【中の人に聞く攻略法】第11回:World of Tanks Blitz

2014年にリリースされたオンラインタンクバトルゲームの最高峰『World of Tanks Blitz』では、軽戦車や中戦車、重戦車、駆逐戦車といった歴戦の戦車を操り、7人対7人の最大14人でのバトルを楽しめる。登場から1年半経ったゲームの反響と今後の展開、初心者向け指南などを、アジアプロデューサーであるオザン・コチョールさんに聞いた。

ガルパンコラボの新情報も飛び出した!? 『WoT Blitz』の現在とこれから

――『World of Tanks Blitz』(以下、WoT Blitz)のリリースから1年半ほど経ちましたが、評判はいかがでしょうか。

オザン・コチョールさん(以下、オザン):2014年6月24日から始まった本作のサービスですが、2015年には新しい要素も入り『WoT Blitz』にとってよい年でした。

Wargamingで『World of Tanks Blitz』のアジアプロデューサーを務めるオザン・コチョールさん

昨年11月に、初めてのオリジナルの戦車『Pz. IV Anko SP』がゲームに登場しました。それまでも非公式のMODなどは存在していたのですが、公式の戦車としての実装は初めてで、大変好評でした。

無償で配布したものなので収益面でほとんど影響はなかったのですが、とても使い勝手のいい戦車で、現在でも使用頻度の高い車両として評価されています。

そして2016年は、新しいステップに進みたいと思っています。特に、既存のプレイヤーさんに満足していただけるようなコンテンツを取り入れることに注力していきます。

アニメ『ガールズ&パンツァー』とコラボした「あんこうチームIV号」こと「Pz. IV Anko SP」。ゲームの音声も、西住みほ役の声優・渕上舞さんが担当している

――日本と海外のユーザーの反応の違いは感じますか?

オザン:それはありますね。「Pz. IV Anko SP」に関しては、台湾などのアジア地域ではアニメのファンも多く問題なかったのですが、ロシアやヨーロッパではアニメの音声に慣れていないユーザーもいたようです。

――PC版の『World of Tanks』(以下、WoT)はユーザー数でギネス記録となっていますが、モバイル版の『WoT Blitz』についてはいかがでしょう。

オザン:『WoT Blitz』も全世界で4,200万DL、アジアでは1,500万DLと、かなり高い数字になっています(2016年2月現在)。

ゲーム用のPCを持っていないため、モバイル版が出るのをずっと待っていたという方が多いですね。

ユーザー数は全世界で伸びていて、特にアジアとアメリカは成長が早い。今年もこの流れは続くでしょう。

――iPhoneなどでプレイすると、ちょっと画面が小さいという人もいるようですが。

オザン:実は、グローバル的に使用されている機種のトップ5にはタブレットが3機種入っていて、トップもタブレットなんです(笑)。ちなみに、私はiPad miniでプレイしています。

自分好みの戦車を見つけよう! ~初心者の戦車の選び方から戦い方まで

――ゲームの遊び方ですが、各国の研究ルートで初心者が目標にするのは、どの戦車がおすすめでしょうか? 車両タイプや国別の特徴などもご紹介ください。

『WoT Blitz』では日本、アメリカ、イギリス、ソ連、ドイツの5ヵ国の戦車が用意されており、戦闘で得た経験値を使って技術を研究することで、新しい戦車が使えるようになる。最初に、どの技術ツリーを育てていくかを決めるのが重要だ

オザン:まずソ連でしたら、「KV-1」から「IS-3」までを目指す重戦車の技術ツリーはかなり人気があり、いわゆる王道になっています。また、有料のプレミアム戦車になりますが、「KV-5」という非常に強い戦車もあり、重戦車の中でもおすすめです。

ドイツですと、中戦車の「Pz. IV」ですね。攻撃、守り、速度などのバランスがいいので、経験値を集めるのにも向いています。

ソ連のおすすめ戦車として名前の挙がった「IS-3」。装甲の厚い重戦車ながら機動性が高く、威力の高い砲を搭載できる点が人気

また、アメリカには「M4 Sherman」という有名な戦車があります。「M4 Sherman」から派生する重戦車の「T29」は装甲がとても堅くて使いやすい車両です。これなら敵の正面に出ても活躍できます。

そしてイギリスは、中戦車の「Cromwell」。その特徴は非常に速いことです。動きやすく快適に遊べるので、みなさんが想像しているような“重い戦車”ではない点が面白いと思います。

Tier VIの中戦車として登場する「Cromwell」。快速戦車「Crusader」から研究・開発することができる

――日本は、技術ツリーが途中から1つだけになるんですね。

オザン:やはり、日本の戦車をいちばん使ってみたいのかなと思いますが、戦車のバリエーションが少ないので、モジュール(パーツ)などをいろいろと研究していただければと思います。

日本でしたら「Type 5 Chi-Ri」は火力が高いですね。

――人気のある車両のタイプはどれですか?

オザン:重戦車と駆逐戦車はとても人気です。でも、遊びやすいのは中戦車ですね。いちばんバランスとれていますので、初心者でも操作しやすいと思います。

今後は駆逐戦車のラインも増やす予定があります。

3月のアップデートでは追加戦車はなかったのですが、新マップ「蜃気楼」が追加されました。

――そうすると初心者は、まずバランスの取れている中戦車で始めるのがおすすめですか?

オザン:そうですね。いちばん動きやすい軽戦車で始めて、その後に中戦車、例えばドイツの「Pz. IV」」のライン、イギリスの中戦車ラインなどがけっこう動きやすいので、試していただければと思います。

そして、自分のスタイルに合う車両を見つけていってください。

――経験値を稼ぐコツを教えてください。

オザン:経験値を稼ぐには、プレミアムアカウントを購入するのが、いちばん効率がいいです(笑)。

ゴールド(ゲーム内通貨の1つで、ミッションなどで得られるほかにリアルマネーでも購入可能)を使いたくない場合は、自分のプレイスタイルにいちばん合う、例えばTier 5~6(Tierは戦車の強さを示すグレード)の戦車を入手し、すべてのモジュールを研究してエリート戦車まで強化します。

エリート戦車で稼いだ経験値はゴールドを使えば、他の戦車の研究にも使える「フリー経験値」に変換できます。

また、プレミアム戦車を入手すると、経験値稼ぎ用の戦車として非常に重宝します。

プレミアム戦車の一部には、経験値が通常の2倍もらえる車両もあるので、使いやすい「KV-5」などを入手して稼ぐのもいいかもしれません。

ゴールドを使って加入する「プレミアムアカウント」は、1日単位で利用可能。戦闘報酬の経験値とゴールドの獲得が通常の1.5倍になる

――ずばり、戦場で最も気をつけなければいけないことは?

オザン:大前提として、3つあります。

1つめは位置取りです。建物に隠れるなどして敵に後ろを見せない、簡単に撃破される行動をしないことです。そのためには、自分の戦車と相手の戦車に関する知識が必要です。

どこが弱いとか、どこを撃てばいいのかといった「知ること」は、2つめの重要なポイントです。

このゲームでは、知識は武器ですね。もちろん、戦車だけでなく、マップに関しても当てはまります。「ここに行ったらおしまいだ」といったポイントも割りとあるので(笑)。大切なのは、自分で試したり分析したりすることです。

戦闘では、位置取りが重要。マップを熟知し、岩や建物など、さまざまな遮蔽物を利用しよう

3つめは、さまざまな戦車がいますので、強い車両に気をつけることです。

「Type 59」などは前面の装甲が特に強いので、前からアタックしてもどうにもならない場合などは、別な作戦に切り替えるといったことも大事です。

――なるほど。戦闘に入る前の準備も重要ですよね。

オザン:そうですね。モジュールを付けたり、装備を使ったりとか……。これらを利用するとクレジット(ゲーム内通貨)を消費しますが、1回使ってみるとパフォーマンスが全然違うことに気がつくと思います。例えば、装填時間を早めるとか。

その戦車でどんな遊び方をしたいかに応じて、準備の整え方を変えたほうがいいと思います。

また、ゴールドで購入できる砲弾を使っている人もいます。その他、最近入った「カモフラージュ」もありますので、見た目なども面白くしてみるのもいいかもしれません。

戦車のコレクションも楽しい! 今後の新たなバリエーションにも期待

――プレミアムアカウントは、どのぐらいのユーザーが購入されているのですか。

オザン:具体的な数値はいえませんが、かなり多いです。日本やアジアで最も購入されているのがプレミアムアカウントです。なくてももちろん遊べますが、とても好評で、長く遊ぶのであればおすすめです。

特に「全部の戦車がほしい、コレクションしたい」という方はプレミアムアカウントを利用するといいでしょう。

――やはり、戦車のコレクションを楽しんでいる方もいるのですか。

オザン:いらっしゃいますね。新しい戦車をリリースすると、即座に購入される方が多いです。2月にユニークな戦車をリリースしましたが、人気がすごいですよ。

「IS-3」という有名なソ連の戦車の特別なバージョンで、「IS-3 Defender」と呼んでいます。オートローダー(自動装填装置)を装備しているので、非常に強いです。

外観も特別迷彩で、戦闘中はロボットみたいにピカピカ光るなどのギミックが施されています。

こちらは期間限定のミッションをこなして経験値で購入するか、もしくはゴールドで購入可能です。ただし、数が限られていて、グローバルで6万台限定になっています。

経験値を使えば無償ですが、早々とゴールドで購入された方が多いですね。

――期間限定というのはよくありますが、台数限定という区切りは珍しいですね。

オザン:数で区切るのは、『WoT Blitz』でも初めてのことです。なので、今回はトライアル的な意味合いもあります。

後になって「ほしかった」という方も出てくると思いますが、その際にどういう対応をするかは今後の課題の1つです。

今はさまざまな戦車の販売方法を試していて、プレイヤーの反響を計っているところです。実は今回の「IS-3 Defender」もそこまで人気になるとは思っていませんでした。

――ご自分でいちばん好きな戦車はどれですか。

オザン:難しいですね。さっき初心者向きとして挙げた「Covenanter」から「Crusader」「Cromwell」までのラインが、とても動きやすくて好きです。

また、最近プレミアム戦車としてリリースした「Type 59」という中国の軽戦車も、非常に遊びやすくて使うと楽しいです。軽戦車としてはとても火力があります。

現在は入手できないのですが、販売した当初はすごく人気がありました。

――軽戦車としては珍しいですね。

オザン:そうなんです。速くて強い。また、デザインも中国の戦車なので、ドラゴンをあしらったとても特徴的なものになっています。今後、もしかしたら別の機会に入手できることもあるかもしれません。

――オンラインゲームなのでマナーも気になります。基本的に他のプレイヤーといっしょに遊ぶものなので、注意点などがあれば教えてください。

オザン:他の人に「へたくそ」とか「Noob」といった乱暴な言葉は使わないというのが大前提です。初心者は混乱してしまうことが多いので、自分がわかっているのなら説明してあげる方がいいですね。

ゲーム中は、積極的にアドバイスするなどのコミュニケーションをとっていきましょう。日本のプレイヤーは全体的にマナーがよく、悪いマナーにはとても敏感ですね。

――先日リリースされた支援アプリ『WoT Blitz Assistant』とは、どのようなものですが?

オザン:これは、ゲーム内であまり詳細に表示できないデータなどをまとめて確認するための情報アプリです。必ず役に立つと思いますよ。

自分の戦績データだけでなく、友だちほかのクランの統計データも見られるため、ファンにはたまらない仕様になっています。

データの統計を確認することで、「この戦車だと勝率高いから、このラインを深めていこう」など、自分がどの戦車に向いているかの傾向が分かりやすくなります。

『WoT Blitz Assistant』では、自分の戦歴だけでなく、他のクランやユーザーのデータも確認できる

2016年は大会開催! 今後のアップデート計画も

――以前、「ユーザー同士のコミュニティーを活性化したい」とおっしゃっていましたが、今の段階でそれはうまくいっていますか?

オザン:それはずっと続く課題ですが、クランができてから、コミュニティー面は強くなったと思います。次のステップは、クランを生かす新たなフィーチャーです。

近日中にトレーニングルームを導入して、1人用の訓練や、チームトレーニングができるようにします。

PC版『WoT』にはすでに導入されているのですが、『WoT Blitz』では未実装で、非常に多くのユーザーの方が望んでいた仕様です。

あとはe-スポーツですね。今年は必ず「モバイルe-スポーツ」の展開に着手していきます。高レベルユーザー向けですが、これによってコミュニティーの形が変わると思います。

――e-スポーツということは、具体的には大会などをやるということでしょうか。

オザン:はい、大会を開催します。オンラインとオフラインのイベント両方を予定していて、今年の大きな目玉になると思います。

その第1歩がトレーニングルームの実装です。トレーニングルームでは試合を鑑賞したり、カスタムバトルを練習できたりするようになります。

――それは楽しみですね!

オザン:『WoT』はe-スポーツに向いていると思います。もしかしたら、我々が毎年開催している『WoT』の世界大会「The Grand Finals」の中にモバイル部門を作るかもしれません。

アジアではモバイルが発展しているので、特に日本や韓国のユーザーさんは波に乗って、代表的な存在になってほしいと思います。

また、オフラインだけでなくオンライン大会なども開催して、PCの『WoT』に近い形にしていきたいと思います。新しい運営の形なので、準備をがんばっています。

2016年3月に開催された大会「WGL APACシーズンIIファイナル」の様子。YouTubeにて試合の様子も公開されている

――ユーザーの側としてはすごくワクワクしますが、大会運営は大変そうですね。

オザン:大変ですね。オンラインの大会も運営側が見なくてはいけないですし、体制を整えたり、人員的な問題もあります。開発の面でも運営に影響が出てきますので。

――現状の運営の課題は何がありますか。今後の展望も含めて教えてください。

オザン:「バグがほぼゼロ」というレベルにたどり着いていないという点が、大きな課題の1つです。随時追加されているコンテンツとのバランスを調整することがいちばん難しいです。やはり新しい戦車やコンテンツをユーザーさんは望んでいますので。

私の個人の課題としては、アジアのユーザーがよろこぶコンテンツを、全体のロードマップに入れることです。これはプロデューサーの腕の見せどころなんですが(笑)。

『WoT Blitz』はあくまでグローバルなゲームなので、一部のリージョンのユーザーにだけ受ければいいというものではありません。

アジアはもちろん、全世界の地域をどうやってよろこばせられるかは、大きな課題ですね。

――先日のアップデート射撃のメカニズムに変更がありましたが、システム面、物理エンジン面で今後も改良がありますか?

オザン:あります。実は、昨年の12月末に行なったイベントで、『WoT Blitz』のロードマップを発表しました。今年中にテクスチャーを大きく改善するプランがあり、さらにグラフィックがきれいになります。

石畳がリアルに表示されたり、戦車のアーマーもPC版のように光を反射させたりするように……。モバイルでこれだけのクォリティレベルは見たことがないというぐらい改善していきます。

その一方で、アプリ自体のビルドサイズを小さく、最適化します。

――今年は大会あり、ゲームの改善ありで、かなり大変そうですね。

オザン:そうですね(笑)。でも、面白いことをやるのが私たちの仕事です。リージョンごとにプロデューサーがいて、みんなとても仲がよく毎日会議しています。

大事なのは共有することで、全員が自分の担当する地域だけでなく、全体の成功を望んでいるので、お互いに手伝ったりしています。

『ガルパン』コラボ第2弾も「あと少し」で登場

――昨年は『ガールズ&パンツァー』とのコラボがありましたが、今年も期待していいんでしょうか?

オザン:必ず第2弾をやります! 「いつ」とはいえませんが……あと少しです(笑)。また、『ガールズ&パンツァー』以外のコラボもいろいろと予定しています。

Wargamingの社内に飾られた『ガールズ&パンツァー』のコラボグッズ

――「あと少し」! 楽しみにしています!! では最後に、ユーザーの方へメッセージをお願いします。

オザン:『WoT Blitz』は、やり出すと非常にハマりやすいゲームだと思います。最初は難しいと感じるかもしれませんが、何戦かこなしていけば必ずうまくなります。

そこからどんどん世界に入り込んで、ゲームを楽しみながら、戦車に対する知識を深めたり学んだりして、ぜひ戦車好きになってほしいですね。

また、プレイヤー同士の協力が大前提となるゲームですので、友だちといっしょに小隊を組んだりすると、すごく楽しいと思います。ぜひ色々と遊んでみてください。

――ありがとうございました。

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