軽いゲームのつもりが、仕上がったら大作に!?
――『ワールド エンド エクリプス』を作るきっかけを教えてください。
本山真二氏(以下、本山):最初は気楽なプロジェクトで、ライトなゲームを作る予定でしたが、結果的に大がかりになっちゃいました(笑)。当初は今のような重々しい世界観はまったくありませんでした。開発の偉い人から「らしくない」とお説教されたぐらいで(笑)。それで設定を考えているうちに、どんどんふくらんで、「あれ、軽くないぞ」という状態になっちゃいました。プロジェクトの進め方としては、異例のものでしたが。
――プロジェクトを進めていく過程で、いろいろなスタッフの方のアイデアが入ったりしたのでしょうか。
本山:そうですね。開発の過程で大きく作り替えました。特に、バトルシステムは試行を繰り返しました。プランナーに限らず、デザイナーやプログラマーなど色々な人にプレイしてもらって、どれがよかったかを聞き、意見を逐次吸い上げていきました。
まったり派も楽しめる街建設と躯開拓
――それでは現在のゲームは、当初のコンセプトからはずいぶん違っているのですか。
本山:大きな意味での要素は変わっていません。特に、街づくりの要素は当初から入れたいと思っていました。最近ゲームから遠のいている人でもまったりプレイできるモードがあるといいねという意見がけっこうあり、街づくりが楽しめるゲームをじっくり作りたいとかねてから思っていたんですね。ただ街並みを作るだけではおもしろくないので、「竜の背中の上に街を作る」という設定と融合させていきました。
――今回は、スマホ、PC、PS Vitaというマルチプラットフォーム対応ですが、これも最初から予定していたのでしょうか。
本山:最初はPC用ゲームで考えていましたが、いずれ移植されるだろうと思っていたので、同時に裏でこそこそと作っていました(笑)。とはいえ、単純に移植するだけではないので、UIの操作感や、データの管理など、いろいろな調整が必要でした。結果、PC版からかなり作り替えています。
――スマホ版はUIもわかりやすく、サクサク動いていいですね。
本山:スマホに注力しようと大きく作り変えた際に、プレイ感だけでなく、プレイヤーが目線をどこに置くかといったところまでじっくりモニタリングして、我々なりに導き出しました。
――特にスピード感を重視して、制作されたのでしょうか。
本山:しましたね。データの管理から1つのテクスチャーにかける色数まで、昔ながらの技術なども駆使して調整しています。まだまだ早くしたいと思っているので、今後もブラッシュアップできるところはして、できる限りユーザーさんのストレスを軽くしていきたいです。
――どの機種でも、共通のIDでプレイできますか。
はい。外ではスマホ、自宅ではPCといったように、お好みの環境でプレイいただけます。
お宝を目指して何度も楽しめるクエスト
――ゲームは、街育成とバトルをするクエストの2つのパートに大きく分かれていますが、クエストはどのぐらいあるんでしょうか。
本山:クエストは初期では4章まで開放されています。2章くらいまではサクサク進めると思いますが、3章以降は敵が強くなっていくので、街を育てて強化していかないと厳しいです。また、メインのストーリークエスト以外にも、街の住人からの依頼や曜日別、イベント、レイドなど、さまざまなクエストを用意しています。
――クエストは繰り返しプレイ可能ですか?
本山:何度も遊べます。というのも、ストーリークエストには、普通にクエストを進めていく他、敵の倒し方などを工夫することで宝箱を集める要素があります。「倒す順番」や「一定時間にトーチを攻撃する」などの条件があり、目標を達成すると竜鱗やアイギスなどのレアアイテムが報酬としてもらえます。ですので、まずはストーリーを進めるためにクリアして、そのあと目標を達成するために再挑戦するといった、1つのクエストで繰り返し遊べる工夫をしています。
武器アイギスと兵種の組み合わせで戦術は無限大!
――『ワールド エンド エクリプス』には、メインキャラクターと狩猟兵がいますが、この違いはなんでしょうか。
本山:まずメインキャラクターというのは、ストーリーに関係する、あるいは街の施設を担うキャラクターを指します。狩猟兵は実際のバトルで使用するキャラクターです。メインキャラクターの中にも、バトルに参加できるキャラも一部います。狩猟兵は初期で20人ちょっと用意されており、酒場で雇うことができます。時間によってメンバーが入れ替わっているので、ぜひお気に入りの狩猟兵を見つけてみてください。
――狩猟兵ごとにスキルやステータスが大きく異なっているのでしょうか。
本山:基本的に、狩猟兵は武器「アイギス」の器だと考えてください。たとえば、盾兵であれば盾、弓兵は弓が装備できます。それぞれのアイギスの性能が、ほぼ狩猟兵の性能となります。ただし、狩猟兵ごとに「戦闘中HPが100上がる」「防御力が上がる」「動きが早い」といったバトルに役立つ特徴を持っています。狩猟兵の特性と、アイギスの性能やスキルをよく考えて、ユニットを組んでみてください。
――ユニットの組み合わせ次第で、戦術も大きく変わりますね。
本山:どのキャラにどのアイギスを組み合わせるのか、それは個人の好みによって変わってきますね。手持ちにある狩猟兵とアイギスを自在に組み替えて、幅広い戦術が選べます。組み合わせの違いでけっこう戦局が大きく変わりますので、いろいろなことが試せるシステムになっています。
――もし、弓のアイギスがあるのに弓兵を持ってない場合は、温存しておくしかないのでしょうか。
本山:スキル伝授という方法があります。たとえば、剣兵に弓兵のスキルを伝授することが可能です。盾兵2人といった編成をしたいのに、盾兵がいない場合、ほかの兵種に盾兵のスキルを伝授させればいいわけです。ただ、チュートリアルで5種類の兵種が加わるようになっていますので、最低1兵種1キャラは用意されています。
――狩猟兵に雇う方法は、酒場のみでしょうか。
本山:狩猟兵についてはガチャで出す予定は今のところありませんが、ユーザーさんの要望次第では、別の入手方法を用意するかもしれません。また、狩猟兵にレア度はありません。バトルによって経験値を得て、レベルは上がっていきます。
キャラ×武器でカップリング妄想!?
――狩猟兵の男女比はいかがですか。
本山:だいたい半々ですが、最初のモブっぽい狩猟兵を除くと、やや女性キャラの方が多いですね。
――かわいい女性キャラを増やしてほしいです。
本山:けっこういますよ(笑)。お嬢様っぽいキャラもいれば、おてんばっぽいキャラなど。
――アイギスと狩猟兵のカップリングも楽しめそうですね。女性キャラと女性のアイギスだと百合っぽいとか……。いろいろ妄想できそうです。
本山:それは、ぜひいろいろと妄想してみてください(笑)。
――武器のアイギスは、竜鱗を使った召喚のみで入手できるのでしょうか。
本山:召喚以外にも、イベントの報酬やバトルの宝箱からドロップするアイギスもあります。アイギス自体もレベルがあり、それぞれのパラメータが設定されており、攻撃力アップなどのスキルが付随しています。ちなみに、レアリティは最高でSSRになります。このゲームは、アイギスを合成することでスキルのレベルを上げてより強力なスキルになり、スキル発動に必要コストも下がります。
――レイドにはフレンドが参加できるのですか。
本山:レイドには2種類あって、通常クエストから派生するレイドは、フレンドが参加できます。もう1つは、毎週開催されるユニオンレイドで、「ユニオン」と呼ばれるギルドのメンバーと参加します。通常のクエストでは、他のプレイヤーから必ず1人の助っ人を呼びますので、その際にフレンド申請をして、どんどんフレンドを増やしてください。フレンドはお互いにメリットありますので、レイドは気軽に参加してみてください。
――フレンドのメリットはほかにありますか。
本山:フレンドが自分のキャラを助っ人に呼んでくれると、自分の宿屋にお金がたまります。お金をためるのが比較的大変なので、クエストをこなしたり、不要なアイギスを売るほか、この宿屋での収入も重要になってきます。また、曜日クエストでお金を稼ぎやすいクエストも開催しています。
序盤はチュートリアルでしっかり操作を覚えよう
――序盤はクエストをしっかりやることだと思いますが、ほかに重視するポイントはありますか。
本山:操作については序盤のチュートリアルでひととおり解説しているので、メインのクエストをこなしながら、バトルや街の作り方などの基本を覚えてください。そのあとは街をどう育てるかで、プレイスタイルが大きく変わります。たとえば、狩猟兵の能力値アップを重視していくと定期収入は低くなります。開拓するための資材を能力値アップに使ってしまうので、長期的に見ると、バトルには強いけど資材が足りないということになります。反対に、開拓と街の発展を重視するときは、バトルをがんばる必要があると思います。
――のんびりプレイしたい人は、開拓重視でやるといいですね。
本山:開拓派でも、レイドにどんどん参加して、少しずつ強くなっていく方法があります。逆に、バトルをバリバリしたいという人は、バトルに特化した街づくりと編成をしていくとよいと思います。
――街の施設でこれだけは建てておいたほうがいい、強化したほうがいいものはありますか?
本山:開拓派は伐採所や採掘所など、開拓に必要な施設を最優先で上げてください。そのためには、「撃鱗」という街の本拠地のレベルをまず上げる必要があります。合わせて、宿屋や市場などの内政型の施設を重視してください。バトル派は、狩猟兵の底上げするため、研究塔のレベルを上げるとよいでしょう。また、鍛冶屋のレベルを上げておくとアイギスの合成をした際の経験値も上がるので、キャラクターのレベルアップにつながってきます。
――バトルでの小技はありますか?
本山:敵をターゲットできる機能に気付いてない方も多いようなので、ぜひ活用してください。敵が複数出てきた際に、ラインごとに特定の敵をターゲットできます。また、「一時帰還」という戻す操作が非常に重要です。これを使いこなすと、難易度が格段に変わります。実際、「このステージが難しすぎる!」と怒っていたテストプレイヤーに、一時帰還の操作を教えたら、あっという間にクリアしていました(笑)。
特にレイド戦では、制限時間内でどれだけダメージあたえられるかが重要なので、兵が倒されたらタイムロスになってしまいます。ボス戦ではしっかりコストを管理し、戦局を見て、一時帰還を使いこなしてみてください。
――クエストで助っ人を選ぶ際のポイントはありますか。
本山:アイギスのレベルが強さに直結しているので、そこをチェックしてください。また、色でレア度が判別できます。茶色がいちばんレア度は低く、金色がSR以上のもっともレアなアイギスになります。
年内にはPC版もリリース予定
――今後の目標、イベントのご予定はありますか。
本山:まず、開始直後は何よりもプレイ環境を安定させることがもっとも大切です。スマホ版リリースのあと、PC版は12月頭ぐらいを予定しているので、毎週いろいろなキャンペーンを実施予定です。
――最後にユーザーさんへのメッセージと、『ワールド エンド エクリプス』の魅力をお話ください。
本山:発表から時間かかった分、いろいろな部分を調整でき、楽しんでいただける内容に仕上がったと思います。一から作った世界観とシステムのマッチングを楽しんでいただければとうれしいです。そして、1人でも多くの方に『ワールド エンド エクリプス』の世界を好きになっていただき、いっしょに盛り上げていければと思ってます。
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