リネージュM(リネM)攻略

リネージュM【インタビュー】:NCSOFTイ・ジフン氏を直撃!日本向け仕様と“リネージュらしさ”の狭間で

2月15日(土)に行われた『リネージュM』プレイヤー座談会。その熱も冷めやらぬ内に、韓国NCSOFTのリネージュMリードプランナーと日本のリネージュMプロデューサー陣へのインタビューを決行。プレイヤーたちの熱い意見を聞いての率直な感想や、リネージュMを今後どう良くしていくか、といったところを語っていただいた。

日韓運営が一丸となってプレイヤーに向き合う!これからのリネージュMに期待

昨年開催のファンミーティング「守護騎士の集い」を経て、コアなプレイヤーの中でも、リネージュMについて積極的に発信している方にしっかりと意見を聞いてみたい、という経緯から企画された今回の座談会。

座談会から引き続いて、リネージュMサービスチームの大河内PP、川南P、そして韓国NCSOFTのイ・ジフン氏に、4メディア合同インタビューにお応えいただいた。(参加メディア:4Gamer.net/App Media/アルテマ(敬称略))

その姿勢には、サービスチームとして“姿を見せ”、考えを直に伝えることで、プレイヤーに寄り添い、ともに進んでいきたいという想いがにじみ出ていた。

左から、『リネージュM』運営プロデューサー川南巌氏、韓国NCSOFT『リネージュM』リードプランナー イ・ジフン氏、『リネージュM』プロジェクトプロデューサー大河内卓哉氏

ちなみに、韓国NCSOFTの開発の方が、表立ってプレイヤーの前に現れることは異例中の異例。

イ・ジフン氏にしか聞けない、日本・韓国両運営の調整などについても語っていただいた。

座談会を終えての感想

――熱量の高いプレイヤーさんによる熱い意見が飛び交った座談会となりました。それを終えての感想をお聞かせください

川南P:皆さん、いろいろ言いたいことはあったかと思うのですが、大人な対応をしていただいて(笑)。非常に助かりました。

かなりプレイされている方ばかりなので、鋭い質問も多くて、大変参考になりました。

イ・ジフン氏:韓国ではそもそも座談会自体をやったことがないですし、プレイヤーと直接お話しできるというところが貴重な機会となりました。

なにより、リネージュMをすごく愛してくれてるんだな、というのが伝わってきて、非常にありがたく思っています。

大河内PP:皆さん、リネージュMが現在直面している問題に感づいている方が多く、その点も含め前向きな話ができたことが非常によかったと思います。

プレイヤーの求めているものが我々にも伝わったことで、今後の施策が打ちやすくなりますし、いっしょにできることもあると考えております。

プレイヤーと運営の距離を縮めるという意味でも、歴史的に一歩前に進んだかなというのが今回の座談会の感想です。

現在のリネージュMはかなり日本向けに調整されている

――日本でリネージュMを配信するにあたっての苦労や手ごたえ、プレイヤーへの印象についてお聞かせください。韓国版からどの程度調整を加えているのでしょうか?

イ・ジフン氏:リリースから半年以上経ちますが、実は韓国の仕様のまま日本で実装したことは、ほとんどありません。

難易度の面で、韓国版より簡単にするものもあれば、逆に日本版の方が難しくなるものもありました。

システム面でも、日本へ先行導入され、後から韓国へ導入されるというパターンもあります。「試練の塔」「変身/マジックドール合成の天井(合成累積報酬)」「ログアウトプレイ」などがそうです。

今もそういう調整を繰り返しながら、日々サービスを続けているという状況です。

大河内PP:細かな調整に関しては、ジフンさんが毎回悩んでくれています。

イ・ジフン氏:韓国のコミュニティでは、「日本版素晴らしい!」みたいな声もあるくらいです(笑)。

韓国ではログアウトプレイは未実装だったり、出席報酬なども日本の方が手厚かったりするためです。

大河内PP:そういう海外の声は日本でも把握はしていて、手厚い調整がありがたい反面、「ジフンさん大丈夫かな?」と、心配になったりしますね。

川南P:日本のプレイヤーは、報酬に対してものすごく厳しいと思います。良し悪しを判断するスパンがかなり短いところに設定されているというか。

1回行って、その分の元がとれないと、「これはダメだ」という判断をする方が多いように感じます。かなりシビアですね。

大河内PP:本日のプレイヤー座談会でも、そういった話題は挙がっていましたね。PVPが好きと言っている方でも、やはり報酬にも重きを置いている場合が多くて。

一方で、リネージュMは元々海外で開発されたものなので、やはりバランスとしてはそちら寄りのものになっています。日本のプレイヤーが大切にしているところに対して、若干弱いところもあるのは事実です。

そういった国による傾向の違いを開発(NCSOFT)に納得してもらう必要もあり、リリース当初からの交渉や調整を日々重ねているところです。

現在はある程度改善されましたが、ローカライズにあたり、変更するための根拠となるデータ集めと検証には時間がかかる状態です。

よりNCSOFTとNCJapanが相互理解をすることで、意思決定を短いスパンで行えるようにすれば、より良い運営ができると思っています。今後も改善していきたいと考えています。

イ・ジフン氏:本日のプレイヤー座談会に参加した皆さんもそうですが、日韓でのプレイヤーの違いは、意外にないという印象です。日本のプレイヤーの方が優しい印象は受けました。

韓国に比べると少ないものの、日本でもいろいろなPVPが発生して、プレイヤーが作り上げる物語が増えていっていることは非常にうれしく感じています。

一方で、PVPを楽しめていないプレイヤーをないがしろにするのではなく、ボス狩りや血盟レイドといったコンテンツを充実させていこうという企画はずっと考え続けています。

しかしながら、開発優先度が低めになってしまっているところが個人的に悔しいところです。

今日の座談会で、そういったコンテンツに対するプレイヤーの声が大きいことが実感できました。本社に持ち帰って、日本のプレイヤーが楽しめるコンテンツをより早く導入できるようにしていきたいと思っています。

日本向け仕様の影に苦労あり

――差し支えなければ、日本で企画があがってから、どういう経緯で承認・実装されているかをお聞かせください。日韓の窓口となっている川南さん、ジフンさんは非常にご苦労されているという印象ですが……

川南P:実は、交渉で長引いているものがある裏で、すんなり通っているものもあります。不具合は特に優先してご対応いただいています。

こういった話はあまり話題に挙げていないので、なにも対応がなされていないようにプレイヤーの皆さんには見えているかもしれません。

大河内PP:川南Pが窓口として尽力してくれているおかげで、対応希望は通っているものも多いです。

ただ、ゲーム性の話になると、途端にさまざまな障害が出てきまして。特にリネージュらしさというコンテンツとしてのバランス面ですね。

イ・ジフン氏:本社として、大事に考えるべき内容と判断した際は、私も本社を説得する側になります。「日本からこういう意見が来ました。私はこう考えていますがどうですか?」といった具合です。

そして、その返答がくるととても悩みます。日本側が納得する内容、かつ本社から許可が下りる内容にしないといけないので。両社の狭間でコンテンツの調整を行っているのが私ですね。

大河内PP:それほど、リネージュというタイトルはNCSOFTにとって、軽くないということだと認識しています。その中で、前向きに説得や調整を続けてくれている、ジフンさんとNCSOFTにいる関係者の皆さんには感謝しています。

また一方で、プレイヤーの意見を確認した上で、日本としてこうしたい、こういう要望が挙がっているという点があっても、リネージュの世界観・バランスに反する内容も少なからずあり、その検討やせめぎ合いが常に行われています。

川南P:「これをこう変えてください」という要望がある場合、その裏には「どうしてこれを変えたいのか」という欲求があると思うんですよ。

お待たせしてしまっている時間の中には、「本当にここを変えないと実現できないのか」「ここは本社からNGが出るけど、別の方法でクリアすることができるかもしれない」といった模索の時間も含まれていますね。

イ・ジフン氏:実は、メンテナンス前日は、NCSOFTもNCJapanも徹夜なことが多いです、

大河内PP:先日も、朝4:00にジフンさんとやり取りをしたりしてましたね。

そういう人たちの努力で成り立っていますので、プレイヤーの皆様にはぜひ楽しんでほしいなと思っています。

日本にもっとリネージュMの面白さを伝えていきたい

――日韓のMMORPGに対する熱量の違いをどう考えていますか?

イ・ジフン氏:韓国では、1人でゲームをするよりも、だれかとぶつかり合う感覚が面白いと思っている方が多いように感じます。

その魅力からプレイし続けて、仲間を作り、敵を作って戦う。勝ったらうれしい、負けたら悔しい、そういった感覚がずっと続いていくんですね。

それを新しくゲームを始める子供たちが見ているおかげで、MMORPGに対する吸収が早いんですよ。

大河内PP:私の見解ですが、近年の日本ゲームの歴史、ここ5年は特にですが、暇つぶしとしての要素が強いですよね。

明確な目的を持つプレイより、時間が空いたときにプレイする比率の向上に合わせて進化していると感じます。

そんな中で、時間をかけて育て、勝ったらうれしい、負けたら悔しいという要素が、リネージュMには色濃く残っています。

その良さをもっと訴求していくのは、MMORPGを運営している会社としての責務なのかなと思っています。

――そういった土壌の違い、カルチャライズする上での難しさがある中で、今後日本のプレイヤーにどう向き合っていこうと考えていますか?

大河内PP:多くのMMORPGとは、リネージュMは一線をきちんと引くべきだと考えています。

改善しすぎて、リネージュからかけ離れたものに変わってしまうことは、避けるべきであると思っています。

川南Pやジフンさんよりも全体としてのリネージュ歴は短い私ですが、プレイしていて、リネージュMというゲームは、人の心の動きのさまざまな要素がフォーカスされており、とても面白いんです。

ですから、リネージュというタイトルの面白さをきちんと残して、伝えなければならないと思っています。そのためには、根幹として外部的な戦略を強化する必要があると考えています。

「こういう原作・物語があって、芯がしっかりしている背景があって……その世界で君は1人の冒険者、勇士として生きていくことができます!」「ハイファンタジーな世界観の中で、日常を忘れて没頭できます!」という情報が一般の方の常識になるまで、まだ日本において持っていけていません。

そのための施策を今後続けていきたいと考えております。もう少しお待ちいただければと思います。

――最後に、プレイヤーの皆さんへひと言ずつお願いします。

大河内PP:MMORPGは、プレイヤーが楽しんでいることありきです。先日実装した上級者向けコンテンツの1つである崩れる島も、たった15秒で1,000人が集まり満員御礼となり、大変感動しました。

今、それだけの熱量のあるゲームだということがそれほど外に見えてない状態です。リネージュMプレイヤーが、プレイしていることを誇れるようになるところまで持っていきたいです。

ですので、プレイヤーの皆さんも「俺、リネージュMってゲームやっていてさ、楽しいんだよね!」と友だちに話してもらえることが、なによりの支援・励みになります。

ぜひお力添えいただけるとうれしいです。今後も何卒よろしくお願いいたします!

川南P:リネージュで自分が扱うキャラクターは、付随する情報がそれほどなくて、アデンという世界に介入するためのデバイスに近い存在だと思っています。

一方、今日本で流行っているソーシャルゲームやデジタルカードゲームを見てみると、キャラクター性に対して入れ込んでいる人が多いのかなという印象を受けます。

日本人の傾向として、自分自身よりも、出来上がったキャラクターの方が熱量を注ぎ込みやすいのではないかと考えています。

そういった環境の中で、その方向に寄せた方がいいのか、今の路線で行った方がいいのかは、今後の施策を考える上で慎重に判断しないといけないと思っています。

イ・ジフン氏:個人的に、「なんだこのグラフィックは」という日本プレイヤーの方のコメントを見たときに、とても悲しかったんです。

リネージュというMMORPGらしさを表現するための手段として、あえてその形式にしていたわけなのですが、それが伝わっていなくて……。2Dグラフィックとしては、これほど精密なものはほかにないと思っています。

もちろんゲームに対しての楽しみ方が違うのは理解しているのですが、このゲームすごく面白いんです!私は20年以上、親もいまだにプレイしているくらいです。

ですので、ぱっと見て「グラフィックが悪い」「昔のゲームじゃん」と判断せず、ぜひ一度プレイしてみて、“本物のMMORPG”を味わってみてほしいです!今プレイすると逆に新しいかと思います。

――お三方、お疲れのところありがとうございました!

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