キャラゲーとしても楽しめる本格ストラテジーゲーム
『アルスラーン戦記 戦士の資格(マルダーンの資格)』は、原作『アルスラーン戦記』のキャラクターたちが活躍するストラテジーゲーム。
原作コミックやアニメの重厚な世界感をそのまま表現したような作品で、深い戦略性を秘めたバトルと、荒涼とした世界で生きるキャラクターたちの人間模様が味わえるようになっている。
物語の舞台は、ペシャワールの守りの一端を担う城砦キミヤ。時系列としてはアルスラーンが王都に挙兵する前だ。ルシタニアからの侵攻を受け荒廃したキミヤを、城主の息子であるシャヒンとともに再建していくことに
メインストーリーともいえる「本伝」は章仕立て。各話でバトルをクリアしながら物語を進めていく
施設を作りながら、街を再建していく。次のお話の開放条件にもなっているので、どんどん発展させていこう
小隊の配置がものをいうリアルタイムストラテジー
バトルは、いわゆるリアルタイムストラテジー形式だ。戦闘中の行動はすべてオート。移動先を選んだり、攻撃対象を指定したりすることはできないので注意しよう。
敵の城に小隊を進攻させ、制限時間内に城を破壊できれば勝利となるルール。確認する限り、防衛戦はなかった。
本陣の位置や、小隊の初期配置は、プレイヤーの任意で自由に決めることができる。そのため、どこに小隊を置くかが勝敗のカギを握る。
バトルはオートで進行。配置した小隊が敵城を目指して徐々に攻めていく。本陣付近(オレンジの帯)では小隊がアルスラーンの鼓舞を受けて強化されるので、本陣をどこに置くかも重要だ
破壊率とは、敵の施設をどれだけ破壊したかを示す数値だ。これが高いほどもらえる報酬が増えるので、圧倒的勝利を目指していこう
リーダーによって異なる各小隊の特色
さまざまなキャラクターが小隊を率いるという設定のため、各小隊はその特色が現れたものとなっている。
こうした面を考慮しつつ、いかに敵城を落とすかを考えていくのが面白いところだ。
兵種
各小隊には、率いるキャラクターに則した兵種が設定されている。
特定の施設への攻撃力が上がったり、優先的に狙う目標が変わったりするため、これらを生かせる配置を行うことも重要だ。
主な兵種
- 歩兵:オーソドックスな兵種。どんな場面にもそれなりに対応できる
- 弓兵:遠距離攻撃ができる。城壁越しの攻撃が便利だが打たれ弱い
- 重装歩兵:移動速度は遅いが、非常に体力がある。防衛施設を優先して狙う
- 騎兵:移動速度が速く、近接ながら範囲攻撃ができる。敵兵を倒すのに便利
- 破城槌:体力が高く、壁への攻撃力が上がる。ただし、壁ばかり狙うので使いにくい面もある
- 弓騎兵:遠距離範囲攻撃で、移動速度も速い。一方で兵数が少ないため、攻撃されると弱い
ダリューンなら騎兵、ギーヴなら弓兵といった、いかにもな兵種が設定されている。特徴を生かせる使い方をしていこう
策・秘策
いわゆるスキル。キャラクターそれぞれに固有のものが設定されており、小隊を強化することができる。
バトル中に自動発動するものを「策」、プレイヤーの任意で発動するものを「秘策」という。
策と秘策の発動には、拠点破壊によってたまっていく気力が必要。前者は必要分の気力がたまることでの自動的に発動、後者はアイコンをフリックして気力を消費することで発動する
秘策は小隊の体力を回復するものも多い。ピンチで使うのが効果的だ
対戦に備えて強固な街を築こう
本作には、ほかのプレイヤーの街に攻め入る「対戦」モードも存在する。
リアルタイムに連動はしていないため、攻められても防衛側の任意で守備隊などを出すことはできない。
敗北すると資源などが奪われてしまうこともあり、攻められる前に施設を充実させ、いかに強固な街を作っておくかが重要となる。
城を破壊した時点で攻め側の勝利となる。分厚い城壁と弓兵矢倉や投石器といった防衛施設で、城を守っていこう
対戦では、キャラクターの練度を上げる素材(いわゆる進化素材)が入手できるほか、武勲を稼いで騎士の地位を上げることができる。先行プレイ時点では実装されていなかったが、階級戦もあるようだ
登場するキャラクターすべてにオリジナルストーリーが存在
メインストーリーのほかに、それぞれのキャラクターごとの「外伝」が用意されている。
原作の世界観を壊さない程度のオリジナルストーリーで、彼らの新たな一面を垣間見られるところが魅力だ。
外伝は、各キャラクターにそれぞれ4話が用意されている。確認する限り、入手したキャラクターすべてに外伝があるようだ
原作ではちょい役のキャラクターにも、しっかりと外伝が用意されている。ゾット族族長のものまであるのは驚愕!
ゲームだからこそ味わえるアルスラーン戦記
ストラテジーゲームのユニットが『アルスラーン戦記』のキャラクターに置き換わったことで、ナルサスのような戦略家気分が味わえる本作。
筆者としては、ヴァフリーズ老がユニットとして使え、外伝もしっかり用意されているところがうれしかった。
そんなゲームだからこそ実現できたオリジナルのストーリーが楽しめるのが、大きな魅力の作品となっている。『アルスラーン戦記』のファンなら間違いなく楽しめるはずだ。
原作では序盤に亡くなってしまったヴァフリーズ老。そこでは語られなかったエピソードに触れられるのは、ファンとして非常にうれしい
(C)2016 荒川弘・田中芳樹・講談社/「アルスラーン戦記」製作委員会・MBS
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