シドニーとあやつり王の墓【ゲームレビュー】

2015年11月5日、グリー株式会社はVR市場に本格参入するために、新スタジオ「GREE VR Studio」を設立した。そして、そのVR市場参戦を記念した第1弾タイトルが、今回レビューする『シドニーとあやつり王の墓』だ。本作には、当然ながらVR機能が備わっており、スマホを実際に動かすことで視点が変更する。別途VRゴーグルを用意すれば立体視になる二眼モードでプレイでき、自分が本当に遺跡を探索しているような臨場感も味わうことができる。

身体を動かし、遺跡の中をすみずみまで探索

最初にお伝えしとくが、本作のボリュームはかなり少ない。筆者の体感だと、ゲームクリアまでの時間は、だいたい10~15分ぐらいといったところだ。ただ、ゲーム本体が無料、かつ今のところアプリ内の課金要素もないので、逆にVRゲームに慣れるにはもってこいのタイトルともいえる。

砂漠の中にある遺跡が舞台。色彩や建物のディテールは3Dアニメに近い

女の子の探検家シドニーが、お宝を探してあやつり王の墓と呼ばれる遺跡を調査するのが、本作のストーリー。ゲーム内では、シドニーの視点を動かすことで、遺跡内にあるさまざまな仕掛けを解いていく。

右を見たいときは右に、上なら上と、スマホを見たい方向に動かすことで、ゲーム内での視点も移動する

自分を中心に、周囲360°を見渡せる。ただ、移動はできないようだ

何かを探索したり、敵と戦うときは、中央にカーソルがあるシドニーの視点に移行する。あやしいところを調べたり、攻撃するときは、カーソルを合わせるだけでOK

あやつり王の杖を駆使し、3つのエリアから脱出せよ

遺跡の内部に侵入し、王の杖を入手したら、いよいよVRアクションでの戦闘がスタートする。ちなみに、遺跡の中は「アヌビスの間」「ホルスの間」「王座の間」の、3つのエリアに分かれている。それぞれのエリアで出現する敵を全滅させると、先に進める仕組みだ。

アヌビスの間

最初の「アヌビスの間」では、大量の人形兵士が出現し、シドニーに襲い掛かってくる。

アヌビスのような兵士が、周囲360°から出現。シドニーに接触すると、画面上のハートが1つ減少。0になるとゲームオーバーだ。

敵が視点外にいるときは、「!」マークで教えてくれる。急いで示す方向に身体を向けよう

ホルスの間

鳥のような石像が動き出し、シドニーに襲い掛かる。空中を動き回るので、なかなかやっかいな相手だ。

鳥のような敵は2匹。空中を飛び回っている間は、なかなか狙いがつけにくい。下手に追いかけると、腕の疲労がピークになるので注意

攻撃のチャンスは、敵がこちらに襲い掛かる瞬間だ。真正面から接近してくるので、かなり狙いやすい。倒せないと、また飛び回るので、確実に倒すこと

王座の間

最後のエリアでは、巨大なゴーレムが行く手を阻む。ここを抜ければ、晴れて遺跡から脱出できる。

四角いブロックがゴーレムの攻撃手段。放置するとこちらに突進してダメージを与えてくるので、素早くカーソルを合わせて破壊しよう

ゴーレムは、右足と右腕、そして背中にある赤い光をすべて破壊すれば倒すことができる。ただし、ブロックや大きい身体で隠してくるので、攻撃チャンスを確実にものにしたい

VRゴーグル使用時と未使用時の違い?

まずは、VRゴーグルを使用せずにプレイ。スマホを動かしてカーソルを合わせるという操作方法は特徴的だが、2Dのゲームとあまり違いが感じられなかった。

スマホを持って、グルグル回るおっさんの図。結構、激しく動き回るので、ほかのゲームのように電車内で手軽にプレイとはいかなそうだ。かと言って、公園とかだと不審者として通報されそうなので、やはり自室でプレイするのをおすすめする

続いて、VRゴーグルを使用した二眼モードでプレイ。3D視点になったことでいちばん違いが見られたのは、最後のゴーレム戦。四角いブロックがゴーレムと自分との間に出現した際、奥行きがリアルに感じられるのだ。さらにゴーレムが最接近し、それを見上げたときの臨場感は迫力満点! 思わず、リアルでも見上げながら口をポカンと開けてしまった。

立体視の3Dモードにすると、スマホ画面上では2画面になる。これをVRゴーグルにセットすれば、実際に遺跡にいるような気分を味わえる

さっきよりもっとあやしいおっさんになってしまった。VRゴーグルをつけると、周囲に誰が来たのかまったくわからないので、外でプレイするのは避けたほうがいいだろう。自室でも、小指を角にぶつけないよう、周りの物を片付けてからプレイするのをおすすめする

本作をプレイして真っ先に思ったのは、とにかく“重い”ということだった。筆者の使ったiPhone 4Sは約140gといったところだが、5分もすると腕が疲れて、プレイどころではなくなってしまう。多分にもうおっさんだからという点もあるが、普通のゲームのように1時間ぶっ続けでプレイするのは到底無理だ。そのためVRゲームを長時間プレイするなら、手に持つのではなく、ヘッドギア仕様のVRゴーグルが必須だろう。さらに、文字通り周囲が見えなくなるので、ゲームをプレイする環境にも気を付けたい。全身を使って颯爽と敵にカーソルを合わせても、傍からみると危ない人に見えなくもない。

手軽さがウリのスマホゲーム市場に、鳴り物入りで登場した本作。内容自体はシンプルだが、VRゲームの魅力を伝えるという点では、3Dアクションや巨大な物体との遭遇など、必要なものは含まれている印象だ。VRの次世代を感じさせるゲームが、スマホプレイヤーたちにどのように受け入れらるのか、今後も注目していきたい。

  • 使用した端末機種:iPhone 4S
  • OSのバージョン:iOS 8.3
  • プレイ時間:3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.1
  • 課金総額:0円

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