【コード:ドラゴンブラッド】ブレイカーズ 前編

『群れを飛び出しても生きていけるような人間が集団を作った時、その組織は強くなる。』 ー河上 和雄(法学者)

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■征服の地

さて、火曜日。

再び征服の地。

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我はこの半年間、火曜日と木曜日の21時はドラブラのためにスケジュールを押さえてきた。

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【コード:ドラゴンブラッド】ブレイカーズ 前編

今回の相手はSTAGE5。

何度もやっている強豪相手。

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にしても、征服の地然り、サークル戦は同じ相手と当たることが多い気がするのは気のせいだろうか。

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今回については非常に問題があった。

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とにかく人数が足りないという問題。

なんとか2戦場に別れて戦うのが精一杯という人数だ。

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色々なサークルがある故、なかなかに人が集まらぬ昨今。

既にサークル戦が5戦場だった時が懐かしくも思える。

だが我としてはサークル運営の人たちが人数が多過ぎて大変になるよりも、これくらいがちょうどいいとも思っている。

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最近では我は征服の地は空戦場、つまり相手の捨てエリアと当たることがほとんどになってきた。

これは偶然かもしれないが、実際にそうだから仕方ない。

だが毎回心の中ではこう思う。

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今日も平穏無事で征服の地をやり過ごせますように、と。

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■Bチームの演説

征服の地は3戦場、戦力を2つに分けて戦うのがオーソドックスなスタイルだ。

それは他のチームでもそうだろう。

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AチームとBチームという分け方をするのだが、我は常にBチームとして出ている。

そして何故かいつも我が総指揮兼チームの鼓舞を担当している。

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にしても今回はいつもに増してさらに人が少ないのは明らか。

VCにつないでいるメンバーも25名程度。

本来であれば40名フルで挑みたいのだが、Aチームもそれは同じ状況、我儘は言っていられぬ。

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我自身、プレイスキルというプレイスキルは持っておらず、自信もない。

だが唯一持っているスキルとしては、ゲームを誰よりも楽しめるという特技がある。

それはゲームの中だけではなく、それ以外のところでも同じだ。

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Aチームとの打ち合わせを終えてBチームのVCに入る。

確かに人は少ないが、ここでつまらなそうにゲームをしていても意味がない。

むしろゲームは人を楽しませるものであり、人はゲームを楽しむものだ。

だがその楽しみ方も受動的では本当の楽しさは半減する。

自分自身が能動的に楽しみを見出し、それをアウトプットすることで楽しさは他者に伝染、皆が楽しんでいる様子を見て、こちらもまた楽しみが増えるというものだ。

試合が始まってからではトークなどはできない、故に準備期間に何を言うかでかなり変わってくる。

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「反王様、いつもの、指揮が上がる小粋なトーク、お願いします」

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いつもこれだ。

既に反王様と呼ばれるのは形骸的になってきているのは気のせいだろうか。

いじられるのは別に構わないのだが、最近はいじりというよりもショルダーチャージに感じる今日この頃。

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だがここで引き下がるのは反王の名が廃るというもの。

こういう時は何かしら皆が一体感が出るものが良い。

ふとインスピレーションが沸き、とあることを口にした。

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我「いつもBチームBチームと、まるで2軍のように見えてしまうな」

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AとB、甲と乙、事象には順番があり、それによってどうしても後者には劣等感を少なからずとも感じてしまう。

実際は戦力はほぼ均等であり不満は全くないのだが、それを茶化すことにした。

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我「諸君、よく聞け!」

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VCのメンバーの声がピタリと止む。

これは決して我が声を出したからではなく、何か面白いこと言うんだろうなという期待とまた始まったよという諦めの沈黙。

だがそんなのはお構いなし。

我が楽しければそれでいいのだ。

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我「Bチームはこれまで華々しい戦果を上げてきた!勝率は非常に高く、むしろAチームに引けを、いや、むしろ前を行っている、それは何故か!」

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「おぉ?」

「いいぞいいぞ!」

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我「それはほとんどの戦いが」

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我「空き戦場だからである!」

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「wwwww」

「言っちゃったwww」

「あーあーあーwww」

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我「だが、問題はそこではない、我々Bチームはもし強い敵と当たったとしても、Aチームをも凌駕するポテンシャルを秘めていることはここの全員が必ず理解しているはずだ!」

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我「そもそも、Bチームとは2軍なのだろうか、棄民なのだろうか!断じて我々は空き戦場専門部隊ではない!本日、それを証明して見せよう!」

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「wwwww」

「wwwww」

「wwwww」

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我「皆、知っているか、Bチームの『B』の本当の意味を!それは…」

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「…………」

「…………」

「…………」

我「…………………………」

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我「BrakersのBである!!!!!」

「ダセェwwwww」

「わろたwwwww」

「ブレイwwwカーズwww」

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我「我々は本日より『VVIP Brakers』と名乗り、Aチームに独立戦争を仕掛ける!!!

「ジオンwwww」

「独立しちゃったwwww」

「Aチームと戦争すんのかーいwwww」

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我「相手が強敵であったとしても、『We are VVIP Brakers』、この魔法の言葉があればそれは勝利の女神となり必ず夜我々を導くであろう!健闘を祈る!」

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こんな感じで突如、VVIP Brakersは誕生したのである。

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■Brakersの初陣

指揮を高めた上でBチーム改め、Brakersは中へ入る。

戦術だけは真面目にしっかりと決めた上で、相手の様子を伺う。

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【コード:ドラゴンブラッド】ブレイカーズ 前編

準備時間の1分間というのは中々に緊張するものだ。

今回Brakersの戦場は火。

本来であれば後出しジャンケンの方が有利かもしれぬが、そこはもう覚悟を決めて行くことにしている。

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そして我はこの画面を何度も更新しながら、声には出さず、一人静かに祈っていた。

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頼むから火戦場が空き戦場でありますように、と。

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開始まで残り1分を切る。

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【コード:ドラゴンブラッド】ブレイカーズ 前編

Aチームのいる戦場に動きがあった。

相手が9名入る。

水戦場にも1名敵が入っている。

空き戦場の香りが漂う。

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勝った。

我々Brakersは、再び勝利の栄光を手に入れる。

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こうなるとBrakersのランカーたちをAチームに合流させることで勝率を上げる。

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我「諸君、我々の勝利は約束された!ランカーたちは直ちに地戦j

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【コード:ドラゴンブラッド】ブレイカーズ 前編

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更新を押す。

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我「総員、戦闘配置」

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【コード:ドラゴンブラッド】ブレイカーズ 前編

我「We are VVIP Brakers!!!!!!!」

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戦いの幕が切って下ろされる。

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続く。