Replica : a little temporary safety【ゲームレビュー】

SteamでPC版が配信されて話題となっていた『Replica』が、スマートフォンにも登場。他人の携帯電話から情報を収集して、持ち主がテロリストである証拠をつかむというアドベンチャーゲームで、独特の緊張感と背徳感が味わえる。

スマホの中で展開される背徳のサスペンス

物語の舞台となるのは、国家保安部によって厳密な警備がしかれた都市。

テロ事件が発生したため、容疑を掛けられた少年のスマートフォンから情報を探し出し、証拠をつかむのがプレイヤーの目的だ。

起動直後の画面。モノクロではあるものの、レイアウトなどはiPhoneそのものだ

ゲームをスタートすると、いきなりスマホの待ち受け画面から始まる。

他人のスマホということで、まずはロックを解除するためのパスワードを調べることになる。

ヒントは、スマホに表示されている日付と、母親(らしき人物)から届くSMS(ショートメール)の「もうすぐ誕生日」というメッセージ。冒頭からいきなり推理力が求められる

見事スマホのロックを解除できると、すぐに保安部から電話が入る。

そこでようやく、自分が何をすべきか、現在がどういう状況なのかが語られるという流れだ。

この「4885」という番号が保安部の電話番号。主人公もまた保安部によって捕まってしまい、テロの容疑を掛けられている。釈放されるには、スマホの持ち主がテロリストであるという情報をつかまなくてはいけない

担当の男(かどうかも不明だが)は高圧的で、選択をミスするとプレイヤーが起訴されてしまうことになる。電話とSMSだけのやりとりではあるが、ギョっとするようなタイミングで連絡してくるため、かなり恐怖心を植え付けられる

スマホのアプリから情報を探していこう

テロの容疑といっても、手元にあるのは1台のスマホだけなので、やれることは少ない。

インストールしてあるアプリから情報を探し出し、手掛かりをつかんでいこう。

メインのメニュー画面。不在着信やたまったメールが、緊迫した状況であることを伝えてくる

基本的には、ダウンロードするようにいわれる「To Doアプリ」を使って調査を進めていく。

保安部から指示が届くので、それに従って順番にタスクをこなしていくといい。

手掛かりとなりそうな部分をタップすると、タスクが完了していく

中にはタスク自体が「?」となっているケースも。手掛かりになりそうなものは、片っ端からタップしてみよう

リアルかつ背徳感のある捜査

情報を調べるためには、当然ながら写真やSMSなど、あらゆるものを探っていかなくてはならないのだが、他人のプライベートをのぞくとなると、非常に背徳感がある。

写真のExif情報から住所や学校を調べたり、「Facebook」らしきアプリから容疑者の思想を調査したりと、取り扱われている題材が身近なだけに恐怖感もある。

Exif情報の「場所」をタップすることで、容疑者が通う学校や住所までも調べられてしまう

Facebookらしきアプリ「Like」からは、政治に関する思想まで読み取れてしまう。あらゆるところに手掛かりが隠されているのだ

調査を進めていくと、容疑者とされている少年はどう見ても一般人。だが、主人公も拘束されている以上、保安部に逆らうわけにはいかない。

証拠らしきものを一定数集めると、エンディングに到達する。

しかし、これでゲームが終わりというわけではない。繰り返しプレイして、いくつかに分岐したルートの調査を進めていくことが、本作の楽しみの1つとなっているのだ。

たいていは、容疑者であるディッキーが圧力に負け、テロリストであることを自白する

12個もの多彩なエンディングに分岐

公式情報によると、エンディングは全部で12個もあるとのこと。

今回のプレイではその半分ほどしか見られなかったが、見たエンディングの数や実際の経過時間で展開が変わってくるようだ。

パスワードがわかっていればプレイ時間は大幅に短縮できるので、すべてのエンディング制覇に挑戦してみるのもいいだろう。

エンディングの1つ。強制的に自白させられたようにも見えるが、ディッキーを始めとする仲間たちは共産主義を崇拝するテロリストらしい

2~3回エンディングを見ると、新たに「Lawウィジェット」をダウンロードして実際の処分を申告していくルートが発生した

エンディングで流れてくる「DAH」「DIT」の意味は……!?

エンディングの1~4では、ゲーム終了間際に「DAH」と「DIT」が続く謎の暗号が流れる。

これはモールス信号になっていて、DAHが長い信号、DITが短い信号を意味している。

各エンディングで流れる信号を解読し、冒頭のスマホのロック画面でその番号を入力すると……!?

例えばこの場合は、長音4、短音1ということで「9」を示している。モールス信号の対応表は、「Search」アプリで「スルーモ」と検索すると画像が出てくるので参考にしてみよう

謎が解けた場合は、まったく新しいルートに突入できる。映画『マトリックス』の世界そのものだ

背徳感に加えて恐怖感も味わえる上質のアドベンチャー

スマホとソーシャルネットワークを題材にしているということで、他人のスマホをのぞき見るという背徳感に加えて、「もし自分のスマホが誰かの手に渡ってしまったら……」という恐怖感も味わえる。

有料だが価格自体は安いので、推理モノが好きなら確実にハマること請け合いだ。

攻略情報も少ないので、メモを片手にパスワードや分岐条件を書き込みながらプレイするのがおすすめ。

大団円を迎えるエンディングが存在するのか、個人的にも非常に気になった。

  • 使用した端末機種:iPhone 6
  • OSのバージョン:iOS 8.4.1
  • プレイ時間:約6時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0
  • 課金総額:0円

(C) Somi