PewDiePie: Legend of the Brofist【ゲームレビュー】

数々のゲームメーカーがひしめき合うカナダのモントリオール。その地に拠点を置くOutermindsが新たにリリースしたのが、往年の2Dアクションゲームを思わせるグラフィックが印象的な『PewDiePie: Legend of the Brofist』だ。プレイヤーが操作するのは、世界で活躍するゲーム実況者(ユーチューバー)たち!

8ビットゲームへのオマージュが満載!
ユーチューバーが登場するおバカアクションゲーム集

このタイトルの話を聞いたときは何のことやらさっぱりわからなかったのだが、調べてみたらいろいろ判明した。まずタイトル名にあるPewDiePie (ピューディパイ)は、どうやら人名のようだ。Wikipediaによるとスウェーデンのコメディアンで、YouTubeでゲーム実況などをしているらしい。つまり、最近はやりのユーチューバ―なのだ。

彼のチャンネル登録者数は3,000万人以上、動画再生だけで年間4億円を稼ぐインターネットセレブなのだとか。そんな御仁の名前を冠した本作だが、中身は1980年代の8ビットゲームさながらのドット絵&PSG音色を再現したものとなっている。……なぜ? ホワイ?

タイトル画面も往年のRPGのようで、なんとも懐かしい。実は、このまま操作せずに放置していると、彼のペットのエドガーが「おなら」をするという芸の細かさ。ここからも、ゲームの雰囲気が伝わってくる

ストーリーの説明でもしておくか……

本作はステージクリア型のアクションだが、一応ストーリーらしきものがある。別に知らなくても問題ないのだが、まあ聞いてほしい。ある日、主人公のピューディパイがいつものようにYouTubeに動画をアップしていたが、なぜか彼のbros(ファン)が誰も見に来ない。おかしいと思ったら、どうやら「タル(樽)族キング」にファンたちがさらわれてしまったようだ。そんなタル族の挑戦を受け、ピューディパイは仲間たちとファンたちを助けるために旅に出るのだった――。

ほらね、知らなくても問題ないでしょ?

サブタイトルの「brofist」とは、ピューディパイとファンの間で行われるあいさつのことらしい。ピューディパイはいつも動画のエンディングで画面に向かって拳を突き出すのだが、これが「brofist」なのだ

ステージごとに特性が異なる、意外に豪華な作り

最初のステージは、ピューディパイの自宅からスタート。家の中を探索しながら、襲い来るタル族を倒していく。なんで家の中をウロウロしているのかというと、車のカギを探しているから。カギが見つかれば、ガレージで車に乗り込んでベルトスクロールアクションへと移行。迫りくるタル族キングの戦車をかわして次々と別の車に飛び移りながら、先に進んでいく。

さらに2つめのステージでは最後に仲間が助けに来て、今度はシューティングに。とにかく、ステージごとに遊べるゲームの種類が変わるという凝りようだ。また4つめのステージは横スクロールのジャンプアクションと、1980年代のゲームのメインストリームを追体験することができる。

その先に何が待ちうけているかは伏せさせていいただくが、当時のゲームのすべてを網羅しようかという意気込みを感じる。

移動の操作方法は、ジョイスティック形式とボタン形式を選択できる。ちなみに、どちらも操作感の違いはあまり感じられなかった

シューティングのステージでは画面いっぱいに動き回れるのだが、画面にタッチして操作するため、自機が見えにくいという難点も

使用キャラクターは変更可能、個性的すぎる登場人物たち

操作キャラクターはピューディパイ以外にも用意されている。ガールフレンドのマルツィアといった仲間たちをステージの中で見つければ、次のステージから操作キャラクターとして選択できるようになる。ジャンプなどの基本性能は変わらないようだが、装備できるパワーアップがそれぞれ異なっているのが特徴。運動性能にかかわる装備アイテムもあるので、キャラによっては攻略しやすいステージや苦手なステージなども出てくるだろう。

各ステージの開始前に表示されるキャラクター選択画面。パワーアップの効果は3種類まで選択できる

パワーアップアイテムには攻撃用と防御用があり、それぞれ装備できるキャラクターが異なっている

なお、どのキャラクターを選択しても、ピューディパイのペットのエドガーとマヤがオプションとして付いてく。この2匹は攻撃には参加しないものの、キャラクターのダメージを肩代わりしてくれるという、ありがたい奴らだ。ダメージ系なら、ライフがなくなった後も2ダメージ分を肩代わり。即死系の攻撃でも、2回までのミスが許されるというわけだ。

ダメージを肩代わりしてくれたときには爆散してしまうエドガーとマヤ。ちょっとグロい。ちなみに、ピューディパイが死ぬときも同様に爆散する。敵の中にも爆散する奴がいるので、おそらく開発チームは派手に爆散するのが好きなのだろう

一見さんお断りのハードなゲーマー仕様!

個人的に昔からアクションゲームは苦手だったので、イージーの難易度でもそれなりに苦労した。また、かつてのゲームをリアルタイムで遊んだ身としては、やはり打鍵感のない操作はどうも慣れない。キャラクターの動きも家庭用ゲーム機とそん色ないのだが、画面が横長なのでなんとなく違和感もある。

ピューディパイ本人がこのゲームにどのようにかかわっているかは不明だが、スタープレイヤーの名前を冠したタイトルなので、難易度は高めだといえる。またステージごとにゲームの種類が変わるので、自機の特性からしてそれぞれのステージごとに異なっている。シューティングでは当たり判定が小さいが、アクションではそれが広くなるなどといったことも起きる。

それなりにゲームを遊んできた、いわゆる「ゲーム文法」のわかるプレイヤー向けの玄人仕様のタイトルなので、なかなかライトユーザーにはおすすめしづらい。逆に言えばターゲットはコアゲーマーなのだから、その層にはぜひ、大いに遊んでもらいたい。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 8.4.1
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0

(C) 2015 Outerminds Inc.