Apple公認ワイヤレスゲームコントローラー『HORIPAD ULTIMATE』レビュー

長年に渡り、さまざまなコンシューマーゲーム用周辺機器の開発、販売を行なっているHORIが、2015年12月4日にiOS端末やApple TV、OS X 10.9以降のMacに対応したワイヤレスゲームコントローラー『HORIPAD ULTIMATE』を、Apple StoreおよびApple公式直販サイトにて販売を開始した。今回『HORIPAD ULTIMATE』の実機をお借りすることができたので、そのレビューを紹介しようと思う。

バッテリーが80時間持つコントローラー

『HORIPAD ULTIMATE』はAppleのMFi認証を受けた、iPhoneなどのApple製品に正式対応しているワイヤレスゲームコントローラーだ。HORIは2014年11月にも、同じくをMFi認証受けたワイヤレスゲームコントローラー『HORIPAD WIRELESS for iPhone』を発売しており、見た目と対応OSの違い以外に大きな変化はないように思ったが、驚くべきは連続動作時間の長さだ。

旧機種と比べてみる

『HORIPAD WIRELESS for iPhone』が約20時間なのに対し、『HORIPAD ULTIMATE』はなんと約80時間を実現している。それでいて充電時間は前者が約3時間、後者が約2.5時間~3.5時間と、さほど差はない。1日2~3時間使ったとしても、1ヵ月前後充電する必要がない計算なので驚きだ。

本体形状は大きく変わり、以前のPlayStationのコントローラーに近いものから、最近のゲームパッドで一般的な少しズングリとした形になっている。

上が『HORIPAD WIRELESS for iPhone』、下が『HORIPAD ULTIMATE』

サイズは『HORIPAD WIRELESS for iPhone』が約154mm×68mm×105mm、『HORIPAD ULTIMATE』が約154mm×62mm×111mm(共に幅×奥行き×高さ)と、後者の方が薄くて高い。重さは約170gから約260gとかなりアップしているが、PlayStation 4対応のワイヤレスコントローラー『DUALSHOCK 4』の重さが約210gなので、それより少し重いぐらいだ。

内容はとてもシンプル

旧機種との違いをざっくり説明したところで、いよいよ実機の紹介に移ろう。

パッケージは白背景に本体が描かれたシンプルなものだ。旧機種よりもシンプルになり、どことなくAppleっぽい。正面にはMFi認証受けた証である「Made for ~」の文字が並んでいる。

白い箱に本体が描かれるシンプルなパッケージがApple製品をほうふつとさせる

箱を開けるとすぐに製品本体がお目見えし、付属品は簡素な取扱説明書のみだ。『HORIPAD WIRELESS for iPhone』には専用スタンドと充電用USBケーブル(miniB/A)が付属していたが、今回はそういったものは同梱されていない。USBケーブルに関しては、本体端子がminiBからLightningコネクタに変更されているので、本製品を使用するほとんどのユーザーがすでに持っていることを配慮したのかもしれないが、専用スタンドはあればうれしかった。

充電ケーブルも付属していないので、手持ちのものを利用しよう

ボタン部は、十字キー/ABXYボタン/LRボタン/アナログスティックと一般的なものだ。L2/R2ボタンにクリック感がなく、ムニムニとした感触は『DUALSHOCK 3』などに近い。

コントローラー上部には電源スイッチとペアリングボタン、充電コネクタが搭載されている。また、本体正面のMENUボタンはメニューの展開のほか、ゲームによっては一時停止ボタンにもなる

重量、グリップ感などバランスの取れたコントローラー

手に持ってみるとフィット感があり、重さはあまり気にならない。むしろこの適度な重さで、グリップ力が増す感じだ。グリップ側面の青い部分がサラサラとした部分は、手汗で滑るのを防ぐ効果もあるという。さらに、グリップの手のひらに当たる部分につなぎ目がなく、持った時に違和感を感じさせないよう工夫されている。

グリップの膨らみが手のラインに沿ってフィットし、持ち心地は非常にいい

持った感触などを『HORIPAD WIRELESS for iPhone』と比較したいところだが、残念ながら編集部にそれはないので、以前紹介したApple製品用ワイヤレスゲームコントローラー『SteelSeries Nimbus』と比較してみた。

2つを並べてみると形状は非常によく似ているが、グリップの長さに太さ、そして角度、さらにLRボタンの形状など細かいところが異なる。HORIは以前から、任天堂やソニーからライセンスを受けた製品を多く開発・販売しており、それらの経験がここでも活かされているのを感じた。

パッと見はほとんど同じに見えるが、細かい違いが多々ある。どちらが好みかは人によると思うが、こういった些細な違いで差が出るのも確かだ

『HORIPAD ULTIMATE』はL1/R1ボタンが小さく、形状も異なる。大小さまざまな手にフィットするよう調整されているとのこと

特に気が配られているグリップ部は、比べてみるとかなり形が違う。両方を持ってみると、確かに『HORIPAD ULTIMATE』の方が指が深く入り、持ちやすいと感じた。

握りこむボジションが大きく違い、手のラインに沿う形になっている

実際にゲームで遊んでみる

iPhoneなどとの接続は簡単で、iOSデバイスのBluetoothをONにし、コントローラーの電源をONにすれば自動的に接続される。手動で行う場合はペアリングボタンを1秒間押し、iOSデバイス側で『HORIPAD ULTIMATE』を選択すればいい。

上部にある電源スイッチを入れる。オレンジ色が見えなくなる方がONだ

ペアリングボタンを1秒間以上押すとコントローラーのLEDが速く点滅し、デバイスに『HORIPAD ULTIMATE』の名前が表れる

では、実際にゲームをプレイしてみよう。今回のテストには、『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』を選択してみた。銃撃戦や車やバイクの運転など、さまざまな要素のある本タイトルを快適に遊べれば、他のタイトルでも問題ないのではないだろうか。

これは結果からいうと、なんの問題もなく快適にプレイできた。ボタンの割り当ても問題なく行われており、コンシューマ版とほとんど変わらない感覚で遊べる。何かに感動したわけではないが、この「いつもと変わらない」というのは大事だと思う。

ゲームがコントローラー対応だったようで、バーチャルパッドの類が非表示になり、画面も見やすくなった

しばらく遊んでみたが、特に困るような場面はなかった。カーソル移動なども十字キーで行える

一応、レースゲームから『Real Racing 3』を、格闘ゲームから『THE KING OF FIGHTERS-i 2012(F)』をプレイしてみたが、どちらも普通に遊べた。遅延もまったく感じられなかったので問題ないと思うが、1フレームを争うような格ゲー技術がないので、そこまでは検証できなかった。

『HORIPAD ULTIMATE』のハード的な特徴はグリップにあり、確かに持ちやすいが、他社製品と比べて圧倒的優位かというとそれは微妙だ。やはり、筆者としては約80時間のバッテリー持ち、そして価格を推したい。同じくApple公式直販サイトにて販売されている『SteelSeries Nimbus』が税別8,400円なのに対し、『HORIPAD ULTIMATE』は税別6,400円だ。この2,000円の差は、かなり大きい。特にこだわりがなければ『HORIPAD ULTIMATE』をおすすめする。