幻想的な世界に迷い込むアーティスティックな四則演算パズル
子どものころにそろばん教室に通っていた方も少なくないと思う。日本人の暗算能力は押し並べて高いらしく、海外での会計時など逆に混乱を引き起こしたりする。つまり、端数を出してキリよくお釣りをもらおうとするクセがついているのだが、そういった支払い方は海外ではまったく一般的ではない。フランスでは、払った金額と支払金額の差額に対して、レジから金を出して加算するという方法でお釣りを計算していた。お国が変われば、そういった部分も変わるのである。
さて、四則演算を使ったパズルである本作『Tile Tales』をテンポよく遊ぶには、やはり暗算能力は必須となるだろう。電卓片手に遊んでもいいが、筆者の場合は日常の込み入った計算は大概スマホの電卓を使うのだが、ゲームの途中ではこれが使えないから買ってこないといけないし……。よしんば、別に電卓を持っていたとしても、いちいち数字キーをたたきながら遊ぶのはかなり面倒だ。
加算がすべての基本になる
基本ルールは、ひし形に並んだマスの最下部から最上部に向けてスワイプしていき、通過した各マスの数値の合計が高ければ高いほどスゴイという、シンプルなものとなっている。正方形のマスはひし形に配置されているが、その上方2辺に接するマスに移動することが可能だ。
つまり、右端あるいは左端に到達してしまうと、一方の向きにしか動けなくなってしまう。合計値の高さだけが判断基準となるので、各マスにおいてより高い数値になるルートを2択で選びながら進んでいく。
挑戦できるステージは全部で50種類あるが、先に進むほど「-」であるとか、「+」と「-」の置換であったり、あるいは代数だったりが登場する。平方根が出てこないだけましだが、中学校1年生で習ったくらいの数学の知識があればルールに詰まることはないだろう。
最初のうちは気の向くままにイメージで
暗算が必要だと先に述べたが、最初のうちは数字の概算をイメージするだけで正解を導き出せるはず。スーパーやコンビニでの買い物みたいなものである。いくつかの商品を手に取って、ざっと合計がいくらくらいというのは、主婦に限らず日本人なら基本的に持っている能力なのではないだろうか。
合計の値を導き出すのが目的ではないので、それくらいのアバウトさで進んでいける。そういった意味では計算よりもっとドメスティック(家庭的)な能力かもしれない。ただし、先に進むためには、いくつかあるルート選びのうちで、そのステージで設定されている最大数の多い方から3つめまでの数値にたどり着く必要がある。それより少ない数値のルートでは、先のステージへ進めない仕組みになっているのだ。
スワイプは慎重に
遊ぶ端末にもよると思うが、画面が小さめの端末の場合、さっとスワイプすると隣のタイルを触ってしまっているケースがあった。特に、ステージが進むとタイルの数が増えて必然的にタイルが小さくなるので、事故も起こりやすい。
タイルの触り間違いは案外困りもので、正しいタイルを触っているつもりなのに、間違っていると「なぜ違うのか」と悩んでしまうことになる。結果的にすべてのルートを計算して、オチが触り間違いだったということもあって、大いに脱力した。これはインターフェイスの問題というより端末の相性だったりもするので、このタイトルが悪いわけではないのだが……。気が付かないと結構なストレスを感じてしまうだろう。
見た目に反してゆるいゲーム性――知育玩具的な側面も
一応、ストーリー的には森を散策しているという体裁で、各ステージクリアするごとにタイルで作られた動物たちを鑑賞できるのだが、上位3つまでの解答であれば、別にどれでも見られるものは同じである。数学が得意なわけではないので見落としているのかもしれないが、スワイプしたタイルと動物を形作るタイルに関連性もないようだ。そういった部分での子供だまし感を覚えたことは否めない。
ただ、切り絵のようなタイルで構成された動物たちは、大人であっても独特のイマジネーションを喚起する。低年齢の子どもならなおさらだろう。代数に関しても、算数ではなく数学の範疇ながら小学生でもわかりやすいようになっている。そういった意味で、小さな子どもと親が一緒に遊ぶのが本作の最適解なのではないかと思う。オッサンが1人で遊ぶには、いささかファンシーが過ぎる気がする。
- 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
- OSのバージョン:iOS 8.4.1
- プレイ時間:約3時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:2.0.3
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