ゲームの出来はともかく制作チームの人間性が伝わる問題作『勇者のくせにこなまいきだDASH』

昔、PSP(プレイステーション・ポータブル)専用でリリースされていた佳作『勇者のくせになまいきだ』が、ゲーム世界観そのままにスマホゲームになって帰ってきた!!

…と言いたいところなんですが、残念なことにゲーム自体はできの悪いパズドラもどきのオチものパズルなんですよ。

しかも、ゲーム仕様がイカれてて、グラグラしているブロックをずらしながらシンプルな3並びにして消していくはずが、入れられるはずのブロックがずらして入れられないとか、消えたはずのブロックから実は1個ブロックが湧く仕様があったりとか。

まあ、全体的にパズルゲームとしてきちんと練られていないし、キャラクターの特性もあまり活かされず、スロットには虫なら虫、ドラゴンならドラゴンしか入れられないという残念な自由度、たまらないスキル、弱いキャラは出番がないほどまったく使えず合成素材になるのみという、きょうびパズルゲーム出すのならもう少し仕込みをしっかりやってから出すんじゃない? ってぐらいに、残念なアプリなのです。

でもまあ、世界観が呼び出された魔神ということで、ツルハシ片手に魔王と魔娘との気さくな会話を観ながら勇者を撃退していくわけであります。あっ、はい。

ゲームとしてはイケてないけど、この魔王や魔娘のテキストやフレーバーが小気味よくて、そのセンスを少しでもパズルゲームのバトルシステムやキャラクターの強さ、レベルデザインに生きていればなあと残念に思います。いわば、ゲームの作り手であるチームのみなさんの人間としての面白さは伝わるんだけど、ゲームとしてはバグバグで低質なのが残念ってやつですか。

ゲーム開始当初は無課金で無限に引けるガチャという、ソーシャルゲームアプリとしては営業上の致命的なやらかしもあって、そこそこ課金してでも前に進めたい私といえども課金するのを控えてしまうほどに大混乱に陥ったのが本作です。

もうあれ、チームのみなさん真っ青になったんじゃないですかね。メンテナンスはより長く、ゲームの改善はより遅く。イベントも曜日ダンジョンも一応そろっているけど、まあ定番だから仕様として合成アイテム調達の場として置いておきましょうよ的な適当さ。

それでも無課金でも前に進められてしまう。ヤバイ、これはハマる。パズルゲームがうまければ、途中で出てくるレベル200のどうしようもない敵でもない限りどうにでもなっちゃうんですよね。☆3でも低レベルでも、やろうと思えばできてしまうという。

ドット絵とかも適当だし、いろいろリリース予定日に合わせて開発進めたので仕様を削ったんだろうなあという残骸もそこかしこに見当たるのが、「まあ、少し付き合ってみようか」と思ってしまった敗因なんですけどね。よろこんでいいのか、外れたと嘆いたらいいのかわからない10連ガチャを無償で何度か引けたのがいい思い出です。

返す返す、コンセプトや世界観はよかったのに、ゲームの作り込みとサーバー周りが実装ミスってたばっかりに、早期にサービス停止に追い込まれてもおかしくないのが惜しいと思える本作です。スマホゲームに菩薩の心を持つプレイヤーさんは、どうかこの魔王のダンジョンが1日でも長く存続するようご寄進していただければと願うのみでございます。

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