スゴロクの楽しさを新しいボードゲームに!
今回お話をうかがったのは、サンリオウェーブ・チーフディレクターの菅原未保さんと、開発会社であるOVER FENCEコンテンツプロデュース本部コンテンツプロデュース部プログラムグループの西村牧子さん。
まずはゲーム開発のきっかけや苦労話などについて聞いてみた。
開発のポイントは? テンポ感を重視してサクサクプレイ
――菅原さんと西村さんは、それぞれどのような形で『ハローキティ社長~すごろくで日本一周!~』に携わっておられるのでしょうか?
西村牧子さん(以下、西村):私は開発ディレクターを担当させていただいています。
もともと弊社(OVER FENCE)のほうからゲームの企画を提案したのですが、それを気に入っていただけて、昨年の3月くらいから開発が始まりました。
開発自体はOVER FENCEで行っていますが、デザインや世界観の監修はサンリオウェーブさまにお願いして制作を進めてきました。
菅原未保さん(以下、菅原):私はプロデューサー……まではいかないのですが、サンリオのキャラクターをゲームで扱うときのディレクションを行っています。
監修は社内のデザイナーが担当しておりまして、「こういう風にしたほうがいいんじゃないか」など話し合いながら確認しています。
――実際に開発に踏み切った決め手はなんだったのでしょうか?
菅原:まずは「スゴロク」というところからだったと思います。お話を聞いたときに「スゴロクで、ハローキティで」というところで、もう単純に「面白そうだよね」とインスピレーションがわきました。
――ターゲットとしては女性ユーザーがメインという感じでしょうか。
西村:できれば男性にも遊んでいただきたいのですが、題材がハローキティということで、どうしても女性が多くなりますよね。
でもスゴロクという要素で見ると、男性でもじゅうぶんに楽しめると思っています。
――私もゲーム性が高いなと感じています。スゴロクをゲーム化ということで、工夫した点や難しかった点はありますか?
西村:基本的には、同じマップでありながら、それぞれのプレイヤーが1人で自分の行きたい場所を目指していくことになります。そのへんは通常のスゴロクとは違う点ですね、
またアイテムの使い方やサイコロの目の狙い方など、いろいろと工夫できるよう考えました。
ちなみに日本を題材にしたマップにしてしまったので、目的地が遠いという問題が(笑)。ワープチケットを用意してみたりといった対応を行いました。
――スゴロクの面白さって、止まったマスによっていろいろなことが起こる点だと思うのですが、そのあたりのアイデアはスタッフの皆さんで考えたのでしょうか?
西村:ラッキーカードのマスでは5枚のカードが並ぶのですが、「さて、どんな効果のカードを用意しようか」というところで、チーム内でいろいろと話し合いながらアイデアを出して決めました。
――個人的には、都市に瞬間移動できるカードを期待してしまいます(笑)。
菅原:目的地にぴったりストップできるのはうれしいですよね(笑)。
西村:「あ、出たー」ってなりますね(笑)。
――本作でいちばんアピールしたい点はどこですか?
西村:街デコを自分の好きなように配置して、見た目を楽しく変えていけるところですね。
最初のうちは「お願い」をメインに進めていく方が多いと思いますが、最終的にはマップを自分の好きなように、華やかに飾って、眺めて楽しめるところが面白くなるのではないでしょうか。
当初は、「シンプルにスゴロクをやって好きな街デコを建てようね」というところだったのですが、「それだけだと、何をしていいのかわからないよね」となって、「お願い」の要素を追加しました。
――最初にプレイしたときに感じたのが、「すごくスムーズにプレイできるな」ということだったんです。すごくユーザビリティーがいいと感じます。
西村:そういったところは特に気をつかって開発しています。テンポ感を重視して、サクサク進められるようにしました。
――ゲーム開始時、キャラクターメイキングでは男性の主人公は作れないのですか?
西村:実は、キャラクターについては男女の区別を明確にしていないんです。最初は女性用のスーツを着ていますが、男性用のスーツに着せ替えていただくこともできます。
今後は、初期設定でも変更できるようにしようという予定もあります。
どうしても女性向けのコーデが多くなっていますが、ユニセックスなコーデもありますので、ぜひチェックしてみてください。
――街デコやコーデのバリエーションはどれくらいあるのでしょうか?
西村:街デコは色違いなども含めて、現在170種類以上です。これからイベントなどで増やしていく予定です。
コーデは、セット数でいうと7種類くらいで、それ以外にイベント限定コーデもあります。それぞれにドレスや帽子といったパーツを4点か3点ずつ用意しています。
――ちょっとかわいいな、と思った服は価格がちょっと高いんですよね(笑)。うまく設定されているなと思いました。
サンリオの人気キャラクターがオールスターで登場
――本作にはサンリオの人気キャラクターがオールスターのような感じで登場しますが、個人的にお気に入りのキャラクターを教えてください。
菅原:私は、お邪魔キャラクターのリリザベスです。
実はこのリリザベス、ハローキティが登場した初期のデザインで脇にいた金魚さんなのですが、その子をキャラクター化したものなんです。
ハローキティのデザイナーに、このゲームのために描き起こしてもらいました。公式Twitterでもメインキャラクターとして頑張っています。
西村:私は小さな頃から、気が付くとキキララグッズを持っていることが多かったので、リトルツインスターズのキキとララが大好きです。
最近ではパステルカラーのキキララグッズも多いので、ゲームの中の街デコにもそういったカラーの要素を取り入れています。
――メインキャラクターのハローキティですが、スタート画面でかなりインパクトのある姿で登場します。なぜ、女社長になったのでしょうか?
菅原:ハローキティをどう扱うかについては、かなり話し合いました。ナビゲーターとして登場させるといった話もあったのですが、もうちょっと貴重な存在でいてほしいところがあって、社長に据えたんです。
――かなり威厳がある雰囲気ですが、今までにこういった姿で登場したことはなかったですよね?
菅原:実はボツデザインがあって、最初はパンツスーツ姿だったんです。でもこれは「女の子らしくないとハローキティじゃない」とデザイナーからNGが出まして、「それじゃあ真逆で」ということで真っ赤なドレススーツになりました。
女社長のイメージということで、「髪の毛をつけようか」とかいろいろと話をしたのですが、結局は大きな帽子をかぶせることになりました。
あまり偉そうに君臨してしまうとハローキティのイメージが崩れてしまうので、女の子らしさもありながら、社長っぽく見えることを狙っています。椅子に座っているのが、けっこう効いているかなと思います。
実は足を組んでいるのですが、ほかではあまりないスタイルなので(笑)。そういうところで、デザイナーは苦労していましたね。
――あらためてお聞きしたいのですが、ハローキティが初めて世に出たのはいつ頃なのでしょうか。
菅原:デザインされたのは1974年ですが、ハローキティのグッズ第1号は1975年3月に発売されたビニール製のプチパース(小銭入れ)です。
また、サンリオが発行している「いちご新聞」という冊子があるのですが、そちらの第14号では初めて表紙に登場しました。
――これまでに、どれくらいの種類のグッズが作られたのでしょうか?
菅原:世界中で年間約5万種類の商品が販売されています。
年間でも定期的にラインナップを入れ替えていて、キッチンシリーズやトラベルシリーズ、今の時期であれば入園や入学にちなんだものなどもあります。
――ファンの方がハローキティでいちばんの魅力に感じているのって、どのへんなのでしょうか?
菅原:女の子の場合、小さいときに最初に触れるキャラクターの1つなのではと思います。
先ほどの「いちご新聞」も創刊してからかなり長いのですが、小さい頃にハローキティに出会ったファンの方が、ずっと長く愛してくださっているところが大きいですね。
西村:ゲーム開発のほうでも、「いちご新聞」をいろいろと参考にさせていただいています。
これだけは押さえておきたい序盤のコツ
――スゴロクということで、まずはとにかく前に進んでいくというイメージですが、最初は何を目標にしたらいいのでしょうか?
西村:最初のうちは、「お願い」を1つずつクリアしていくことが大事です。各キャラクターから「アレして、コレして」といろいろなことを頼まれる「お願い」を解決していくうちに、街デコの建て方などゲームの仕組みを覚えていくことができます。
――「もくてきち」に設定された都市を訪問していかないと、都市レベルが上がらずに、建てられる街デコの種類も増えていきませんよね。
西村:都市マスでは街デコの買い物ができますが、目的地になっていない場合、そのマスに止まっても都市レベルが上がっていきません。
やはり、目的地になったときにうまく止まるほうがいいですね。
――目的地の手前で、うまくサイコロの目が出なくて右往左往してしまうことがあります。解決の方法はありますか?
西村:サイコロの目が限定されている「出目ダイス」というものがあります。1~6のいずれかの目しか出ないダイスがそれぞれありますので、これを使っていただくのがいちばんですね。例えば、3ダイスなら3の目が確定します。
1~3の目のいずれかが出るダイスなど、最初は小さな目が狙えるダイスを買うのがおすすめです。目的地の近くまで行ってから使えば、行きたいマスに止まれるより可能性が高くなります。
目的地を通り過ぎてしまったときなども、1とか2のダイスのほうが使いやすいですよ。
――逆に、大きな目のダイスはどういった場面で使うのがいいですか?
西村:関東や近畿など、移動できるエリアが開放されていくと、赤マスと呼ばれているコインが減らされてしまう可能性のあるマスがだんだん増えてきます。
そういった場所を一気に抜けるときなどに、大きな目のダイスを使うのがおすすめです。10マスくらい離れた場所なら、ダブルダイスやトリプルダイスを使って出目を増やすのがいいです。
あとは、全国のマップが開放された後になりますが、各地域に即座に移動できる特別なチケットがもらえることがあります。
――チケットの出現条件ってあるんでしょうか?
西村:全国4カ所のショップで各チケットを売っていますので、そこに行けば必ず買えます。見つけたときに場所を覚えておくと便利ですよ。函館の4つ隣とか。そちらもぜひ活用してみてください。
――複数の目的地が指定されますよね。どっちを目指したほうがいいなどのアドバイスはありますか?
西村:手に入れたい街デコがある場合、都市レベルを上げる意味でもそちらを優先したほうがいいですね。
そのほかにも、もらえる結晶が違っているので、それを判断材料に決めるのもいいかもしれません。
――街デコの配置の仕方で何か変化が起こったりしますか?
西村:地方によって、それぞれのハッピーポイントが設定されていますので、どの地方に街デコを建てていくかは重要な要素の1つです。
それ以外は、自分が飾りたいようにお好きに並べていただければ(笑)。
人によっては、いろいろとこだわりがあると思います。パンダを東京に置きたいとか、牛を北海道に並べたいとか。
――北海道からスタートして、徐々に日本のいろんな地方が開放されていきますが、ゲームを始めたばかりの方だと、その開放条件がわかりづらいということがあるかもしれません。
西村:これはですね、その地方の支店長のお願いをいくつかかなえていくと、そこでいったん満足してくれるんです。
そうなると、ハローキティ社長が「次の地方に行ってほしいの」と言ってくれて、そこがオープンする仕組みです。
――「とにかく次の地方に早く行きたいんだ」という人におすすめのやり方はありますか?
西村:その場合は、街デコを買えるチャンスで、とにかく買い込んでおくとか(笑)。あとは、メインのお願いがピンク色の背景になっていますが、白い背景のお願いもやっておくと経験値が手に入ります。
それでレベルアップすることで、サイコロの数が回復したりして、効率よく進めていけるようになるはずです。
最初のうちは、持てるサイコロが序盤は20個程度なので、それを使い切ったら少しお休みしていただくようなプレイスタイルがいいかもしれませんね。
休んでいる間にりんごが収穫できるようになっているかもしれませんし、それが効率的だと思います。
――スタッフの皆さんも、自分なりのテーマで街デコを飾っているのでしょうか。
西村:女性スタッフは、やはりかわいいものを中心に飾っているようなのですが、なぜか男性スタッフは牛を飾りたがるんですよ(笑)。
「北海道を牛で埋め尽くすんだ!」みたいな人もいて。福島の周りに赤ベコを並べてみたり……。牛100頭セットなんか用意したくなっちゃうくらいです(笑)。
――なんとなくわかります。たくさん持っているとうれしいんですよ(笑)。
西村:もし配置した後に気に入らなければ、いつでも置き直すことができますし、向きを変えることも可能です。いろいろと工夫して飾ってみてください。
――街デコで文字を書いたりもできそうです。
菅原:お花をつかえばできると思います。きっと華やかですよ。
――ほかに、「これって気づいてないかな?」というようなヒントはありますか?
西村:実は、マップ上の海のどこかに「テレビ」が置いてあることがあります。全部で5つくらいあって、それをタップすると広告動画が流れます。これで回復チケットがもらえたりするので、ぜひ活用してみてください。
ちょっと目立ちにくいので、デザインを変えようかと検討中です(笑)。1つのテレビで1日につき1回ずつですが、いろんなものがもらえますよ。
菅原:何ももらえないこともあったと思います(笑)。
西村:早めに全国の地方をオープンしておくと、注意しやすくなるかもしれませんね。
菅原:それと、コーデのポイントですかね。
西村:実は「きこなしポイント」というのがあって、いろんな衣装を着れば着るほど、もらえるコインの数は増えるなどのいいことが起こります。
――お気に入りの同じ衣装を着たままの人も多そうですね。
西村:イベント用のコーデも追加する予定ですので、期待してもらえればと思います。
それと、やはりレア度の高い街デコを建てれば、リンゴを持てる数がどーんと増えるなどのメリットがあります。
序盤でお願いをかなえていけばガチャチケットがもらえますので、それでレア街デコガチャをぜひ回してみてください。
今後のイベントやアップデートは?
――逆に、やり込んでいる方へのアドバイスはありますか?
西村:思った以上にやり込んでいる方が多くて! 私たちの想定では、1日に2~3回起動していただいてと思っていたのですが、何時間も続けて遊んでくれている方もすごく多いです。
時間限定イベントの「みんなの目的地」も1日に3回必ず回っているという方もいますね。
みんなの目的地は、ログインしてから1回サイコロを振った後にチェックが入る仕組みになっているので、そのタイミングをどううまく調整するかですね。
菅原:やはり、順位が数字で示されるのが、皆さんのモチベーションを高めるのかもしれません。ほかにも、こんなにたくさんの人が挑戦しているんだってわかりますからね。
西村:それから、フレンドが多ければ多いほどお得なことがあるので、積極的にフレンドを増やしていくのもおすすめです。
――何か、そういったフレンドを活用したコンテンツや、マルチプレイなどの機能を追加する予定はありますか?
西村:今後のイベントなどでは考えています。
菅原:協力イベントなどができるといいですね。
西村:それと、ちょっと先の話にはなるのですが、いつの日か「誰のマップがかわいいか?」みたいなコンテストもやってみたいです。
――近々予定されているイベントやキャンペーンについて教えてください。
西村:2月はバレンタインイベントを開催しましたが、3月にもイベントを予定しています。
アップデートについては、今後やり込み要素を中心に追加していきたいと考えています。図鑑みたいなコンテンツなどを入れたいという話もしていますね。
――何かキャラクターに関連するコンテンツも、さらにあるといいと思うのですが。
菅原:そうですね、話してはいます(笑)。
キャラクターがいっぱいいるので、その特性を生かしていければいいなと考えています。
ストーリーはけっこう作り込んでいて、キャラクターと対話できる感覚になって楽しいんじゃないかと考えているので、より充実させていきたいです。
――そのあたりも楽しみです。それでは最後に、Game Deets読者へのメッセージをお願いできますでしょうか。
西村:リリース直後はメンテナンスが多くて、そのあたりは大変申し訳なく思っています。随時対策を立てていまして、だいぶ落ち着いてきたというのが現状です。また新しい街デコやコーデのラインアップを増やせるように努力していきます。
ほかのプレイヤーの方もいろんなコーデでマップに登場するので、すごくにぎやかに遊べます。
まったりプレイも、どっぷりハマってのプレイも楽しめるゲームになっていると思いますし、やり始めるとハマってしまうゲームなので、まだプレイしていない方もぜひ遊んでいただければと思います。
――本日はありがとうございました。
(C) ’76, ’79, ’88, ’93, ’96, ’99, ’01, ’05, ’16, ’17 SANRIO CO.,LTD. TOKYO,JAPAN (E)
著作 株式会社サンリオ