ただひたすらに懐かしさがこみ上げる
育成ゲームの金字塔が登場
1991年の前後、PCの記録メディアはフロッピーディスク(FD)が主流だった。1988年にはPCエンジンでCD-ROM2が発売されていたし、1989年にはやはりCD-ROMを積んだFM-TOWNSが登場していたが、PC-9801はかたくなにFDを唯一の外部記憶メディアとしていた。おかげで大容量のゲームはFD10枚組などという大変なことになっていた。
『プリンセスメーカー』もそんなタイトルの1つ。そもそもガイナックスのゲームは10枚以上が当たり前で、ディスクナンバーもABCにとどまらずJやKになっていた。そのうちに100枚組を段ボールでゲーム売るようになるに違いないと友人と話し合ったものだが、10枚組でも実は容量的には14MBと、今から考えると微々たるものだ。
さて、『プリンセスメーカー』はほかのタイトルより多い容量を誇るだけあって、一線を画した演出だったり、グラフィックだったりが特徴的な作品だったが、このスマホ版『プリンセスメーカー』は濃厚に初期作をイメージさせる。なにせ四半世紀前の作品なので、いろいろと記憶があやふやではあるが、触った感じで喚起されるものが大いにある。
シリーズの中でも評判の高かった『プリンセスメーカー2』の拡張版
魔王を倒した勇者が、世の中が平和になったので隠居して娘を育てるというのが基本設定。これは『プリンセスメーカー』シリーズを通じてのお約束でもある。10歳から娘を育て始め、18歳を迎えたところでエンディングを迎えることになるのだが、育成の方向性によって娘の将来が大きく変わる。この部分も忠実に踏襲されている。
ではスマホ版では何が違うのかといえば、まずは衣装変更や部屋の模様替えだろう。また、課金通貨であるルビーを使うことで、いろいろと便利にゲームを進行させられるのもスマホ版ならではだ。でも、それ以外は驚くほどに昔どおり。ただ、ミニゲームに挑戦して週間ランキングを競い、その順位に応じてさまざまな特典がもらえる「王国収穫祭」など、オンラインゲームならではの楽しみも用意されている。
『プリンセスメーカー』を知らない人のために
美少女育成ゲームの先駆けでもあった『プリンセスメーカー』は、その後の多くの作品に影響を与えた。逆にいうと、本作でも目新しいシステムは特にないのだが、知らない方のためにひととおり説明しておこう。
■日程
娘の1カ月間の行動を、10日区切りの3つのフェーズで決定する。選べるのは、習いごと、バイト、武者修行、休息の4つ。習いごとは娘のパラメータを上げる反面、毎回支出が発生する。バイトは娘のパラメータを上げ、かつ収入を得ることができる。
武者修行はRPG風の画面でフィールドを探索しつつ、モンスターと戦いながら主に武力のパラメータを育成。休息は、娘を休ませてストレスを発散させる。疲労がたまると習いごとやバイトの成功率が減少し、育成の効率が下がるばかりか、不良化したり家出したりと……育成がとにかくうまくいかなくなる。
■王宮訪問
各月の初めには王宮を訪問することに。門番から国王まで、さまざまな人に会えるのだが、それぞれ礼儀作法の値で足切りがある。成功すると人脈値がアップする。
これら2つの行動を毎月繰り返していくわけだが、毎年10月には収穫祭があり、その際には特別なイベントが発生する。そして、8年間を通じて娘のパラメータを上昇させ、望む職業に就けることができればクリアとなる。
自分だけ歳をとってしまったような……
1カ月のサイクルを回しながらパラメータを成長させていくという基本的なシステムで娘の成長を見守るのは、ゲームの根幹部分に変更がないため、とても懐かしく楽しめた。25年前の自分にとっては子どもを育てること自体がファンタジーであったわけだが、育児世代になってきたことによる心情の変化も、また面白さにつながる要因であった。
ただ、ダウンロードが終らない、頻繁にフリーズするなど、ゲームプレイ以外の部分のストレスがあり、その点がとても残念である。現在はパッチ配布の準備も進んでおり、早晩解決されると思うが、実際にプレイするのはもう少しアップデートが落ち着いてからのほうがいいかもしれない。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 8.4.1
- プレイ時間:約4時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.1.10
- 課金総額:0円
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