はがねオーケストラ【ゲームレビュー】

この秋より放送が開始された同名のTVアニメと史上初の同時リリース! 新感覚の戦略バトルゲーム『はがねオーケストラ』は、マップ画面でルートを設定して移動し、戦闘を行うという、これまでにないゲーム性が特徴となっている。

かわいいビジュアルと謎めいたストーリーが融合した戦略バトル!

本作のビジュアルは、イラストレーター・漫画家の今野隼史氏が担当。かわいらしいデフォルメキャラと、シリアスな世界観が相まって、独特な雰囲気を醸し出しているのが印象的だ。

小劇場の舞台公演のような「劇アニメ」でストーリーが進行。スピード再生やスキップ、ダイジェスト動画などが用意されており、プレイヤーの時間を奪わない配慮がなされている

いくつかの質問に答えていくタロット占いで、ゲーム開始時にもらえるカード(部隊員)のレアリティーやスキルが変化する

また音声合成ソフト「VOICEROID+」とのコラボも注目されており、同シリーズの「結月ゆかり」と「弦巻マキ」がゲームにも登場! そして、ガイド役としてプレイヤーを導いてくれる。

ボケ役のゆかりと、ツッコミ役のマキの掛け合いが楽しい。セリフはもちろん、彼女たち自身のボイス付き。これらのセリフは、ボカロマケッツのちょむP氏と、ニコニコ動画で活躍するきゆみやま氏が調整を担当している

シミュレーションライクな戦略性あふれるリアルタイムバトル

気になるゲーム内容だが、本作は「ハガネ」と呼ばれる超技術で作られた戦闘兵器を強化し、乗員を育成してさまざまなバトルをこなしていく、シミュレーション性の高いバトルRPGとなっている。

こちらが最初に使えるようになるハガネ。どう見てもレトロな戦車だが、二足歩行タイプをはじめとするさまざまな種類のハガネも後々登場する

バトルは、2Dのマップ上でハガネの進行ルートを設定すると、3D画面にて半ば自動で移動と戦闘が行われていくという形式。いわば、「逆」タワーディフェンスのようなゲーム性といえばわかりやすいだろうか。

しかし、バトルの進行を止めて作戦画面で戦術をじっくり考えられるという点で、初心者でもあせらず楽しめる手軽なRTSともいえる。

障害物にぶつからないよう、慎重にルートを設定する必要があるものの、ルートそのものをリアルタイムで逐次変更することができる。

ただし、まったく別の方向へ設定し直すと旋回に時間が掛かり、もたついてしまうので注意が必要だ。

マップ上で理想の進路をなぞる、あるいは目的地をタップすることで、ハガネの移動ルートを設定する。敵と遭遇した場合には攻撃の応酬が自動で行われる。画面の切り替えは、右下のレーダー(双眼鏡)のアイコンをタップ!

ハガネには索敵範囲と攻撃範囲がそれぞれ設定されており、戦略次第で相手が攻撃できる範囲の外から一方的に射撃を行うこともできる。

「簡易センサー」などのアイテムを使うか、マップのどこかに潜んでいる敵に近づかない限りは、相手の居場所を知ることができないので、索敵とルート選びはバトルの大きなポイントだ。

障害物を挟んでいれば、敵に気づかれても攻撃されることがないので、移動するときの方針の1つとして意識しておくといいだろう。

例えば、簡易センサーは1つのステージで1回まで使用できるが、アイテムによって複数回使えるものもある。発動するタイミングは重要だ。なお、使用するとなくなってしまうということはないので、安心してもらいたい

また、ハガネの行動は、以下の4つの作戦(指針)のいずれかに沿って決定される。

敵に対してこちらが優勢なら「いけいけどんどん」、その場に停止して敵をしっかり狙って攻撃するなら「じっくりしっかり」を選ぶといいだろう。

4つの作戦

  • いけいけどんどん
  • じっくりしっかり
  • さがってうって
  • ひっかきまわして

なお、攻撃を行う際には、弾丸を装填するための時間が必要になる。画面の中央、やや左下に表示されている数値が100%にならないと攻撃できないので、砲弾を撃った直後はなるべく敵から離れておくのがおすすめだ。

ステージの各所に多彩なギミックが!

バトルを行うステージの各所には、「加速」や「旋回」「跳躍」といった多種多様ギミックが設置されている。これらを利用して、状況に合わせた行動をとることが可能だ。

こちらは加速のギミック。通過時にハガネの速度がアップする。目的のポイントに素早く移動するのに役立つのはもちろん、速度に応じて回避率もアップする

「跳躍」は、ハガネをジャンプさせることができるというギミック。2つで1セットになっており、もう一方の地点へ即座に移動できる。ただし、マップ上に表示されている数値よりも高いスピードで突入することが条件となる。もしも速度が足りない場合には……

草むらに入れば回避率が上がり、優位に戦闘を進めやすくなる。また高低差を生かした狙撃ポイントなども存在する

さらに、鉄塔を破壊して敵を下敷きにするといったシチュエーションも用意されており、ステージごとにまったく異なる戦況を楽しむことが可能だ。

このあたり、プレイヤーをいかに楽しませるかという工夫が随所に盛り込まれているように感じた。

狙いたい敵やオブジェクトをタップすることで、攻撃目標を指定することができる。複数の敵が出てきたときなどには、これを活用しよう

ハガネをカスタマイズしてより多彩な戦術を!

ゲームをある程度進めると、複数のハガネを同時に出撃させることが可能に。また、ハガネのパーツを入れ替えてカスタマイズを行えるようにもなる。

ハガネは「胴部」「脚部」「火器」の3つの部位に分かれており、それぞれのパーツを入れ替えることで異なる特性を得ることができるのだ。

胴部を交換すると、「耐久力」「索敵範囲」「衝撃耐性」の3つが大きく変化する。また、脚部は「加速力」「旋回性」「最高速度」に、火器は「攻撃力」「装填速度」「命中精度」に影響を与える。

本作では攻撃が命中すると移動速度がゼロになり、いったん停止してしまうという要素がある。

例えば、ハンドガンは威力が低く、単体では敵を撃破することが難しいが、高い命中力を生かして敵を足止めし、仲間のハガネに大きなダメージを与えてもらうといった作戦も実現可能だ。

さまざまなパーツの特性を生かし、それぞれ違った性能のハガネを組み合わせて、多彩な戦術を実現できるのも本作の魅力の1つといえる。ただし重量制限に注意

脚部のバリエーション

  • 二足:加速に優れ、旋回性能がわりとよい。ただし故障率が高く積載量が少ない
  • タンク:最高速度はそこそこで、積載量が多い。しかし加速が遅く、旋回力も少し低め
  • 逆関節:加速と最高速度に優れる。旋回性能はかなり低く、積載量も少ない
  • 多脚:加速と最高速度の点で劣るが、旋回性能がとても高い。また積載量も多い

火器のバリエーション

  • スナイパー:威力がとても高く、射程距離も長い。近距離では撃てない点と装填速度が遅めなのが弱点
  • ミサイル:威力は低いが広い攻撃範囲を誇る。装填速度に劣る
  • マシンガン:命中時の威力がとても高いが、移動時の命中精度は悪い
  • 近接:敵と接触して攻撃する。速度が高いと威力が上がる
  • ハンドガン:威力はほとんどない。射程距離は短めだが装填速度が速く、命中精度も高い
  • バスター:それなりの威力があり、射程距離がそれなりに長い

パーツの「開発」はランダム

ストーリーの第1話をクリアすると、パーツの開発が可能になる。ためた資材をつぎ込んで部品開発を行うのだが、結果はランダムだ。

どのようなパーツができ上がるかは、投資した資材の量によって左右される。また特定の資材を投入しないと手に入らないパーツも存在するという。

さらに、拠点によっても獲得できるパーツに違いがあるという仕組みだ。

とりあえず、資材300を投入して試してみたところ、「コモン」レアリティーの「ボーダンアームI」ができ上がった。高レアリティーのパーツを手に入れるには、かなりの試行錯誤が必要になりそうだ。投入した資材の量と結果はゲーム内に記録されていくので、友だちと情報を共有して探っていこう

拠点となる集落「彩」をグレードアップ!

主人公たちは、「彩」と呼ばれる集落を拠点に序盤のバトルを繰り広げていく。この拠点には「工房」や「温泉」といった施設があり、必要なアイテムを集めてこれらをレベルアップしていくことで、拠点レベルを上げていくことができる。

これにより、パーツ開発がさらに捗るようになるので、積極的に施設のレベルアップに必要なアイテムを集めるべし!

拠点レベルを上げていくごとに、開発でより強力な部品が手に入りやすくなるので、忘れずにアップグレードしていこう。なお、プレイを進めていくと別の集落も登場するようだ

搭乗員の交代や育成といった要素も! 長期間のやり込みプレイが可能

ハガネのカスタマイズとともに重要なのが、搭乗員の選定だ。ハガネにはそれぞれ、「車長」「砲手」「操手」を配置することになる。

キャラクター(部隊員)によってそれぞれに対する適正があるので、誰をどのポジションに配置することは入念に決定する必要がある。

キャラクターはそれぞれスキルを1つ持っているが、バトル中で有効にできるのは2つまで。どのスキルを使うかを選択するのも、戦術面での楽しみの1つだ

新たなキャラクターはガチャで入手できるが、指定のアイテムを投入して最大レベルを上昇させる「昇格」、パラメータの上昇や見た目の変化が起こる「進化」、ほかのキャラクターから特性を受け継ぐ「継承」などの育成要素も用意されている。

進化を行うには、同じレアリティーのキャラクターを素材として消費する。進化できる回数は1人につき3回まで! 進化で見た目が変わった後でも、進化前のイラストを表示されることが可能だ。また継承は失敗する可能性もある……

こういった点を考えると、部隊員の育成、ハガネのカスタマイズ、そして各ステージでの戦術の組み立てと、かなり歯ごたえのあるやり込みゲームだといえるだろう。

こちらはホーム画面。歯車のようなメニューをグルグルと回すのも楽しい。背景は現実の時間と連動! ほかにも、画面タッチでキャラクターのボイスが効けるというお楽しみも……

バトルの前に挿入される劇アニメもかなりの仕上がりとなっており、没入感はかなりのもの。またストーリーにはかなりの謎があり、「次の展開はどうなってしまうんだろう?」とドキドキさせられた。

バトル自体の奥深さとも相まって、できれば自分の部屋でじっくりとプレイを進めていきたいタイトルだと感じた。出撃の際にはスタミナに相当する「燃料」を消費するが、1プレイのボリュームがそれなりにあるので、あまり気にはならなかった。

これまでの育成系RPGに慣れてしまった人は、斬新な要素が多数盛り込まれた本作をぜひプレイしてみてもらいたい。

ボスとのバトルでは、息つく暇もなく大ダメージの攻撃が次々と繰り出される。その有効範囲を確認して即座に回避するというシチュエーションは、まるでアクションゲームのようだ

Hagane Orchestra (C) Since2015 Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc