『ミトラスフィア』独占インタビュー【21】: 野沢雅子さんに聞く! 役者にとって意外性ってとても楽しいこと

正式リリースも間近に迫ったバンク・オブ・イノベーションの新作RPG『ミトラスフィア -MITRASPHERE-』(以下、ミトラスフィア)。本作の「なりきりボイス」として、あの声優界のレジェンドともいえる野沢雅子さんの出演が決定! 収録スタジオにお邪魔して、お話をうかがってきた。

収録の苦労はでき上がったときのよろこびで忘れちゃう!

『ミトラスフィア』におけるなりきりボイスは、プレイヤーが自分の声としてその場に応じたセリフを読み上げるというもの。

ほかのキャストの場合は、「こんなキャラクター」というイメージに基づいて演じられており、特定のキャラクターをイメージしたボイスにはなっていない。

ところが、野沢雅子さんが担当する「なりきりボイス」はイラストも用意された、とあるキャラクターの声を再現したものとなっているのだ。

そのキャラクターとは、公式Twitterでもおなじみとなっている本作の宣伝担当「スー」。ウパくらげの「ミー」とともに、さまざまな情報を発信しているので、気にある人はぜひチェックしてみよう。

野沢雅子さんにインタビュー!

「なりきりボイス」の収録は? 苦労したセリフはないのが流儀

――今回の収録でなりきりボイスを演じられて、苦労したところはありましたか?

野沢雅子さん(以下、野沢):偉そうにいっているわけじゃないんですけれど、いつでも苦労したセリフはないっていうのが私の流儀なんです。

その瞬間には苦労しているセリフというもの、たぶんあると思います。でも、でき上がったときのよろこびの方が大きいんですよ。だから、その苦労も飛んでしまって忘れちゃうんです。

――何か、お気に入りのセリフはありましたでしょうか?

野沢:お気に入りのセリフというか、かわいいイメージのキャラクターなのに「なによー!」というような言い方をするので、こういう上からの目線のしゃべり方は好きですね。

見た目とギャップのあるセリフって好きなんです。「え、この人がこんなことをいうの?」というような。

こういう意外性って、役者にとってはとても楽しいことだと私個人的には思うんです。

――声が付いたら「あ、こんなに違うんだ」という驚きって、楽しいですね。今回収録されたなりきりボイスを、プレイヤーのみなさんにどんな風に使ってほしいですか?

野沢:自分がゲームをプレイしないものですから、やる方の好きなようにやっていただくのが、いちばんいいんじゃないかと思います。

私も何かやるときには、自分の好きなようにやりたいから。自由に使ってほしいですね。

自分の好みの外見にカスタマイズして、気ままに冒険が楽しめるのも『ミトラスフィア』の特徴の1つ。もちろん、ボイスも自由にチョイスできる

魔法使いが大好き!でも剣士になってみんなを守る

――『ミトラスフィア』は異世界を冒険するファンタジーRPGですが、野沢さんが突然ファンタジーの世界に迷い込んでしまったら、どんな役割で活躍してみたいですか?

野沢:私は、魔法使いってすっごく好きなんですよ。でもね、実際に迷い込んでしまったら剣士かな?

本当は魔法使いっていいたいの(笑)。でも、ちょっと剣士が勝っちゃうかな、気持ちのうえでは。

――自分が前に出て、みんなを守るという感じですね。

野沢:そうそう。「オレに任せろ!」って(笑)。

――なるほど(笑)。何か戦ってみたいモンスターとか、苦手なモンスターっていますか?

野沢:私、は虫類がとっても苦手なんですよ。特にヘビがダメなので。

『ドラゴンボール』には神龍(シェンロン)が出てきますけど、どっちかっていうと龍はちょっと怖いほうです(笑)。でも神龍みたいになっちゃうと平気なんですけどね。

なので、ヘビっぽいモンスターが出てきたらちょっと怖いです。現実に戻っちゃいますね(笑)。

――逆に、怖いからやっつけちゃおうとか?

野沢:それはありますよね。思いっきり戦っちゃう。収録で私が「わー!」と声を入れたら、ディレクターから「もう少し抑えてやってください」といわれそうな気がするんです。めっちゃくちゃにやってしまいそう。

剣士なら、先頭に立って仲間を守りたいところ。ヘビのようなモンスターが登場するかどうかも気になる!

――ご自身の身の回りで、「これってファンタジー?」というような不思議なエピソードがあったら、ぜひご紹介ください。

野沢:どうなんだろう。そういうこともあると思うんですけど、それがずっと心に残っているというのはないですね。

一瞬はあるんですよ。「えー! これは」というのは。でも毎日生活していると、次の日もそういうのがあるじゃないですか(笑)。

何でも興味を持つほうなので「子どもみたい」ってよく言われるんですけれど、大人なんですよ?

それで、ちょっと前に自販機で飲み物を買ったんです。いつもは皆さんが買ってきてくれるので、やり方が分からなくて(笑)。

その日はいちばん早くスタジオ入りしてしまったので、「今日はやってみよう」となって。

自販機の前で一生懸命考えて、「皆はこの辺でお金を入れてたな……」って見たら、それらしき場所があったので、お金を入れて一番端にあるお茶のボタンを押したんです。

そうしたら、別のところからドーンって音がして落っこちてきたの。押したものがそのまま出てくるのではなくて、びっくりしました。

中を見たら、ボタンを押したものと同じものだったので、「まあ同じものだからいいか」と思ったけれど。

後から中尾隆聖(※)さんが来て「どうしました!?」と聞いてきたので、「私が押したのが落ちないのよ」といったんです。

そうしたら中尾さんが「まこさん、あれは落ちません」と。それで「ああ、そうなんだ」と思いました。

※『ドラゴンボール』フリーザ役

――ディスプレイされているものが、そのまま落ちてくると思ったんですね(笑)。

野沢:そうそう(笑)。それが見本って、すぐにわからなかったの。

最近は、私が最初に自販機まで行って自分で押してます。それでドーンときても、「これは落ちないんだ」と確認してるんです。

アニメとゲームの違いは?その場の掛け合いが大事

――アニメとゲームの収録の違いってありますか?

野沢:アニメは共演者がいますよね。掛けてくれるから、それに対してこたえるというのが大きな違いです。そして、向こうにも掛けなければいけない。

一方で、向こうから掛かってくるときに「こう出るか、ああ出るか」と考えるのが、ゲームの場合ですかね。

――その場の掛け合いがないので、想像しながら作っていかなければならない……。

野沢:たぶん私の中で完璧に意識してやっているわけではないんですけど、例えば相手がこうきたら、ここで受けたらつまらない、お互いが死んでしまう、だから、こう受けるんだというのがあります。

でもゲームは1人で演じるので、自分の中の戦いを想像して演じています。

『ドラゴンボール』のゲームで収録するときには、相手役の人が全部先に録ってくれているので、それを聞かせてもらって受けを意識しながら掛け合いを作っています。

自分で作って、勝手に相手に掛けることもありますけどね。それは私のペースでいっちゃってますけど。

――以前、アニメの場合は収録現場に立っていちばん初めに出てきた声が、そのキャラクターのボイスになるとおっしゃっていました。ゲームの場合は映像がないことがほとんどですが、どのように役作りをするのでしょうか?

野沢:まず、収録前にキャラ表が来ますよね。それをインプットしちゃうんです。例えば、戦いのシーンのセリフをいうときには、自分の中でその子が戦っているイメージがすぐにわきます。それで、声がスッと出てくるんです。

――演じていて、いちばん楽しいと感じるのはどのような瞬間でしょうか?

野沢:演じている間は、常に楽しいです。自分がしゃべっていなくても、ドラマの中に入り込んでいるので、ほかの人のセリフを聞くのも楽しいですね。ファンの方と同じように、楽しみながらやっています。

――声や演技のコンディションを維持するために、普段から心がけていることはありますか?

野沢:何もやってないんです。常に自然体。今までに声が出なくなるようなことはないですね。

特に気をつけているわけではないんですが、習慣としてやっているのは、お風呂に入ったときにシャワーで口の中を「ガー!」ってやること。私はお風呂が大好きで、1年間の365日、熱があっても必ずお風呂に入って寝る人なんです。

シャワーでそうやると、ノドの中のホコリが取れるみたいです。それと、ぬるま湯を鼻で吸って「ぺっ」ってはくことですね。それでスッキリして満足(笑)。

私は劇団出身なので、若い頃は稽古場でトレーニングしたりしました。小屋の後ろに先輩たちが立っていて、声が届かないと「聞こえねーぞ!」っていわれちゃうから。でも最近は自然体です。

あの頃はもしかしたら苦労していたのかもしれませんけど、出来上がったときの喜びで忘れちゃうんです。

――最近、何か新しいことにチャレンジしているというものはありますか?

野沢:本当にくだらないことでいったら、ペットボトルのふたを皆さんが開けてくださっちゃうので、最近はそれを自分で開けるようにしています。なかなか開かないんですけど(笑)。

――以前と違って、最近では大人もアニメやゲームを楽しむことが当たり前になってきています。そういった世の中の変化について、何か感じることはありますでしょうか?

野沢:それは、ある種いいことだと思うんです。だけど、大人になったらそれにドップリと浸からないでほしいなと思います。大人のやるべきことって、やっぱりあるじゃないですか。楽しみの1つとして、付き合ってほしいと考えています。

子どもはやっぱりドップリ浸かっても、それはそれでいいと思うんです。

ただ、大人になったら付き合い方をちょっと変えて、「癒し」としてアニメやゲームを楽しんでいただけたらいいですね。大人にとって「癒し」って大切ですから。

――それでは、『ミトラスフィア』に期待するファンの皆さんへメッセージをお願いします。

野沢:このゲームは無料で遊べるんですよね? それはいいじゃないですか、夢があって。

アイテムを買ったりするのでも、子どもなら何かお手伝いをして、お駄賃をもらって、楽しんでほしいです。

逆に、それは大人としてもやらなくちゃいけないことだと思いますけど(笑)。何もしていないのにお小遣いをあげるのはダメですよ?

このゲームを作っている人も、頑張って面白いものにしてくれているので、1人でも多くの方に遊んでもらえたらうれしいです。

(C) 2017 Bank of Innovation