タイラーシリーズ3作目!今度の舞台はブラックホール!!
『Lifeline』の最新作は、第1作の『Lifeline』、そして第3作『Lifeline:サイレント・ナイト』の続編で、宇宙に取り残された青年タイラーを主人公とする連作シリーズの第3作目となっている。
プレイヤーは、ブラックホールの周囲の軌道上をさまよう戦闘艇ヴィリディアン号からのメッセージを受信し、タイラーとの再会を果たすことになる。
謎のエイリアン「グリーンズ」が潜む船内でトラブルに見舞われるタイラーを、適切な選択肢で導き、窮地から脱出させるのが目的だ。
これまでのシリーズと同じく物語は現実の時間とシンクロしたリアルタイムで進行。ストーリー中でタイラーが昼寝をした場合、彼が起きてくるまで数時間は待たされることになる。
タイラーからのメッセージはスマホのロック画面にて通知されるので、次のメッセージが来る合間にタイラーとコミュニケーションをするようにゲームを進めていく。
Lifelineの原点に返ったゲーム性
本作には、『Lifeline:サイレントナイト』で登場したマップや、『Lifeline:フラットライン』にあった心拍数などの要素は登場しない。
そのため、過去の『Lifeline』を全シリーズプレイしてきたプレイヤーからすると、若干物足りなく感じてしまうかもしれない。
しかし本シリーズの魅力は、チャット相手のとなる主人公とのコミュニケーションや、メッセージの中で与えられる断片的な情報から解決策を推理する楽しさにこそある。
その点でいえば、タイラーとの会話や推理の部分は、過去作に負けずとも劣らない高いクオリティーだ。
今作ではもう1人のタイラーが登場!
今作では、もう1人のタイラーを名乗る人物「T2」が登場。1週間後からやってきたというこの謎の来訪者と、プレイヤーとの間で葛藤するタイラーの姿が描かれる。
タイムトラベルやタイムパラドクスなど、時間移動モノの要素も追加され、旧作よりもさらにハードなSF志向の内容となっている。
選択肢の結果によっては、今作でもタイラーは命を落としてバッドエンドを迎えてしまう。
その場合は、もちろん特定のポイントからコンテニューをしたり、失敗したと思う選択肢からやり直したりすることが可能だ。
また、たとえバッドエンドだとしても、エンディングを見ると高速モードがアンロックされるので、2回目からはサクサクとゲームを進めていくことが可能になる。
Lifelineで学ぶアメリカンポップカルチャー
本作の醍醐味は、ストーリーから逸れて、タイラーとオタクトークを楽しめる部分にあると言っても過言ではない。
タイラーの持つ知識から来るこういったジョークやトリビアについて、あらかじめ元ネタの知識がプレイヤーにあれば、本作をさらに奥深く楽しめる。
ここからはタイラーの知識の一部を紹介する。興味を持ったら、ぜひ調べてみてほしい。
『Lifeline』がハリウッドに進出!?
これまでのあらすじを話しているうちにノッてきたタイラーは、プレイヤーにこれまでの物語をハリウッドに売り込んで映画化することを要求してくる。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ジュラシック・ワールド』への主演で知られるクリス・プラットが出演してくれるのではと、図々しい期待を抱くタイラー。
ちなみに、こんなくだらないトークを展開している背後では、宇宙船が火事になってしまっているのだが……。
スタローン映画のネタが3連発!(しかも若干マイナー)
映画好きで、これまでの作品でも何かと映画に例える表現を連発してきたタイラー。特にシルヴェスター・スタローンが出ている映画はかなりチェックしている模様。
何かと自分が置かれた状況を映画に例えるタイラーだが、本作ではスタローン主演作3作品を使ったジョークがさく裂する。
孤独な宇宙飛行士の歌
音楽にも詳しいタイラー。作中では、ヴィリディアン号の船長だったメラニー・キオールが作った音楽プレイリストを発見する。
このシーンでは、20曲ある楽曲を聴くタイラーから感想を聞くことができる。ここでもタイラーの音楽知識が披露される。
残念ながらチャットによる通信のため、ゲーム中ではタイラーが聞いている曲をプレイヤーは聞くことができないが、すべて実在の曲なのでCDなどを入手すれば、プレイヤー自身が聴くことは可能。
タイラーのセリフが表示される時間も、曲に合わせたものとなっているので、うまくすればタイラーと一緒に音楽を聴いているような疑似体験を楽しめるだろう。
下記にプレイリストの曲目を載せておくので、タイラーといっしょに音楽を聴いてみてはいかがだろうか。
- 「Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space」 by Spiritualized
- 「Lost In Space」 by Aimee Mann
- 「How To Fight Loneliness」 by Wilco
- 「Subterranean Homesick Alien」 by Radiohead
- 「Space Oddity – 1999 Remastered Version」 by David Bowie
- 「Disassociative」 by Marilyn Manson
- 「Apollo」 by Hum
- 「Leave the Planet」 by Galaxie 500
- 「Across the Universe」 by Fiona Apple
- 「Space Walk」 by Lemon Jelly
- 「Moondust」 by Jaymes Young
- 「Stars」 by Noctilucent
- 「Galaxies」 by Owl City
- 「The Fall」 by Cat Like Thief
- 「Apollo XI」 by Orchestral Manoeuvres In The Dark
- 「Space Lord」 by Monster Magnet
- 「D’Yer Wanna Be A Spaceman?」 by Oasis
- 「Souvlaki Space Station」 by Slowdive
- 「Spacetravel」 by Bush
- 「The Commander Thinks Aloud」 by The Long Winters
Apple Watch未対応だがシリーズファンはプレイする価値あり!
ストーリーは、読んでいてついつい続きが気になる上質なSFミステリーとなっており、後述する時間を早める方法を使わなくても、3日ほどでクリアできるボリュームだ。
しかし、これまでの『Lifeline』シリーズと比べると、システムの部分でもっと遊べる要素がほしいと思ってしまうのも確か。
せめて、『Lifeline:サイレント・ナイト』にあった地図があれば、もっと臨場感が増しただろう。
また、これまでのシリーズはiPhoneとiPad以外にApple Watchでも遊ぶことができたが、2017年1月現在、まだ本作は未対応となっているなど、過去作と比べてスケールダウンしている感は否めない。
それでも、これまでの『Lifeline』シリーズをプレイしてきた人にとって、あのタイラーと再会できる喜びはひとしお。旧作からのファンには、ぜひともプレイしてほしい。
- 使用した端末機種:iPhone 6
- OSのバージョン:iOS 10.2
- プレイ時間:約5時間
- 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
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