今回お届けするのは『ロード・オブ・ダンジョン』。制作はゲームエンジン会社であるUnityが開催する「Made with Unity Korea Awards ’17」で2位・金賞を本作で取ったEK Games、パブリッシャーはケイブであります。
それもあって、ちょいちょい挟まるUnity ADの動画を20秒ないし30秒観させられる微妙な仕様はiOSのデベロッパー規約上どうなんだろうという素朴な心象を抱かせるんですけど、まあそこはよしとしましょう。
で、このゲームの醍醐味は、いわゆる放置ゲーと街育成ゲーと王道的なRPGの組み合わせという、テーマ自体は平凡なんだけどゲームとしての組み上げ方がセンスよく、またカネをかけたければいくらでもかけれる、無課金でもまあそこそこ遊べるし養分にされている不快感もないという絶妙なバランスを作っているところなんですよね。
街づくりはゲーム全体を通しての収入の根幹を担っていて、すべての建物が供給不足に陥っていちいち腹が立つ以外は、冒険者から直接クレームを受けることもないので放置でかまいません。
もちろん、込み入った施設を作ろうとすると、魔法使いや僧侶など具体的な冒険者が何名以上自分の街に訪れていないと建設できないといった縛りはあるのですが、そんなものはガッツリ課金してトップを目指す人でもない限り、達成はできても維持はできないので放置でいいと思います。
自分の街を拡張するためにはアイテムや資金が必要で、そのためにそれなりに広大なフィールドに探検家を派遣して、その地域のモンスターとあいさつするなどして仲よくなり、また未開の奥地へと進んでいく。そのフィールドからはダンジョンも見つかるので、適宜モンスターを捕獲したりガチャで自前の戦力を整えながら成長していくわけですね。
また、この手のゲームでは定番になっている褒章を巡ってプレイヤー同士が腕を競うランキング戦、ほかのプレイヤーが作ったダンジョンにお宝を取りに行く遠征といった、うっすらとしたソーシャルギミックもちゃんと準備はされています。
ひと通り全部できるし、これらを小気味よく整理してばら撒かれているという点では、ものすごくきちんと考え抜かれたバランスで成り立っているようにも見える……のですが、一定の領主ランクを超えなければ「自動巡回」や「連続遠征」といった便利スキルが開放されません。
これ、ゲーム当初は背中を丸めてちくちく探索終わったアイコン出た探検家探してモンスターとあいさつしていたものが、突然ワンタッチで全部できるようになるとか「いままでの不便はいったい何だったんだ」となりかねないムカつきを覚えます。
また、キャラクターも雰囲気も相応によくできていて、過去にあった超高度文明とファンタジーをきちんと仕様の中に押し込んでいるにもかかわらず、シナリオが雑で世界観がゲーム開始直後から崩壊してしまっているというのは実に残念なことです。
好き嫌いが分かれるというよりは、ゲームをプレイしている側に対して「ゲームの企画者が手抜きをしたので曜日ダンジョンはなし」と説明される興ざめ感は自爆行為だと思うんですよね。お前ら制作側の事情をいちいちプレイヤーに知らせる必要がどこにあるのか、ギャグとして置くとしても本編で読ませたり、ゲーム中の大事なキャラクターに語らせる意味はないだろうと。
ソーシャルゲームでは文脈としてすっかり定着した連凸も入っていますが、キャラクターのレアリティに比べて凸による成長率が高く、またキャラクター数も多いので本当にガチ課金しないかぎり普通のプレイヤーは低ランクの「NOVICE」や「EXPERT」のキャラを拾ってきて+4まで成長させ、数を揃えたほうが攻略しやすいように思います。
ここでも、やはりキャラや世界観にハマり込ませてくれるならばもっと課金しただろうに、どうしてそういう「気持ちよくお金を使わせる部分」を雑にしてしまったのか、そのセンスはどこから来るのかがもったいない出来のアプリであろうと感じるわけであります。
街やダンジョンを経営して広げていく、いろんなキャラクターやダンジョンのお世話をしながら世界全体の謎に迫る、というのは実にいいテーマな分だけ、うまく立て直してほしいなあというのが正直な気持ちです。
それでも初心者月定額の1ヵ月はとても楽しめましたし、ソーシャルゲームのわずらわしすぎない、それでいて孤独を感じない程度の賑わいがしっかり用意できているというのはつくづく「惜しい」作品だと心の底から思います。マジでマジで。
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