太極パンダ【ゲームレビュー】

アジアや北米を中心に人気を博しているアクションRPG『大極パンダ』が、ついに日本に上陸。ハックアンドスラッシュで無数の敵を撃破していく、爽快なプレイ感覚が特徴だ。

特性の違うキャラクターを育成してライバルを蹴散らせ
単純明快、爽快無比のハクスラ系アクションRPG

皆さんはアクションRPGと言われて、どのようなゲームを思い浮かべるだろうか? マップにギミックが仕掛けられていてそれを解いていくもの? あるいはジャンプなどのアクションを使ってステージを進んでいくもの? この『太極パンダ』にはそのどれもがない。ただ攻撃ボタンの連打で敵をぶちのめしていくのみだ!

本作はいわゆるハック&スラッシュタイプで(あるいは無双系と言えばわかるだろうか)、攻撃ボタンも1つのみで難しいことは一切なし。この攻撃ボタンと、最大4つの必殺技ボタンをタッチするだけで、ド派手なエフェクトを伴う大技が瞬時に炸裂する。

移動と攻撃だけのシンプルな操作。複雑なコマンド入力などは一切なしだ。攻撃ボタンの周囲に配置された必殺技ボタンは、レベルが上がるにつれて1つずつ開放されていく

一長一短ある4つの職業が選択可能

選べる職業は、バランス重視でパンダの姿をしたモンク、遠距離攻撃が得意なウィザード、攻撃に特化したウォリアー、スピード重視のアサシンの4種類。それぞれに一長一短があるので、好みで選んでいい。

またレベルが上がることで、パーティーを組んで探索するパーティーダンジョンや、3 vs 3対人戦のコロシアムなどのコンテンツも開放される。これらのモードで有利に戦うには、さまざまな職業の友人たちと組む必要があるだろう。偏った構成だと、一方的に不利になってしまう状況が発生する可能性があるからだ。

合計4種類からキャラクターを選択。職業ごとにセーブデータを作れる仕様が便利だ。複数のキャラクターを育成することで、さまざまな状況に対応できるようになる

ソロプレイ用の救済システムとして使い魔が登場

究極的には、プレイヤー同士が連携して戦うことが本作の楽しみのメインとなる。しかし最初のうちは、なかなかそういうわけにもいかず、幾多のクエストをソロプレイでこなしていく必要がある。4つの職業には際立った長所と短所があり、ソロプレイでは限界を迎えるのにそう時間も掛からないだろう。

そういった部分を補完するために、本作には「使い魔」というシステムがある。これはオートで動く最大2体のキャラクターが戦闘をサポートしてくれるというもので、予想した以上に役に立つ。ただし、独自のHPも設定されているので、攻撃を受け続ければ戦闘不能になってしまう。攻撃力が高いわけでもないが、成長させればスキルも使えるようになり、頼もしい味方となってくれる。

敵はなぜか、プレイヤーよりも使い魔を優先的に攻撃する。その間は自由に動き回れるので、使い魔は非常に役立つパートナーだ

必殺技は時間経過で再使用可能に

レベルが上がることでロックが解除され、ここぞというタイミングを狙って使えるようになる必殺技は、それ自体のレベルを上げることも可能である。また、使用後は一定時間を経て再使用が可能になる。発動にアイテムやポイントが求められる仕組みではないので、雑魚戦でも心置きなく使えるのがうれしい。何しろ、移動してれば勝手に再使用可能になっていくのだから。

連続入力で連撃となる合体スキルも存在するので、習得したときに説明をしっかりチェックしておこう。レベルが上がると使い魔ごとに対応する「合体スキル」も使用可能に

少しクセのあるビジュアルと各種システム

台湾メーカーによる開発だけに、日本産のゲームを遊んできた感覚のままだと戸惑うことも多い。国が変わればゲームの常識も変わるのだ。細かなところだと、目つきが悪くて金に汚いオッサンくさいパンダのキャラクターも気になるところだが……。

例えば、MMOのロビー風の待機スペースでは移動ができるが、アクションボタンが存在するわけでないので、ただ歩き回れるだけ。また、ミッションを受けるには、クエストボタンから各クエストを呼び出すしかない(オートで対象のキャラクターまで移動して、会話してから出撃する)。ただし、レベルが上がることで進めるエリアが増えるので、この仕様もまったくのむだというわけではないようである。

クエストボタンをタッチして、オート移動を行っている最中に移動ボタンに触れてしまうと、移動がキャンセルされる仕様。これには少々ストレスを感じた

画面内に表示される情報が多く、細かな部分が見づらいのも難点である。特にヘッドラインのメッセージが流れると、いくつかの要素が重なってかなり見づらくなる。できれば専用ウィンドウを設けてほしかった

攻撃に関しても、コンシューマあるいはPCゲームにある打鍵感がないため、連打していると近接する必殺技ボタンを意図せず押してしまうというトラブルがあった。とはいえ、攻撃ボタンを押しっぱなしにすることで連続攻撃ができるので、これはぜひ活用してほしい。難しいことを考えず、ひたすら攻撃し続ければ自然にコンボが重なっていく。攻撃ボタンを押せば自動的に敵の方向を向くので、狙いを定める必要もない。ただし、近くの敵を狙ってくれるわけではないので、注意が必要だ。

ボスのHPバーの下には、ブレイクゲージが表示されている。これを通常攻撃で削りきると、ボスがノックバックするようになったり、空中への浮かせ攻撃が通用するようになったりする

いずれの遊びづらさもそのまま放置されているというわけではなく、日本的でない対応で、何らかの対策がなされている。最初はそのあたりで戸惑うかもしれないが、遊んでいれば慣れていく部分でもある。

アクションRPGにおいてストーリーは刺身のつまくらいのものでしかなく、そこら辺をバッサリとオミットしたのはいい判断だ。ストーリーらしきものがあるにはあるが、「ゴブリンに財宝を奪われたから取り返して来い」くらいの内容で実にあっさりしている。プレイヤーはアクション楽しみたいのであって、冗長なストーリーはユーザビリティーを下げるものでしかない。

全世界で5,500万ダウンロードという実績は伊達ではなく、今後のアクションRPGのワールドワイドなスタンダードを示すタイトルであることは間違いない。ハックアンドスラッシュの爽快感を実に手軽に味わえるので、アクションが苦手という人もぜひプレイしてみていただきたい。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 8.4.1
  • プレイ時間:約6時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.2.1
  • 課金総額:0円

(C) 2015 Butterfly Digital Entertainment Ltd.