「ゲームに課金は反対!」な黒川氏が「ガチャ」を思い切り回してみたら……
今回のインタビューに登場していただくのは、幼いころからゲームが大好きで、『アイドルマスター シンデレラガールズ』をきっかけにソーシャルゲームにハマったという黒川氏(仮名)。
過去にはいろいろとあったようですが……現在はまっとうなお仕事をされているため、ハンドルネームでも何でもない匿名でお送りします。
――事前にうかがった話では、「ギャンブル」がお好きということですが。
黒川氏:大好きです。一時期はギャンブルだけで食ってましたから。
――パチプロってやつですか?
黒川氏:そうです。ギャンブルは中学2年生のころからやってました。ゲームと同じくらい、お金も大好きなガキでした。バイトもせずにパチンコとスロットに行って、ゲームを買う金を稼ぐんです。サイテーでしょ?(笑)
――最低かどうかよりも、そもそもの問題として中学2年生がパチンコ店に行ったらダメなのでは?
黒川氏:あの当時は大人と同伴ならば、14歳でもパチンコ店に入れたんです。今はトイレを借りるのもダメらしいんですけど。
――では、親とパチンコ店に?
黒川氏:いや、両親はギャンブルが大嫌い(笑)。なのでギャンブルが好きな従姉妹の兄貴に連れていってもらっていました。おおらか時代ですね。
――ギャンブルなので稼げるとは限りませんよね? バイトをしたほうが確実では?
黒川氏:だって働くのがイヤだったんだもん(笑)。
――そういわれたら、なにもいい返せません(笑)。では、ギャンブルの魅力とは何ですか?
黒川氏:やはり「儲かるかもしれない」ってところが好きですね。メダルが出てくるとテンションが上がります。ギャンブル全般が好きなので、何でもやります。競馬、パチンコ、パチスロ、競艇、競輪、オートレース、すべて好きですね。
――先ほど「ギャンブルで食っていた」とおっしゃっていましたが、いつごろでしょうか?
黒川氏:話すと長くなるのですが、高校卒業後に仕事で東京に出てきて、3年の契約切れと同時に地元の沖縄に戻ったときです。東京でもさんざんギャンブルをやっていましたが、沖縄に戻っても続けました。
沖縄で必死になってパチスロをやっていたのは、久しぶりに戻ってやることがなかったからです(笑)。あのときはちょうど「爆裂系」と呼ばれていた『北斗の拳』とか『吉宗』が流行っている時代でした。
――爆裂系とはなんですか?
黒川氏:当たったら爆発する台のことです。それこそ1時間で6~7万も稼げる、ハイリスク・ハイリターンの台です。
――直球な質問ですみませんが、毎月どれくらい稼いでいたのでしょうか?
黒川氏:毎月100万円くらいは儲かってましたね。
――えっ!? それって会社に勤めていたときよりも稼いでいませんか?
黒川氏:そうですね(笑)。でも、毎月100万勝つのは根気がいりますよ。当時、沖縄のパチンコ・パチスロ店は、9:00から0:00まで営業してました。なのでオレは9:00の開店と同時に入って、22:00までずーーーっと回し続けてました。クズじゃないとできません。
――閉店まで2時間あるのに、なぜ22時にやめるのですか? 疲れるから?
黒川氏:いや、同じ店で回し続けるのではなく、オレは8店舗くらいを巡回してました。なので毎日22:00になったら、他の7店舗に移動して今日のデータをチェックするんです。
大当たりの回数などのグラフが見られるようになっているので、それをメモしておきます。そして帰宅後に統計を取って、無職でクズのくせに翌日の予想を立てます。
――それを毎日やるのですか? 大変そうですね。
黒川氏:でも、1ヵ月に1~2日は休みましたけどね。残りはすべて、そんな感じの生活をしていました。データを蓄積していくと、店ごとに出やすい台のクセとか、店長ごとの傾向とかがわかるようになります。
――もはや仕事ですね。その生活をどれくらい続けて、いくら稼げたのでしょうか?
黒川氏:期間としては2年弱くらいやってました。稼いだお金は覚えていませんが、いろいろ使って口座に残ったお金は1,000万くらいだったと思います。あ、オレはクズ人間ですけど、せめてもの報いとして、妹の学費は全部オレが払っていました。
ファミコンショップでの「エロゲ」との出会い
――黒川さんはゲームが好きとお聞きしましたが、いつごろから遊んでいますか?
黒川氏:3~4歳のガキのころから遊んでいました。両親がともに末っ子で、大きい従姉妹がいたんです。彼女たちが頻繁にゲームを遊んでいたから、オレもゲームに触れる機会が多かったんです。
――どんなゲームを遊んでいましたか?
黒川氏:「ゲームウォッチ」とか「ファミコン」とか、いろいろ遊んでいましたよ。ガキのころは内容がよくわからなくても、ゲームを遊ぶこと自体が楽しかったです。
『ハイパーオリンピック』の専用コントローラーって知ってます? ただボタンがついているだけの機器なんですけど、あれならガキでもガチャガチャ押せるので、けっこう遊んでいたように記憶しています。
――そのころからゲームにハマっていたのですか?
黒川氏:そうですね。それからしばらく経って、自分でハードを買って遊ぶようになりました。『スーパーファミコン』はもちろん、『メガドライブ』や『PC-Engine』も買いました。
そういえば『ツインファミコン』も買いましたね。だから「どのメーカーが好き」というのはなくて、まんべんなくプレイしていた感じです。
――ゲーマー少年だったのでしょうか?
黒川氏:それは間違っていませんが、ある時期からはリアルな野球に興味を持ち始めて、野球少年になりました。西武ライオンズのデストラーデが大好きだったんです(笑)。その影響で、一時期はスポーツゲームばかり遊ぶようになってました。
――幼いころの趣味はコロコロ変わりますよね。
黒川氏:そうなんですが、16歳くらいになったらまた嗜好が変わってきて、俗にいう「エロゲ」にハマり始めました。
――年齡的にオーケーですか?(笑)
黒川氏:ダメだと思います(笑)。当時はおやじがお堅い系の仕事をしてたので、自宅にWindows 3.1のパソコンがありまして、それで遊べたんです。
――ソフトはどうやって入手を?
黒川氏:当時は沖縄に住んでいたんだけど、やはり沖縄にもエロゲのお店があるんですよね。今みたいに専門店ではなくて、ファミコンショップの片隅に売ってたんです。
元々ゲームは好きだったのでお店に通ってはいたんだけど、エロゲを見つけて興味深く見ていたら、店長から「何? そーゆーの興味あるの?」と聞かれました(笑)。
――思春期の少年がそんなことを聞かれたら恥ずかしいです!
黒川氏:いや、そこはウソついてもしょうがないから、欲望の赴くまま「好きっス!」って答えましたよ(笑)。そうしたら本当はダメなんだろうけど、売ってくれるんですよね。いい時代でした。
――Game Deetsはスマホゲームの情報サイトなのですが、せっかくなのでエロゲの話もお聞きします。好きなエロゲはどのような作品でしたか?
黒川氏:やはり「エルフ」のブランドは外せませんね。王道ですから。あとは「フェアリーテール」とか「カクテル・ソフト」、エルフの分家の「シルキーズ」、「U・Me SOFT」、「C’s ware」などです。
――たくさん出てきますね……。
黒川氏:他に「Leaf」も好きだったんですが、実は『ToHeart』をやるまで知らなかったんです。メーカーを意識せずに『雫』とか『痕』とかは遊んでいたんですが。
あ、大事なメーカーを忘れてました。例に漏れず「アリスソフト」も好きです。『闘神都市』とか『アトラク=ナクア』を遊んでました。「アボガドパワーズ」の『D+VINE[LUV]』も楽しかったなぁ。懐かしいです。
――せっかく家庭用ゲーム機をすべて持っていたのに、エロゲばかり遊んでいたのですか?
黒川氏:いやいや。この期間も、ちゃんと普通のゲームを遊んでいます。『ファイナルファンタジー』シリーズとかね。それとゲームセンターも通ってました。格闘ゲームが大好きなので、ほぼ毎日行ってました。『ストリートファイターII』が出たときは衝撃的でしたねぇ。
とまぁ、そんな生活を送っていたのでオレの青春時代はゲームを抜いたらなにも残りません(笑)。
――中高生でゲームセンターに通うのはお金がかかりませんか?
黒川氏:そこは工夫をしました。当時オレは塾に通っていたので、親から夜の弁当代として毎日500円もらえるんですよ。だけどメシはパンとジュースでガマンして、300円くらい残します。当時の沖縄には50円のゲームセンターがあったので、最低でも毎日6プレイは遊べたんです。
――現在もゲームは遊びますか?
黒川氏:それが、今は家庭用ゲーム機は何も持ってないんです。スマホ以外のゲームはすべてPCでやります。それも『Winning Post』シリーズとか、すべて競馬のゲームだけです。
――PCだったらオンラインゲームも遊べますよね?
黒川氏:オンラインゲームは嫌いなんです。だってあれ、チャットしてるんだか、ゲームしてるんだか、わからないんですよ。もちろん、友だちに誘われて遊んだことはありますけど、「チャットかゲームかどっちかにしろ!」って思っちゃうんですよね(笑)。
いろいろ遊んだけど、どれも1週間くらいで飽きちゃいました。チャットはめんどくさいですね。
ガチャが大嫌いな黒川氏が『デレマス』にハマるまで
――ここまでお話をうかがってきて、なんとなく予想がつきました。幼少期ゲームが大好きで、今はゲーム専用ハードを持っていない。その反動で、スマホで遊ぶソーシャルゲームにハマったのでしょうか?
黒川氏:そう思われるかもしれませんが、違いますね。初めはソシャゲのことをめちゃくちゃ敬遠してました。ニュースなどで「コンプガチャ」のことが話題に上がると、だいたい悪いニュースでしたよね? オレも同じ意見で、「なんで単なるデジタルの絵に金をかけるのか」と不思議に思ってました。
――それがなぜ、『アイドルマスター シンデレラガールズ』にハマったのでしょうか?
黒川氏:ゲームセンターの『アイドルマスター』は好きで、かなり遊んでいたんです。あれって1プレイが500円もしたんです。あまりにも遊びすぎたせいで、『アイマス』の筐体が貯金箱に見えてくるくらい。
――『アイドルマスター』がゲーセンに登場したときは、ファンの間でかなり話題になりましたね。
黒川氏:ゲーセンの大画面で、全国大会を遊べるのが楽しかったんです。だから、Xbox 360版は本体を持っていたにもかかわらず遊びませんでした。
しかも、Xbox 360版は、「DLC(ダウンロードコンテンツ)」でいろいろと追加されるんですよ。ゲームを買ったのに、ソフト以外にもお金を掛けるのは抵抗がありました。
――なるほど。その理由からアーケード版一筋だったのですね。
黒川氏:はい。でも、しばらくしたら飽きてきたのか、アーケード版もプレイしなくなりました。時間の経過とともに『アイマス』から遠ざかっているオレがいました。
――ということは、またどこかで再会しないと!
黒川氏:再会は、「ニコニコ動画」とかで流行ったMAD映像です。『アイマス』の動画と他のアーティストの音楽を合わせる映像が流行して、たくさんアップされていたんです。
――「Perfume」とか、たくさん上がっていました。
黒川氏:そうです。ゲームはもう遊ばなくなっていたけど、あの映像はおもしろかったから、よく見ていました。『アイマス』とはその程度の付き合いで過ごしていたら、あるときに『アイマス』のスマホゲームが出てきたんです。
――それがモバゲーの『アイドルマスター シンデレラガールズ』ですか?
黒川氏:そうです。でもよく調べると、オレが大キライな「コンプガチャ」のゲームなんですよ。もちろん大嫌いなので遊びません。それに、そのころのオレはMAD動画を見ているだけで満足してましたから(笑)。
――そうかもしれませんね(笑)。
黒川氏:でも、コンプガチャと同じくらい大嫌いなのは「遊んでもないゲームを批判するヤツら」。オレは昔からゲームを買ってプレイして、楽しんできた人間なので、いくら「システムに腹が立つ」とはいえ、一度もプレイしていないのに「嫌い」といい切るのは何か違うだろ~って思いました。
――黒川さん、なんかカッコいいです!
黒川氏:なので……、タイトルが長いので以下『デレマス』でもいいっすか?
――はい、そうしましょう(笑)。
黒川氏:その『デレマス』が配信開始してから3~4カ月経ったころ、やっと遊んでみたんです。でも、オレは今から遊ぶっていうのに、「けなすつもり全開」でプレイするわけじゃないですか?
――話の流れからは、まぁそうですね。
黒川氏:それでは公平なジャッジができない。なので、オレなりに何か目標を決めようと思いました。
――いい判断だと思います!
黒川氏:でしょ? オレは『アイマス』は好きだ。なので、その中でも特に好きな「三浦あずさ」の新規イラストが見たいということにして……いや、本当に見たかったんだけど。それでスタートしたんです。
――欲望に正直ですね。
黒川氏:そんなこんなで始めてみたら、どうやら「三浦あずさの新規イラスト」はガチャを回さないと見れないって知るわけですよ。
――予想していたとおりです。
黒川氏:オレの大嫌いなガチャっすわ。でも、ここでヤメたら何のために始めたんだかわからない。ということで「わかったよ……ガチャ回してやるよ」となるわけです。
――あくまでも「公平なジャッジ」のためですから。
黒川氏:そこでWeb Moneyカードを5,000円分買ってきたんですが、これがすべての始まりでした。
――絵に描いたような導入ですね。それで、肝心なゲームは面白かったですか?
黒川氏:面白さはなにも感じていませんでした。ただ、純粋に「三浦あずさの新規イラスト」が見たいだけ。
――でも、絵が見たいだけならネットで見られるじゃないですか?
黒川氏:それも考えたんですが、ネットで見るのはなにかが違うんです。やはりゲームのイラストなので、ゲーム画面の中で見たい。
――その気持ち、わかります。ガチャを回した結果は?
黒川氏:「三浦あずさ」は出ませんでしたが、「双海真美」が出ました。結果は希望どおりにはいかなかったけど、ガチャの仕組みがわかったので満足でした。その後は、初めに入れた5,000円からガチャ代を引いた残りを使って、ちまちまと遊んでいました。
マラソンイベントをきっかけに……新たなアイドルとの出会いも
――では、ある程度は楽しいゲームだと思っていたのでは?
黒川氏:面白いか、面白くないかは別として、惰性で遊んでた感じかもしれません。そして、遊び続けてしばらくしたら「イベントをやります」と告知が出てきました。「ナターリア」のブライダル新規絵のカードがもらえるイベントでした。今でいう「マラソンイベント」です。スタミナを使ってポチポチ作業をして、ひたすら点数を稼いでいく……。
――今ではよくあるタイプのイベントですね。
黒川氏:そうですね。当時はよくわかってなかったけど、いままでためたアイテムを使いながらポチポチやってたら、いつの間にか1,000位くらいになれちゃったんです。そのイベントは1,500位までに入ると報酬をもらえるんですけど、なんだか余裕でもらえる感じでした。「なんだコレって簡単じゃん」と錯覚したのが悪かった!
――1,000/1,500位で、もらえなかったのですか?
黒川氏:前半戦はよかったんだけど、後半戦で他のプロデューサー(プレイヤー)たちが一斉に加速し始めたんです。おかげでオレの順位がどんどん下がって、1,500位圏外に落ちそうになっちゃった。そうなると「負けてられるか!」って熱くなっちゃうんですよね(笑)。
――いやいや、報酬は「三浦あずさ」じゃないんだから、別にもらえなくてもいいじゃないですか?
黒川氏:いったん「もらえる」と思ったものが「もらえない」になると、悔しいもんですよ。なので、それまで競馬やパチンコ、パチスロなどでためた運転資金を切り崩して課金しました。
――今、サラッとギャンブルの話をしましたよね?(笑)
黒川氏:はい。ギャンブルはメチャクチャやってました。当時ほどではないけど、今もやってます。そこでためたお金でWeb Moneyを3万円くらい買ってぶっ込んだんだけど、結局「ナターリア」はもらえませんでした。
――「ナターリア」はほしかった?
黒川氏:いや、「もらえるならもらいたい」ってくらいです。それよりも、イベント自体が「お祭り」みたいなものだったので、他のプロデューサーといっしょにがんばってみたんです。みんなで競い合っていると、どこかネジが飛んじゃいますね。
――そこから『デレマス』にハマったのですか?
黒川氏:それは違います。イベントが終わって1カ月くらいは、ただ毎日ログインしているだけで、あまり遊んでいない状態でした。イベントで燃え尽きたんです。
――なのに、また復活?
黒川氏:そうなんです。あのときは『アイマス』が好きな人と飲みに行って、『デレマス』の話題になったんです。それで再熱しちゃって……というか、好きな子ができたんですよね。
――純粋なきっかけですね(笑)。どちら様でしょうか?
黒川氏:好きになった子は「藤原肇(ふじわらはじめ)」というアイドルです。
――どんな子ですか?
黒川氏:おじいちゃんが陶芸家で、その跡継ぎになるかもしれないという、職人肌な子です。オレはそういう設定の子が好きなので気に入りました。あと、容姿もいいっすね。黒髪のセミロング、これ萌えポイントです。
――黒髪のセミロングって、他にもたくさんいませんか?
黒川氏:いるんですけど、なぜかひかれちゃったんだから、しょうがないじゃないですか(笑)。和装系の服も似合っててタイプです。
――要するに、黒川さんのストライクだったと。
黒川氏:「藤原肇」はしばらくの間、ずっとノーマルキャラだったんだけど、ある時「SR」として突如登場したんです。そのカードは「夢の使者」というタイトルがついているんですけど、とにかくイラストが素晴らしい! なんと、特訓前のカードは寝顔!
――それを見た黒川さんは、どう思いましたか?
黒川氏:「ワシが守らねば!」と思いました。あの時の衝撃は忘れられません。外出中にそのニュースを見たんですけど、見た瞬間にコンビニに走ってWeb Moneyを4万円分買いました。
しかし、ストレートにガチャを回してもお目当てのキャラが手に入るとは限らない! 次回の後編では、「引換券」のシステムを使った入手方法の苦労話のほか、シリーズ最新作『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』とのつき合い方などの話題をお届け!
インタビューの後編はこちら
(C)窪岡俊之
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