマホで楽しむ簡易VRへのいざない(前編)はこちら
手持ちのスマホをVR対応型HMDにできる格安グッズ「スマホVRゴーグル」を手に入れよう
まずは、スマホをはめ込んで使えるVR-HMDを用意しましょう。
最も有名なのはサムスンのGalaxyシリーズのスマホ専用で提供されている「GearVR」ですが、実はGalaxyシリーズ以外のスマホを使っているユーザー向けにも多数のVR-HMDが提供されています。それも価格にして2,000円~4,000円前後という低価格で。
通販サイトのAmazonなどの検索窓で「VR ゴーグル」と検索してみてください。いっぱ出てきたでしょう?
まぁ、どれでもいいのですが、ボクは試しに「GP 3DVRゴーグル」という製品を選択しました。
本当になんでもいいのですが、決め手は、大画面サイズのスマホにも適合していそうだという点と、両眼距離(左右の目の距離)調整と焦点(ピント0調整の機能が備わっていた点です。中国製の安価な製品で、実質的にはノーブランド製品なので、品質に過度な期待は禁物ですが、まぁ、価格相応の出来映えでした。ちなみに、ほぼ同型の製品として「Tera VRBOX」というものもありますので、こちらを選んでもいいと思います。
この他、日本企業が出している安価なVRゴーグルとしてはサナリスの「VR BOX」、ハコスコの「ハコスコ」、ルクラの「ルクラス」などがあります。これらも悪くないと思います。
1つ注意してほしいのは、一連のこうしたスマホVRゴーグル製品は、画面サイズ6インチ以上の大画面スマホには適合できないという点です。
筆者が普段使いしているソニーの「XPERIA Z ULTRA」は6.4インチ画面サイズのスマホですが、この機種はオーバーサイズでまったくはめることができませんでした。筆者は、これよりも小さい6インチのスマホ(約16cm×約8cm)を最近購入したのですが、そちらも微妙に角が干渉してギリギリはめることができませんでした。
逆にいえば、この約16cm×約8cmという大きさが、この手のスマホ3DVRゴーグルにはめられるスマホの最大限界サイズという気がしました。まぁ、最近主流の5.5インチ前後の画面サイズのスマホであれば、問題なく使えるとは思います。
で、ボクは、この微妙に6インチスマホがハマらなかったスマホVRゴーグルをどうしたかというと、荒療治を発動して無理矢理はめ込めるようにしました。
具体的にはマイナスドライバーをガスレンジであぶって焼きごてにして、大胆に整形したのです。まあ、それほど高価なモノではなかったからこそ出来る大胆な改造です(笑)。
360°全天全周映像をVRゴーグルで簡単に楽しむための方法1~YouTubeを活用する
さて、スマホをVRゴーグルにはめ込めたとして、360°全天全周映像をVR的に楽しむにはどうすればいいのでしょうか。
前回を踏まえた形になりますが、前回紹介した方法で、YouTubeに360°全天全周映像がアップロードされているならば、その画面を出してスマホで再生してみて下さい。その画面右下にゴーグルアイコンが出ていませんか?
このゴーグルボタンを押すと、画面が半分に2分割されて表示されるので、この状態でスマホをVRゴーグルにはめ込んで見てみましょう。
頭部をあっちこっちに向ければ、その方向の動画が見られるはずです。
VRゴーグルが少し大きいのでかさばりますが、飲み会などに持っていけば、まだほとんどの人がVR未体験の今ならば、かなり驚いてもらえるはずです。
360°全天全周映像をVRゴーグルで簡単に楽しむための方法2~タオ360プレイヤーを活用する
この方法は「YouTubeで見る」という仕組み上、インターネット接続が必要です。ネット接続の契約形態によっては通信費がかかりますし、そもそも、地下施設にいたり、あるいはWi-Fi設備がなかったりするとYouTubeを見ることができません。また、インターネットのデータ受信速度が不安定だとコマ落ちしたり、あるいは画質が著しく低下してしまったりします。
そんなわけで、安定した品質で360°全天全周映像を楽しめるようにするためにスマホのローカルストレージ側に360°全天全周映像を入れておき、これをVRゴーグルで再生する手法を考えてみることにします。
最近のスマホは、64GBどころか、128GBもの大容量microSDカードに対応していたりするので、360°全天全周映像を複数、SDカードに保存していても全然余裕ですからね。
まず、スマホ側に保存する360°全天全周映像を用意します。
ここで用意する360°全天全周映像とは、THETA Sで撮影したあと、前回紹介したプロセスでパノラマ映像ファイルに変換したもののことです。
この映像を、microSDカードに「MOVIE」という名前のフォルダを作って入れ込みましょう。この名前でフォルダを作って入れるのは、後述のプレイヤーソフトに360°全天全周映像が保存されていることを認識、把握してもらいやすくするための配慮でもあります。
続いて、このパノラマ映像ファイルを、先ほどのYouTubeのゴーグルボタンを押した後のような、二眼分割再生を行うプレイヤーアプリをインストールします。
ボクは、無料でありながらも、操作系もよくできているAndroid用プレイヤーアプリ「タオ360」を選択しました。これも、同等の機能があればなんでもOKです。
ちなみに、タオ360は、360°全天全周の静止画、動画はもちろん、普通の静止画、動画の再生にも対応しているのが特徴です。360°全天全周映像は、VRゴーグルを被った状態で見れば、ちゃんと頭部の向きに連動して見た方向の映像がインタラクティブかつリアルタイムに見られます。静止画も同様です。
YouTubeのようなネットストリーミング再生ではないので、動画の再生品質(画質)とフレームレートは基本的にはストレージに保存してあるオリジナルの品質のままです。劣化はしません。
また、普通の静止画や動画は、前方に置いてあるバーチャルなテレビ画面に表示されるようなスタイルで楽しめますが、まぁ、これらはあえてVRゴーグルで楽しむ意味はないかも知れません。
タオ360には、スマホ内の映像コンテンツの一覧を表示したり、それらを選択して再生する簡易的なブラウジング機能も搭載されていて、これがなかなか便利です。この簡易コンテンツブラウザ機能は、「簡易」ではあるものの、内蔵ストレージ、外部ストレージ(microSDカード)の各フォルダを自動的に全検索して一覧表示してくれるので優秀です。
アイテムの選択は画面中央にあるポイントHUD(マウスカーソルっぽいもの)を、選択したいアイテムに向けて頭を動かすだけです。VRゴーグルを被ってしまうとスマホを直接触る手段がなくなる関係上、タッチ操作ができなくなります。そこでポイントHUDを選択したいアイテム上に一定時間、静止させておけば選択したことになります。また、被験者が一定時間、下方向を見続けると再生を中断して、映像コンテンツ一覧画面に戻ることもできます。いちいちスマホをゴーグルから取り出して、スマホ画面上でタッチ操作しなくて済むのが便利ですね。映像の早送りや巻き戻しなども、このポイントHUDの仕組みで行えたら便利なのですが、今のところ、そこまでは対応していないようです。
おわりに
前後編でお届けしてきた、「360°全天全周撮影カメラとスマホで楽しむ簡易VR」の世界、いかがだったでしょうか。
YouTube、Facebookで、360°全天全周映像のビデオブログのようなことができるようになりましたし、タオ360のような、360°全天全周映像をスマホVRゴーグルで簡単に楽しめる環境を実現する無料アプリも出てきたりして、着実に「簡易VRの世界」が身近になってきていることを実感できました。ぜひ、みなさんも挑戦してみてください。
今のところ、360°全天全周撮影カメラで撮影した映像は、一度パソコン上で処理しないと、スマホVRゴーグルで楽しめないことが、「唯一残された大きな障壁」という感じがしますが、これはそのうち、360°全天全周撮影カメラの方が進化して、撮影した映像をそのまま無変換でVRゴーグルで楽しめる時代もすぐにやってくると思います。
それこそ、360°全天全周撮影カメラのスマホ向け標準アプリが今回紹介したタオ360と同等の再生機能を搭載してほしい気もします。
いずれにせよ、今後も、「360°全天全周撮影カメラ」と「スマホで楽しむ簡易VR」の発展に期待していきたいと思います。