「これはゲームか?」ってのはあるんですよ。豚を仕入れてきて、養豚場に放り込んで、ごはん食べさせて、繁養して、出荷するだけ。
いわゆる「環境ゲー」とも「箱庭ゲー」とも言えるし、観賞用に、暇つぶしに、しかし何か凄く発展するわけでもない。
どんなに愛着があっても、最後は出荷されてしまう。大好きな品種があって、手元に置いておきたくても、飼育期間が50時間を超えると「老豚」となり、赤いちゃんちゃんこを着た価値のない豚となり果て、ぶた広場に置いておくと他の豚の出荷の邪魔になる。おいやめろ。そんな切ない目で私を見るな。やめてくれ。
豚は腹が減るとバーが赤くなり、腹が減ったら貴重な種類の星5豚でもなぜかいきなり雑種になってしまう。なぜだ。どうしてなんだ。
いや、まあゲームとしての出来は良くないです。熱帯魚飼育や箱庭ゲーの類でも、仕組みは雑だし面白いかと言われると面白くはない。
でも、豚を出荷してしまうんですよねえ。出荷するときに豚は切ないセリフを言うわけですよ。なんてったって、肉になりに行くんですから。どんなに愛していても、食肉になるしかない。
それを考えると、いつまでも牧場に置いておいてやりたい。でも2日も経つと老豚になってしまう。切ない。肉にするため出荷されるだけの存在。でも豚が愛おしい。
せめて子々孫々まで繁栄させてやりたいと思っても、ゲームとしては何代も同じ品種の豚を繁殖させることはできない仕様になっています。せめて、誰かの食卓に上がる日が来たら、どうか残さず美味しく食べてあげて欲しい。そう願ってしまうのです。
豚なのに一匹のお母さんは一匹の子どもしか産めないんですよ。お父さんは他の牧場から種付けのお呼びがかかるまでぶた広場に放置され、子どもができても親子いっしょに暮らすことなく親は出荷されて肉になり、子どもは安い飯を定期的に食わされて太らされてから再び肉になる。
なんだろう、この強烈に切ないテーマのゲーム。人の親として、ものすごく悲しいんですよねえ。
で、やめられなくなる。ここでアプリを消したら、ここにいる豚はどうなってしまうのだろう。可哀想すぎてアプリをアンインスコできんのです。
別に豚を育てたっていいことなんてない。愛情をかけても肉になるだけなんで。
この世界観一本で見事な箱庭ゲーを作ったのはすごいと思うんですよ。ゲームとしての出来はさておき。
月限定の豚や、星5伝説級の豚も出るわけですが、何の餌を何回食べさせるかという攻略要素が無駄に入っていて、間違うと星1の雑種になってしまいストレスがマキシマムになるという。
なんでだよ。どうして腹が減ったり育て方を間違うと種自体が劣化するんだ。おかしいだろ。
そのように文句を言いながらも、出荷するまでに10回以上ごはんを食べると1,000ポイント増えるので、Bランクの豚や野良ハントで低級の豚が来ても、ちゃんとワクチン打って繁殖させて出荷していれば、破産することはないのです。
豚を集めてきて記念撮影、みんなこっち向いて写真に納まっててかわいいんですよね。いずれ全員出荷されて肉になるけど。切ねえ。
そういう切なさと悲しさがぎゅうぎゅうに詰まった本作、箱庭ゲーが好きならぜひに、であります。オーナー情報みたら、私なんだかんだ言いつつ300日以上、800頭もの豚を出荷しておりました。ほんとこのクソ忙しいのに何してるんでしょう……。
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