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総員、我が名はケンラウヘル。すなわち反王である。
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他人との体験共有
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MMOというのはその世界の体験を他のプレイヤーたちと共有するという所に面白さがある。
だがその体験というのはいい事ばかりではない。
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例えばサービス開始当初に嫌という程沸いていたBOTたち。
毎日のようにBOTの話題で全体チャットは賑わっていたものだ。
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リネージュMは他のスマホMMOと比較してプレイヤー間の取り引きというのはある程度自由に行う事ができる。
自由ということは無課金、微課金でも十分ダイヤを手にする機会もあるということ。
反面、RMTを目的としたいわゆる「業者」が湧き出てくるのも紛れもない事実。
我としてはRMTは除き、自由取り引きというのは賛成だ。
何故ならこの自由取り引きがあるからこそモチベーションを創出できる人も多く存在するからだ。
全てが課金で済んでしまう、もしくは課金でしか強くなる事ができないというのも、なしではないのだが寂しい所。
レアドロップが欲しい、レアドロップをダイヤにして、更にあのアイテムが欲しい、毎日こう思えるだけで放置だけでも楽しいものだ。
オート放置ガチャとでも言おうか、これを夢見て毎日24時間放置をしているわけだ。
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様々な人がいるMMO
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この楽しさというのはコンソール、家庭用ゲーム機でのRPGとは楽しみ方の方法が良くも悪くも変わる。
しかもこのリネージュの世界ではPKというのが当たり前のように存在している。
むしろPKがなければリネージュではない、と言っても過言ではなかろう。
勿論NON-PKサーバーというのもリネージュ1時代には存在したが、現状そういったサーバーはリネージュMには存在しない。
このゲームをする限り、PKするされるといった問題に多かれ少なかれ巻き込まれる事になる。
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我のいるサーバー以外でも既に色々なサーバー、そして色々な場所、時間でPKは発生している。
PKは対個人から血盟単位に膨れ上がり、更には連合といった、まるで共鳴するかのように波紋を広げていく。
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我はつくづく、ゲームというのは「楽しくなければ意味がない」というのがモットーだ。
その楽しさとは、偏に「感情を揺さぶられる」事に他ならない。
いわばゲームを通じて体感する「喜怒哀楽」が楽しさの全てだ。
この喜怒哀楽の揺れ幅が大きければ大きいほど感情を大きく震わせ、そしてそれが記憶に残る。
初めてやったMMOというのはその新鮮さや発見により喜怒哀楽が大きく揺さぶられる訳で、記憶にも残る。
「初めてプレイした、ハマったMMO以上を超えるゲームに出会える機会はそうそう無い」と言われる所以もそこだろう。
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PKというのはゲームにおいて劇薬とも言える。
殺した側は「やってやったぜ」という達成感や快楽を感じるし、殺された側は「悔しい、次は倒す」という感情を抱く。
そこから感情のベクトルは枝葉の如く分かれるのだが、如何せんこの劇薬はPKされる側、受け手側のコントロールが非常に重要だと考える。
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このゲームは何度も言うようだが一人でやるゲームでは無い。
故に色々なチーム単位で物事を考えて動かねばならない。
ここで一番面倒なのは感情的衝動で動く事だ。
我が軍の場合は基本的に全ての事象について我の責任の元、色々と物事を決めたりしているが、盟主については事案が起きた時の対応というのは慎重さと方針との適合性などを求められる。
まぁ盟主というのはやはり血盟というチームを背負うが故に、早々物事をおかしい方向には持っていかない傾向にはあるが、面倒なのはチーム員が勝手に判断し、勝手に物事を動かすことだ。
自分の血盟員がそういう行動を起こしたら、盟主としては「たかが一般血盟員ごときがでしゃばった真似をするな」と言うのが当たり前だと思うのだが、波風を立てぬようにするため中々これが言えない者も多い。
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脱線してしまった。
MMOにおける盟主、ギルドマスターについては非常に思い入れや持論があるので思わず語ってしまいそうになるが、それはまた別の機会に。
話を戻す。
人を通じて喜怒哀楽を感じるのはいいのだが、如何せん最近のTwitterなどを見ると「怒」と「哀」に偏ってしまっている者が多い気がする。
喜怒哀楽の振り幅が大きければ大きい程「楽しい」と言ったものの、そちらばかりに振りきってしまっているとそれは単なる「感情の偏り」だ。
これが「喜」だったり「楽」だったのならポジティブにもなるのだが、如何せん逆の2方向に行くのはネガティブなオーラに包まれるのは必至だ。
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感情のコントロールについてはまた別途書こう。
これは単純なコツで何とでもなるのだが、そうは言っても人というのはネガティブな事案が発生するとそればかりに目がいく。
目どころか、四六時中意識がそっちに行ってしまう。
しかしながらそれは果たして正しいのだろうか。
「ゲームは楽しくプレイするもの」という目的に立ち戻った場合、それはその目的に向かって近づく事になるのだろうか。
我はそうは思わない。
こういう時のコントロール方法はまた別途書くとしてだ。
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我の思考回路の基本は、「もっと他に面白いことはないだろうか」という感覚で行動するようにしている。
人によってはどうでもいいような事も、我は面白おかしく感じてしまう、いわば楽しさを何倍にも昇華させるという謎のスキルを持つ。
ゲームは別に上手くもないし、攻略が凄い訳でもない。
ただ単純に、そして例えそれがどんなにつまらない状況でも楽しむ、これが楽しくてゲームを続けている。
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謎の出会い
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人との繋がりというのは中々に面白い。
ネガティブな事もあると思うが、それ以上に面白い出会いというのもある。
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これは先週だろうか、我らが竜のダンジョン(DVC)でクラハンをしていた時の話。
DVCといえば我が軍の基準からするとソロはできるが、楽勝とは口が裂けても言えないくらいの難易度だ。
我が軍では毎日のようにクラハンを実施している。
クラハンの時間になると自然と誰かが声をかけ始める。
この時はいつものメンバー。
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イケボはいいのだがずっと聞いてると鬱陶しくなる、反王軍の”スネーク”ことnekomimias(DE)
昔から一緒にゲームをしてきて、寡黙だがいつもニコニコ笑顔の凄腕オフ会幹事、反王軍の”静かなる大黒柱”ことカッパ64(ナイト)
やたらと自己主張が強い思春期真っ盛りのキッズ、反王軍の”ヤングライオン”こと朧偽幽(DE)
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見事に前衛のみのPTである。
本来であれば魔術師の一人でも欲しいところではあるが、ちょっと時間があったので「前衛だけでどこまで行けるかクラハン」を実施してみたのだ。
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流石に4名前衛だけなことはある、DVCに出てくる骨くらいであればものの数秒で討ち亡ぼすことができる。
実際君主を前衛と呼んでいいのかどうか悩むところであるが、命中なども上がるのでそこらへんは割愛しよう。
Discordで雑談をしながらプレイするのが我のスタイルだ。
和気藹々と楽しくプレイしていたのだが、突如イヤホンから流れてくるアナウンス。
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「プレイヤーから攻撃を受けています」
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このアナウンスは聞くたびに心臓が冷える。
1ヶ月以上プレイしていても慣れたものではない。
このアナウンスに加え「キャラクターが危険な状態です」という声もなかなか聴きなれぬ。
ちなみにアナウンスのもう一つの設定の声02の
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「回復剤がないヨォ↑」
「助けてヨォ↑」
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というボイスは、もしまかり間違って会社で鳴った場合、社会的地位が危うくなると感じたので2度と使うことはないだろう。
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いきなりの攻撃アナウンスと同時に画面が赤く光る。
最初、誰かが間違って攻撃してきているものだと思ったのだ。
たまにPTハントやボス狩りの際、誤って操作してしまうありがちなパターンだ。
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ケン「おい、誰か間違って攻撃してるぞ」
nekomimias「私じゃあないですねぇ」
ケン「んじゃカッパか朧か、どうなって・・・」
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混戦から徐々に敵を倒していき、徐々に視界が開けてくる。
画面内にいるプレイヤーは、我、nekomimias、カッパ、朧の4名。
そして
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どさくさ紛れて狂ったように棍棒を振り下ろすバグベアーが一匹。
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どうした。
何故斬ってくるんだこのふんどしは。
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名前を確認すると
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ぺいストーカー。
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明らかにストーキングする相手を間違えている。
最初は間違えて斬ってきているものだと思ったのだが、結構長時間、しかも我だけを斬りつけてくる。
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そもそも何故彼はDVCにバグベアーで来ているのだろうか。
こんなところでバグベアー変身をしていたらモンスターの餌食になる。
だが逆に考えると、かなりの猛者だからこそバグベアーでも余裕なのではないかという考え方もできる。
我はしばらく考えたが、応戦することにした。
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ケン「相手は一人だ、ちょっと手合わせしてみる。手出し無用」
nekomimias「御意」
カッパ「御意」
朧「御意」
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基本的にPKはしないのだが、斬ってきている現場を見たからには応戦は必至。
どれくらいの強さの者なのだろうか。
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勝手に妄想が膨らむ。
やるかやられるか、その生きるか死ぬかの死闘をお互い繰り広げた後、「お前、なかなかやるじゃねぇか」という戦った敵が味方になる少年ジャンプ黄金パターンに突入。
そして共に強くなり、1年後こう話すのだ。
「最初に出会ったのは、お前がDVCで突然斬りかかって来た時だったよな」と。
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こういう出会い方に期待したい今日この頃。
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我は彼にターゲットを合わせ、対人用の黄金バトンに持ち替えて斬り返した。
さぁ、かかってこい、勝負だ。
妄想は止まらない。
そして応戦した次の瞬間。
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彼は即死した。
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どうした、何が起きた。
我の妄想していた時間を返してくれ。
いや、そんなことより。
お前は何しに来たんだと。
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何事もなかったかのようにDVCに墓石が生える。
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ケン「・・・」
nekomimias「・・・」
カッパ「・・・」
朧「・・・」
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ケン「よし、クラハンを再開しよう」
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我々は彼を見なかったことにし、その場を後にした。
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謎のストーキング
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そうしてDVCクラハンは続行された。
我らのパーティは大体レベル60〜64くらいの、まだDVCに来るには早いキャラクターだらけだ。
一度前に調子に乗ってDVC3階に上ると、入り口で蜘蛛の大軍に囲まれて全滅したため、今日はDVC2階というのを決めていた。
前衛だけのパーティだ、回復魔法がないのでじわじわとポーションを削られていったが、そこは殲滅力でカバーしてサクサク進めていく。
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nekomimias「反王様」
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大塚明夫激似の声のnekomimiasが我に突然報告してくる。
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ケン「どうした?」
nekomimias「いや、今気づいたんですけどね、さっき斬ってきた彼、いるじゃないですか」
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中々手が早い。
「斬られたから斬り返した」そういう風に説明しても、プレイヤーや血盟によっては経緯など関係なく「やられたから皆で報復する」という話に発展する事もある。
面倒臭い事になってしまったか。
だが我はAntiKingsの盟主、盟主としての行動に後悔はない。
どんな面倒ごとだろうと、これを解決や交渉、方針なども踏まえてロールプレイを貫く、これが我のスタイルだ。
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ケン「囁きとかきたか?面倒になりそうか?」
nekomimias「いえ、そうじゃなくてですね」
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彼の口調は重い。
どうやら面倒な事になったようだ。
敵対なのだろうか、PK宣言なのだろうか。
しかしその面倒から逃げては成長しない。
我は覚悟を決めていた。
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nekomimias「えっと、彼なのですが」
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nekomimias「ずっと壁向こうから見てます」
ケン「面倒な事になったなオイ」
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謎のアピール
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彼は一体何をしたいのか分からなかった。
彼の目的は全く分からないのだが、
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必ず先回りして七変化を見せてくれる。
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そしてたまに
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先回りし過ぎた場所で骨弓に襲われて焦っている所を何度か目撃している。
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長時間付け回してくるが、一切エリアチャットに一言もない。
ただただ付いてくるだけ。
あえて無視を決め込んでいるのだろうか。
しかしここで我から斬ったりしてリスクを取るほど我は愚かではない。
我も触れないようにするが、延々とストーキングは続く。
こちらも無視だが、あちらも無視。
いや、すでに変身を使って付いてきている時点で無視というのもおかしい話なのだが、この「イジってみろ」と言わんばかりの彼に対してこちらから話しかけるのは敗北を認めたようなもの。
こちらから話しかけても無視されるのが落ちだ。
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ならば無視するか否か、はっきりさせてやろう。
我はエリアチャットなどではなく、あえて彼にフレンド申請を送ってみた。
さぁ、これで無視を決め込むなら決め込むが良い、これは我とストーカーとの勝負だ。
そしてフレンド申請を送ると、
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何故か既に友達申請を送ったとのメッセージが。
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そんなバカな、何かの間違いだ。
そもそもこんな名前の友人だったら覚えていないわけがない。
何かこれはブロックされていたりすると申請が送れないとか、敵対血盟だと無理だとか、そういう何かがあるに違いない。
数十秒の考察、考えを巡らせる。
しかし、答えは非常に簡単なものだった。
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我がフレンド申請をする、
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その前に彼からフレンド申請が来ていたのが原因だった。
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その日、我が軍では会議を開き、彼は一体何なのだったのだろうかという議題となった。
間違いなく「ぺいストーカー」という事から、ケンラウヘル02の魔王こと卍闘神ぺい様卍のストーカーだと思うのだが、何故我にストーキングしてくるのか。
しかも変身スクロールで七変化をしてきたのは何故なのだろうか。
いきなり切りつけてきたのは、何か恨みでもあったがあまりにも憎悪が凄く、PKではなくひたすら同じ画面にいる事で精神的攻撃を仕掛けてきているのではないか。
もし倒した事で恨みを買い、相手の血盟が敵対で我々を狙ってきたらどう対応するのか。
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様々な憶測が行き交う会議は深夜まで行われ、そして最終的に、
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ただの暇な人だったという結論に至るのであった。
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まとめ
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彼とはその場でフレンドになったが、未だに一言も会話をしたことがない。
だがどこからか情報を得て、時折我の前に現れては斬ってくる。
そんな訳わからない出会いだが、そんな彼が画面内に出てくるだけで、ついつい笑顔がこぼれてしまう。
一見不可解な遊び方かもしれないが、これも人との繋がり、そして言葉も交わしていないけれども楽しく過ごさせてもらっている。
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何なら
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最近INしていない事を気に掛ける我がいる。
まさかのストーカーロスという感情を味わうとは思わなんだ。
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こういった関係性や楽しさというのは与えられるものだけではない。
様々な事象を自ら能動的に楽しみに変換するという事こそがMMOを長く楽しくプレイする秘訣だと我は考える。
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もし彼がこのブログを見てくれていたら、またクラハン中に乱入してきて欲しいものだ。
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そしてこれは数ある出会いの一つ。
次はどんな出会いが待ち受けているのであろうか。
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これだからリネージュは辞められない。
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以上。
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