攻略以前の問題だけど『戦国大河』はどうにかならないのか

昨年暮れに、大規模バージョンアップ前の『戦国大河』の記事を書きました。さらに、4月にパブリッシャーであったバンダイナムコから離脱しAiming社独自の展開をするというので期待を込めて復帰してみたものの、戦略シミュレーションとしての通称「村ゲーム」の基本的な仕様もまだ全部は入っていないままガチャゲーになり果てた新生『戦国大河』であることを知り、残念でならなかったんですよね。

せっかくだから「改めて攻略記事を」とも思うわけですけれども、夏に新たなバージョンアップとして伊達家が投入されたり、いろいろと新しいことをやろうとしている割に相変わらずイマイチな感じです。

過去に『戦国大河』については何度か記事を書いているのですけれども、ゲームとして如何に良くないかしか触れるところがないのが困ったところです。

褒めるところがないって、意外と辛いもんです。

例えば、『戦乱のサムライキングダム』コラボが始まりました! とリリースが来たから「おっ」と思うじゃないですか。直江兼続プレゼント! とか言われる。

イラストの好みは分かれるかもしれませんが、品質としては全体的に良くディレクションされていると感じます。

しかしだな、村ゲの性質からして、素敵なキャラカードが一枚手に入ったところでMAXまでレベリングしても肥やしにしかならないのだよ。

なぜならば、このゲームはなるだけ同種の武将カードを引き、重ねて凸してスキルを上げていくことでようやく満足に戦える武将になるからです。

形代を使えばスキルは上げられますが、基本的に廃課金勢専用とも言えますので、心の意味で札束での殴り合いを楽しみたい人だけが武将の強い弱いのところで争うことになるのです。

もちろん、微課金勢は土地確保要員やマラソン補助要員としてサブで参加することになるわけですけど、それってゲームとして楽しいのかという。

また、無駄に強いスキルを持つ今川義元さんや真田幸村さん(ややおっさんのほう)など並べてパワー押しすればゴミカード軍相手なら簡単に蹴散らせてしまう残念仕様。

レベルが上がれば敗退してからリハビリの時間がかかるという仕組みは入っていますけれども、逆に言えば強い武将を20人4部隊並べられる課金勢が、ギリギリ1チームしか組めない程度の微課金勢をただひたすらに叩きのめすことになります。

どういうバランスのとり方をしているのかプランナーに聞いてみたい気分です。

ガチャ回して俺TUEEEE中心のゲーム仕様で廃課金無双をやるようなゲームにするのならば、当然ちょい乗りのライトゲーマーや、単に戦国時代が好きというシミュレーション野郎は撤退するしかないんですよね。

何より運営に対して「残念だ」と言いたいのは、駄目な仕様を放置するだけでなく、おそらくプレイヤー数だけ見てワールド(鯖)統合を決断して実行してしまった点です。

シーズンが2つ先行していた第6サーバーと大規模バージョンアップからユーザーが入った第7サーバーが過疎化対策で合流になってしまいました。

どうしてそんな間抜けな統合をやるのか不思議でなりませんが、ともあれ合流してしまったのですから仕方がありません。

第6サーバーで番を張っていた同盟(プレイヤーギルド的なもの)がそのまま他同盟を順番に制圧してゲーム自体がお通夜になることぐらいは分かっていたはずなんですよね。

第7サーバーで上位にランクインした同盟の盟主をして7万円ほど課金していた私には、文句を言う資格もあろうというものです。さすがにその運営はないんじゃないでしょうか。

突き詰めれば、ヘックス仕様の村ゲームをやるにあたって、プレイヤー数に見合ったマップの大きさを用意できず、戦争に負けるペナルティもせいぜい町(拠点)が焼かれる程度で、強い武将をそろえてマックスまで育て、同盟内でローテーション組めれば戦争に負けることはないという意味でゲームの仕様が(村ゲ的な意味で)どんどん駄目になっていくというあたりに残念な気持ちが強く残ります。

技術ツリーはスッキリしたけれど、3すくみ兵種が4すくみになり、それなら強弱が絡まない対角線の2兵種で武将をそろえれば誰に対しても有利不利なく戦えるようになってしまいます。

まあ、そういうゲームデザインにしたかったのなら仕方ありませんが、結局は課金による物量がより盛大に勝つシステムにしてしまいました。

他のゲームがなぜ3すくみや5すくみでデザインしているのか、また部隊の速度やイニシアチブなどでバランスを取り一方的に有利な編成が起きないようにするというバトルシステムのデザインぐらいはまともに考えてほしかったと思うわけですよ。

あるいは、編成する兵種に高くて強い高級と安くて数がそろう低級を用意したり(バージョンアップ前は剣兵が低コスト編成を担ったが、専用武将がいても使い物にならないので羽柴秀吉がゴミ武将扱いとなった)、騎馬は速い、歩兵は遠くまで行けるなどの特色を持たせることぐらいはできたと思うんです。

でも、全然そういうフィーチャー入っていないんですよね、恐るべきことに。

そりゃ過疎化もするだろう、面白くないんだから。

しまいには、砦を落としても生産性には一切響かず同盟のポイントにしかならないため、戦略的な価値を持つのは出城やプレイヤー本人の本拠地ぐらいしかなくなりました。

バージョンアップ前ですら戦争する意味を見いだせなかったのに、バージョンアップ後はもっと酷いことになったのは、繰り返しになりますが、残念だとしか言いようがありません。

戦争して実入りがないのだから、戦争する意味も価値もないだろうにと思うわけです。せいぜい出城を奪うぐらいですかね、中盤なら。

敵同盟の盟主の本拠地を奪っても砦が移動しなくなったため、戦争をする意味も張り合う醍醐味も失われて、単に気に入ったカードを並べて育てて俺TUEEEEするぐらいしか楽しめないのでは面白くなりようがありません。

どうしてそういう仕様にしたのか、大規模バージョンアップが行われて5カ月が経過したいまも理解ができません。

勢い、ゲーム内での人間関係ができている人しか残らないので、広いマップで限界集落のように見知った顔による資源や砦の奪い合いが散発的に起こる程度の閉塞感満載の仕組みにしたのは何故なのか、私には全く分からないのであります。

せめて短期決戦用の仕様を用意したり、出陣の仕組みや戦闘のフィーチャーを仕切り直して欲しかった。村ゲにするなら村ゲの流行ぐらい知っていてほしいし、ガチャ偏重で俺TUEEEEさせるにしても強くないプレイヤーが同盟や資源で多少は役に立てる仕組みがなければそりゃみんな辞めるよねと思うわけであります。

すべてにおいて理不尽な仕様の村ゲになっているのに、どうでもいいところがバージョンアップされ、プレイヤーをマッチングさせたり有利不利を見極められるシステムを入れるわけでもなく、絵柄の綺麗さでガチャを回させようという以上の何かが見当たらないのはどういうことなんでしょうか。

あまりのクソゲーぶりに酷評するしかない状況ですが、それでも「物語」は良くできています。

ああ、確かにこれは戦国時代だ。歴史を感じさせるロマンという意味で、好きな人がシナリオライターにいるんだろうなあとは思うんですよね。

今川義元さんとか竹千代とか、ああ、今川さんが信長さんに討たれていくよという歴史を知っていても、抗いがたい何かを物語の中に感じさせるのはうまいなあと思うんですよね。岡部元信さんとか、史実を知っていても辛いよなあ……。

そういう感慨に浸りながらも、なんだ、この駄目なゲームシステムは。引退したいまでも思い出して腹が立ちます。

昨年暮れのサービスインからながながと運営して、大規模バージョンアップして、タイアップもやって、たくさん金使ってる割にちっとも面白くならないとかナメてんのか。

「リスク(※1)」とか「メディチ(※2)」とかボードゲーム考察からやり直せ。あるいはMMO系で資源のフィーチャーが入ってる戦争ゲームを一から研究してきてほしいわけですよ。

※1:戦略ボードゲームの名称
※2:競りボードゲームの名称

プレイヤーとしても、レビュワーとしても、本当の意味で怒りしか感じない当物件は遺憾でしかありません。

そして、コラボしていたAiming自社タイトル『CARAVAN STORIES(キャラバンストーリー)』からきたプレイヤーの人たちの、心の暖かさ。

日本人も台湾人も、みんないい奴らばっかりやんけ。『キャラバンストーリー』の報酬を目当てにやってきたけど、『戦国大河』に馴染もうとしているプレイヤーは、戦争ゲームを知らない分だけ、村ゲの恐ろしさを中和してやみません。

ああ、なんてみんないい奴らなんだ。っていうか、戦争に明け暮れる(べき)村ゲに来てはいけない善良な人たちばかりです。

ヤバイ。というか、敵も味方もいい奴過ぎて戦争するにも理由がいる。

村ゲなんてね、隣に来たからなんかムカつくので徒党組んで無言でぶん殴るのがルールなんですよ本来。

でもうっかり同盟同士の外交が始まっちゃうから、戦争のための外交などしたことのない学生さんがクソ失礼なメールを送ってきて血圧が上がったりするわけなんですよね。

Aiming社もそういういいプレイヤーを資産として抱えているのだから、ちゃんとゲーム作って競い合える、熱中できる仕組みを作ってほしいと思います。

過疎なのに広いマップでクソ仕様の村ゲをサーブしてしまうとか、絶対にやめるべきだと。

プレイヤーに何を楽しんでもらいたくてこのゲームを作ったのか、胸に手を当てながらサービス終了のその時まで頑張って運営していってもらいたいと心から思い、願う次第です。

(C) Aiming Inc.