かわいいビジュアルと謎めいたストーリーが融合した戦略バトル!
本作のビジュアルは、イラストレーター・漫画家の今野隼史氏が担当。かわいらしいデフォルメキャラと、シリアスな世界観が相まって、独特な雰囲気を醸し出しているのが印象的だ。
また音声合成ソフト「VOICEROID+」とのコラボも注目されており、同シリーズの「結月ゆかり」と「弦巻マキ」がゲームにも登場! そして、ガイド役としてプレイヤーを導いてくれる。
シミュレーションライクな戦略性あふれるリアルタイムバトル
気になるゲーム内容だが、本作は「ハガネ」と呼ばれる超技術で作られた戦闘兵器を強化し、乗員を育成してさまざまなバトルをこなしていく、シミュレーション性の高いバトルRPGとなっている。
バトルは、2Dのマップ上でハガネの進行ルートを設定すると、3D画面にて半ば自動で移動と戦闘が行われていくという形式。いわば、「逆」タワーディフェンスのようなゲーム性といえばわかりやすいだろうか。
しかし、バトルの進行を止めて作戦画面で戦術をじっくり考えられるという点で、初心者でもあせらず楽しめる手軽なRTSともいえる。
障害物にぶつからないよう、慎重にルートを設定する必要があるものの、ルートそのものをリアルタイムで逐次変更することができる。
ただし、まったく別の方向へ設定し直すと旋回に時間が掛かり、もたついてしまうので注意が必要だ。
ハガネには索敵範囲と攻撃範囲がそれぞれ設定されており、戦略次第で相手が攻撃できる範囲の外から一方的に射撃を行うこともできる。
「簡易センサー」などのアイテムを使うか、マップのどこかに潜んでいる敵に近づかない限りは、相手の居場所を知ることができないので、索敵とルート選びはバトルの大きなポイントだ。
障害物を挟んでいれば、敵に気づかれても攻撃されることがないので、移動するときの方針の1つとして意識しておくといいだろう。
また、ハガネの行動は、以下の4つの作戦(指針)のいずれかに沿って決定される。
敵に対してこちらが優勢なら「いけいけどんどん」、その場に停止して敵をしっかり狙って攻撃するなら「じっくりしっかり」を選ぶといいだろう。
4つの作戦
- いけいけどんどん
- じっくりしっかり
- さがってうって
- ひっかきまわして
なお、攻撃を行う際には、弾丸を装填するための時間が必要になる。画面の中央、やや左下に表示されている数値が100%にならないと攻撃できないので、砲弾を撃った直後はなるべく敵から離れておくのがおすすめだ。
ステージの各所に多彩なギミックが!
バトルを行うステージの各所には、「加速」や「旋回」「跳躍」といった多種多様ギミックが設置されている。これらを利用して、状況に合わせた行動をとることが可能だ。
さらに、鉄塔を破壊して敵を下敷きにするといったシチュエーションも用意されており、ステージごとにまったく異なる戦況を楽しむことが可能だ。
このあたり、プレイヤーをいかに楽しませるかという工夫が随所に盛り込まれているように感じた。
ハガネをカスタマイズしてより多彩な戦術を!
ゲームをある程度進めると、複数のハガネを同時に出撃させることが可能に。また、ハガネのパーツを入れ替えてカスタマイズを行えるようにもなる。
ハガネは「胴部」「脚部」「火器」の3つの部位に分かれており、それぞれのパーツを入れ替えることで異なる特性を得ることができるのだ。
胴部を交換すると、「耐久力」「索敵範囲」「衝撃耐性」の3つが大きく変化する。また、脚部は「加速力」「旋回性」「最高速度」に、火器は「攻撃力」「装填速度」「命中精度」に影響を与える。
本作では攻撃が命中すると移動速度がゼロになり、いったん停止してしまうという要素がある。
例えば、ハンドガンは威力が低く、単体では敵を撃破することが難しいが、高い命中力を生かして敵を足止めし、仲間のハガネに大きなダメージを与えてもらうといった作戦も実現可能だ。
脚部のバリエーション
- 二足:加速に優れ、旋回性能がわりとよい。ただし故障率が高く積載量が少ない
- タンク:最高速度はそこそこで、積載量が多い。しかし加速が遅く、旋回力も少し低め
- 逆関節:加速と最高速度に優れる。旋回性能はかなり低く、積載量も少ない
- 多脚:加速と最高速度の点で劣るが、旋回性能がとても高い。また積載量も多い
火器のバリエーション
- スナイパー:威力がとても高く、射程距離も長い。近距離では撃てない点と装填速度が遅めなのが弱点
- ミサイル:威力は低いが広い攻撃範囲を誇る。装填速度に劣る
- マシンガン:命中時の威力がとても高いが、移動時の命中精度は悪い
- 近接:敵と接触して攻撃する。速度が高いと威力が上がる
- ハンドガン:威力はほとんどない。射程距離は短めだが装填速度が速く、命中精度も高い
- バスター:それなりの威力があり、射程距離がそれなりに長い
パーツの「開発」はランダム
ストーリーの第1話をクリアすると、パーツの開発が可能になる。ためた資材をつぎ込んで部品開発を行うのだが、結果はランダムだ。
どのようなパーツができ上がるかは、投資した資材の量によって左右される。また特定の資材を投入しないと手に入らないパーツも存在するという。
さらに、拠点によっても獲得できるパーツに違いがあるという仕組みだ。
拠点となる集落「彩」をグレードアップ!
主人公たちは、「彩」と呼ばれる集落を拠点に序盤のバトルを繰り広げていく。この拠点には「工房」や「温泉」といった施設があり、必要なアイテムを集めてこれらをレベルアップしていくことで、拠点レベルを上げていくことができる。
これにより、パーツ開発がさらに捗るようになるので、積極的に施設のレベルアップに必要なアイテムを集めるべし!
搭乗員の交代や育成といった要素も! 長期間のやり込みプレイが可能
ハガネのカスタマイズとともに重要なのが、搭乗員の選定だ。ハガネにはそれぞれ、「車長」「砲手」「操手」を配置することになる。
キャラクター(部隊員)によってそれぞれに対する適正があるので、誰をどのポジションに配置することは入念に決定する必要がある。
新たなキャラクターはガチャで入手できるが、指定のアイテムを投入して最大レベルを上昇させる「昇格」、パラメータの上昇や見た目の変化が起こる「進化」、ほかのキャラクターから特性を受け継ぐ「継承」などの育成要素も用意されている。
こういった点を考えると、部隊員の育成、ハガネのカスタマイズ、そして各ステージでの戦術の組み立てと、かなり歯ごたえのあるやり込みゲームだといえるだろう。
バトルの前に挿入される劇アニメもかなりの仕上がりとなっており、没入感はかなりのもの。またストーリーにはかなりの謎があり、「次の展開はどうなってしまうんだろう?」とドキドキさせられた。
バトル自体の奥深さとも相まって、できれば自分の部屋でじっくりとプレイを進めていきたいタイトルだと感じた。出撃の際にはスタミナに相当する「燃料」を消費するが、1プレイのボリュームがそれなりにあるので、あまり気にはならなかった。
これまでの育成系RPGに慣れてしまった人は、斬新な要素が多数盛り込まれた本作をぜひプレイしてみてもらいたい。
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