最新技術に幅広く対応する「ZenFone AR」がこの夏発売
ZenFone ARは、1月に開催されたCES 2017にて発表されたGoogleのAR技術「Tango」とVRプラットフォーム「Daydream」の両方に対応した、世界初のスマートフォンとして注目を集める端末だ。
TangoとDaydreamに対応するには、端末のスペックもそれ相応のものが必要となるのだが、本機のSoCはQualcomm製のSnapdragon 821を採用、さらに世界初となる8GBのRAMを搭載。
TangoやDaydreamはもちろん、相当なマシンスペックを要求するゲームアプリも快適に動作させる可能性を秘めた端末というわけだ。
まずは、本機の基本スペックを下記にまとめておこう。その他の概要は発表会レポートで紹介している。
ZenFone ARスペック
製品名 | ZenFone AR(ZS571KL) |
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サイズ(高さ×幅×厚さ) | 158.98×77.7×4.6~8.95mm |
重量 | 約170g |
OS | Android 7.0 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 821+Adreno 530 |
RAM | 8GB/6GB |
ROM | 128GB/64GB |
外部ストレージ | microSD(最大2TB) |
ディスプレイ | 5.7インチ 2K Super AMOLED |
リアカメラ | 2,300万画素+モーショントラッキングカメラ+深度カメラ |
フロントカメラ | 800万画素 |
バッテリー | 3,300mAh |
SIMスロット数 | Nano×2(スロット2はmicroSDと排他利用) |
Bluetooth | 4.2 |
生体認証 | 指紋認証 |
なお、今回お借りしたのはあくまで開発サンプル。大きな変更はないと思われるが、ハード面・ソフト面ともに実際に発売される製品とは仕様が異なる可能性があることには注意されたい。
まだまだ発展途上なTangoアプリ
編集部にZenFone ARが到着してまず行ったのが、いくつかのTango対応アプリをインストールして実行すること。
ZenFone ARのようなTango対応端末には、高解像度のカメラと、深度カメラ、モーショントラッキングカメラの3つのカメラを搭載する。
ZenFone ARでは、この3つのカメラで構成された「ASUS TriCam System」を搭載しており、これにより空間を認識、ディスプレイ上に拡張現実が展開されるというわけだ。
本機には、「Tango」アプリがプリインストールされており、ここから各種Tangoアプリのインストールや起動が行えるようになっている。
そこから、体験デモを再生すると、周囲の空間を読み取り、生成された動物や植物のグラフィックがカメラを通した景色と溶け込む映像を視聴することができる。
まず試したのは、Googleが提供する『Measure』。
ARを活用して、空間上の任意の2点間の距離や、直線で囲んだ範囲の面積を測定することができるアプリだ。
端末のカメラを向けるだけで測定が可能で、手の届きにくい場所でも簡単に距離を測ることができる。
ただし、測定したデータはあくまで概算で、正確な測定は難しい。
他にも、カメラを介してディスプレイ上に表示された現実の風景に恐竜を表示させるアプリや、ゲームアプリもいくつか公開されている。
これらのエンタメ系アプリは、実際にそこにいるかのような体験ができるVRほどの驚きはない、というのが正直な感想。ゲームとして自分の時間を使いたくなるようなものは、ほとんどなかった。
スマホのディスプレイ上で表現されるため、『ポケモンGO』のARモードと大差ないのが、ユーザー側としての現状といえるだろう。
今後、非エンタメ系アプリ含め、実用的なものが増えてくることに期待したいところだ。
ZenFone ARで次世代VRプラットフォーム「Daydream」を体験!
続いて、VRプラットフォーム「Daydream」のインプレッションを述べていこう。
今回の開発サンプルには、Daydreamのポータルアプリがプリインストールされており、アプリ内のVRゴーグルマークのボタンをタップすると、Daydream対応のヘッドマウントディスプレイ(HMD)への装着を促される。
ちなみに、Google製のDaydream対応HMD「Daydream View」は国内未発売。今回は、並行輸入品を購入し、Daydreamを体験した。
Daydream対応アプリは、すでに数多くリリースされており、日本語化されているものも多い。
もちろん、ホーム画面の各表記も日本語化されており、デバイスがそろえばすぐにでもDaydreamを楽しむことが可能だ。
今回プレイしたのは、Ubisoft Entertainmentの『ハングリーシャーク』シリーズのVRゲーム『Hungry Shark VR』。
3人称視点でサメを操作し、魚や人間を食いちぎる、バイオレンスな表現が含まれるゲームだが、海中を自由に動き回るVRならではの体験が可能だ。
顔の向きによって操作するゲームは、これまでのスマホ向けVRゲームでも数多く存在したが、そこにコントローラーによる操作も加わり、よりゲーム性に幅が広がっている感触を得ることができた。
スマホ向けVRはこれまで、入力デバイスの統一化がされておらず、コンテンツ制作側としては自前で用意するか、入力デバイスが必要ないコンテンツにするしかない、といった話もあったが、今後Daydream ViewやDaydream Ready端末が普及すれば、より多彩なコンテンツが現れるはずだ。
ベンチマークテストで実力をチェック
最後にAntutu Benchmarkおよび、3DMarkにて性能を確認。
なお、冒頭で述べたように、今回テストした端末は開発サンプルのため、実際に発売される製品版とは仕様が異なる可能性がある。
Antutu Benchmarkでは、154,523点をマーク。Snapdragon 820搭載端末より10,000~20,000点ほど高いスコアとなっている。
項目別にスコアを見ると、3D・UX・CPUはかなりの高スコアを記録する反面、RAMは8102点と伸び悩んだ結果となっている。
今回の開発サンプルは8GBのRAMを搭載したモデルだが、少なくともAntutu Benchmarkにおいては、RAM容量が増えるほどパフォーマンスに寄与するというわけではない事例を示す結果となったとも捉えられる。
また、3DMarkはSling Shot Extreme Unlimitedにてテスト。
スコアは2,873点と、予想通りかなりのハイスコアとなった。
Monitoring dataを見ると、Temperature(温度)が10℃近くも上昇していることが確認できる。
本機の発売時期は夏ごろとされているが、その頃にはSnapdragon 835搭載端末が各スマートフォンベンダーより発売されるはず。
TangoとDaydream両対応やデザインなどが、購入する動機となるところだろう。
ちなみに、ZenFone 3より搭載されているZenUIのゲーム向け機能「Game Genie」は引き続き搭載。
スピードブースター(メモリ解放)、プレイ動画のライブ配信やローカル保存、ゲーム情報の検索などの機能を利用することが可能だ。
※本製品はエンジニアリングサンプルのため、実際に日本で発売する製品と仕様が異なる可能性があります。
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