I am Bread【ゲームレビュー】

『I am Bread』は、イギリスに拠点を置くBossa Studiosによる異色のアクションアドベンチャー。プレイヤーは1枚の食パンとなり、無事トーストになれるよう幾多の困難を乗り越えていく。外科手術シミュレーター『SURGEON SIMULATOR』を手掛けたスタッフが開発を担当していて、リアルながらもあり得ない、不思議な状況を楽しむことが可能だ。

食パン道とは、焼かれることと見つけたり
異色過ぎるアクションアドベンチャーが登場

日本の文化やゲームは欧米から見れば独特らしく、いい意味で「Only in Japan」などと言われることがあるが、イギリスだってかなり変。ウイット&ペーソス&アイロニーの本場、Only in UKだ。さて本作は、そんなOiUKな雰囲気満点のタイトルとなっている。なにしろ、主人公は食パン(ブレッド)で、トーストになるのが目的なのだから。

何を言っているのか、よく分からないとは思うのだが……。書いているこちらも、よくわからなくなっているので

3秒ルール的なサムシング

さて、この食パンだが、ただトーストになればよいというわけではなく、なるべく綺麗な体でトーストになりたい。食パンのクセに生意気だと思うのだが、食べる方としてもあまり汚いのは嫌なので、そこは利害の一致を見ることに。では、汚れてしまうのはどこなのか? それは端的に床だ。ほかにもいくつかあるのだが、まあ床にさえ注意すればいいだろう。

床につかないように、ひたすらトースターのある場所を目指していくのだが、そこはそれ、ときには床に落ちてしまうこともある。そんな時は、急いできれいな場所に避難しよう。本作では、いわゆるHPが「可食性」と表現されていて、汚い場所に触れてしまうとこれがどんどん減っていく。そして、ゼロになるとゲームは終了。食パンとしての価値がなくなったと判断されるのだ。

足跡の付いた床に一瞬でもついた食パンなんか絶対に食べたくないものだが、可食性が0になる前なら、何とかなる模様。いわゆる3秒ルール的な……

床につかなきゃいいというわけで、椅子や壁を伝って移動しても可食性の減少は起こらない。衛生の概念がよくわからん……

移動方法は、通常、壁のぼり、ナッジングの3種類

さて、主人公は手足どころか目鼻もない何の変哲もない食パンだが、実は特殊能力があって移動することができる。移動方法は3種類。移動先に向かってスワイプすれば通常移動、食パンの四隅のどれかが壁などに付けばクライミング(壁登り)が可能となっている。左右の親指でスワイプすることで進んでいけるが、途中で画面から指を離してしまうと食パンのグリップ力は失われ、床に真っ逆さまだ。

そして3つ目は、ナッジング(つつく)。食パンはスワイプで移動するとひっくり返りながら進んでいくが、これだと細い通路から落ちてしまうこともある。そんな場合は端っこの方をタップすることで、指で突くように少しずつ前に進んでいくことができる。

長い距離を一挙に移動できるが、細かな動きができないことと、どこに行くのかよくわからない点がデメリット

実は、最もよく使うのがこのクライミング。グリップした部分を中心に進んでいくが、壁以外の場所でも使えるのが便利だ

細かな位置調整に便利なナッジング。トーストになる直前の位置調整などに活用しよう

カメラと視点の移動を駆使して進め

食パンを移動させることで、カメラも一緒に移動する。このとき、必ずしも見たいところにカメラが向くわけではないのが問題だ。見たいところが見えない。そんなときは、カメラアイコンをスワイプすればOK。食パンを中心に360度、カメラを自由に動かすことができる。また、進行方法を正面に向けることも可能。上下に視点を動かすこともできるので、落下地点の確認などに便利だ。

壁にへばりついているときなどは、なかなか操作しづらい。が、使いこなせると便利な視点移動

とにかく焼ければいいらしい?

ステージ1はキッチンが舞台となっているので、その場にトースターが置かれている。しかし、ステージ2はリビングからのスタートで、当たり前だがその場にトースターなんかない。散々悩んで周りを見渡して、どうやら何でもいいから焼いてもらえるものがあれば、この食パンは満足なんだということが理解できた。そこで、ストーブを目指してそろそろと移動を開始。ちなみに、焼ければいいとはいうものの、焼けすぎると可食性が落ちていってしまう。まあ、焦げたパンを食べたくないのは確かだ。

ステージ1では、トースター以外に電磁調理器でも食パンをトーストに焼き上げることができる

ステージ2では何と、ストーブの熱でトーストに!

手になじむと一気に面白くなる

ゲーム開始直後食パンの動きにも慣れなくて、「なんという糞ゲー」といら立ったのだが、ある程度とはいえ、食パンを意のままに操れるようになると俄然面白くなっていく。マップ内にはわずかながら、食パン自身が動かせるギミックも用意されており、そんなパズル要素も面白さを増してくれる。

正直なところ、万人にオススメできるかといわれると難しいのだが……、ちゃんとゲームとして成立しているし、普通のゲームに飽きた方は本作で食パンライフを楽しんでみては?

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 8.4.1
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0

(C)2013 Bossa Studios Ltd.